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第211話 あんたかい

ご閲覧、評価、ブックマーク、いいね、ありがとうございます。


次は余話を更新予定です。

 10分ぐらい経つとグランディオさんが目を覚ました。赤嶺と一緒に謝罪すると、首を横に振られる。許してくれるみたいだ。よかった。


「ニャオ、出口ってどっちにあるんだ?」

「わからん。結構な範囲をしらべてみたけど見つけられんかったよ」


 意識をどっちに向けてみても、ずーっと洞窟だ。上に向かう道はあるけど、少し行けばまた下ってしまう。地下何メートルぐらいなのか知りたくて上の方も見てみたけど、うまくいかなかった。


「とりあえず、この近くを目視で調べた方がいいと思うんよな。赤嶺、グランディオさんに聞いてみてくれる?」

「わかった」


 明かりがない洞窟だけど、ドラゴンと獅子獣人の目だとどうにか見えるみたいで助かった。なんにも見えなかったら歩けないからね。ランプは持ってきてるけど、魔力を使うから私はできるだけ節約したい。


「じゃあ二手にわかれよう。赤嶺はグランディオさんと一緒に行ってくれる? 私は清ちゃんと行くわ」

「キヨちゃんと?」


 えぇ~、みたいな顔で赤嶺が言った。


「キヨちゃんまだ寝てるんだぞ? みんなで調べた方がよくないか?」

「近くに魔物はおらんみたいやし、大丈夫やろ。それに、私とグランディオさんが一緒におっても喋れんしな」


 言葉が通じる人同士で行動した方がいいよね。清ちゃんは抱っこしていくからさ。


「近くにしか行かんし、清ちゃんは必ず赤嶺の背中に帰すけぇ、少しだけ預けてもらえる?」


 私の守護獣なんだけどね。


「うー……。グランディオ、ニャオが近くに魔物はいないから二手にわかれて調べてみようって言ってるけど、どうする?」


 そう聞かれたグランディオさんは難しそうな顔で唸り声を上げたけど、私を見て頷いてくれた。こいつなら大丈夫だろうって思ってくれたのかね。


「それじゃあ、赤嶺達は向こうを頼むわ。うちらはこっちに行くけぇな」


 赤嶺の背中で伸び切ってる清ちゃんを抱き上げて洞窟の向こうとこっちを指差せば、はーい、と返された。遠くまで行くわけじゃないし、もし何かあっても叫べば反響して聞こえるよね。

 赤嶺をお願いしますって心の中で言いながら、グランディオさんに頭を下げて洞窟を進めば、さっき調べた通り二股にわかれてた。右の道はすぐに行き止まりだったから、左に行ってみる。天井が低くなってるし、岩も鍾乳石みたいに尖ってるからぶつからないように気をつけないと。


「ぅ~、まう?」


 あ、清ちゃん起きた。


「おはよう清ちゃん。痛いところない? あったらすぐに言いよな?」

「まぅ~?」


 どしたのそんなにキョロキョロして。ああ、赤嶺捜してんのか。


「今うちらは洞窟の中におってな、赤嶺とグランディオさんは違うところを調べてくれよるんよ。うちらもこっちを調べたらすぐに戻るけぇ、心配いらんよ?」

「まぁうー!」


 言葉を理解してくれてるのはありがたいね。この状況で駄々をこねられたら大変だわ。早く清ちゃんの言葉も理解できるようになれたらいいのに。何か条件でもあるだろうか。


「まう?」

「ん? どしたん?」


 清ちゃんが進行方向に向かって鳴いたから目を凝らして見れば、地面が真っ黒だった。ゆっくり近づいて、落ちてた石をそこに放ってみたら、ボスッて乾いた音と一緒に大きな穴が開いた。


「あれま、落とし穴……」


 と言っても、誰かが作ったような感じじゃない。黒いのは苔っぽいし、長い時間をかけてぽっかり開いてた穴を隠すみたいに生えたんだろうね。


「これ知らんで踏んだら落ちるな……。気をつけんと」


 清ちゃんが気づいてくれてよかった。下手したら落ちてたかもしれない。こんなんがそこここにあったら歩きづらいな。


「ニャオー! ニャーオー!!」


 洞窟にでっかい赤嶺の声が響いた。何事?


「どしたん赤嶺! 何があった?!」


 急いで元いた場所まで戻れば、慌てに慌てた赤嶺が岩肌にぶつかりながら駆け戻ってきた。あんたそれ痛くないの?


「グランディオが! グランディオが!」

「え?! どしたん?!」


 そういやグランディオさんが戻ってきてない。まさか魔物? でもこの短時間でやられるか?


「グランディオが穴に落ちてった! 呼んでも返事しないんだよ! どうしたらいい?!」

「……おおっふ」


 グランディオさん、あんた落ちちゃったんかい。どこかに引っかかってればいいけど。

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