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第205話 ボンッ!

ご閲覧、評価、ブックマークありがとうございます。

 数日間焦げ跡を拠点に周囲を探ってみても、ククシナさんに関する情報は得られなかった。雨は本降りになったり小降りになったりを繰り返してたけど、ようやく上がったのをきっかけに次の場所に移る為の準備を始める。


「とりあえず、ククシナと次の拠点になる場所を探しながら川沿いを登っていく、でいいかい?」


 広げた地図の上でとぐろを巻いてるそのさんが言えば、レアリアンドさん達はみんなで頷いた。


「あの、川が大きくうねってるところがあるでしょう? そこから少し森に入ったところに大岩があるはずです。そこなら安全だと思うんで、次の拠点はそこにしましょう」


 地図上の川を指でなぞりながら言えば、そのさんが目を丸くした。


「なんで知ってるんだい?」

「今朝、そのさん達がまだ寝てる時に起きてしまって、ちょっと周囲を探ってみたんです。昨日よりも範囲を広げてみたらよさげな場所があったんで、地図で確認しときました」


 実際に行ってみないことにはわからないけど、なんとなくここは安全な気がする。でも宛が外れるかもしれないから、他の場所も候補で上げとかないとね。


「あんた、そんなことしてたのかい? 気づかなかったよ」

「俺も全然気づかなかった。なーニャオ、今度その周りを探るってやつ、俺にも教えてよ。それができれば狩りたい魔物が近くにいるかわかるんだろ?」

「まうー!」

「ほら、キヨちゃんも知りたいってさ」


 そうは言われてもねぇ……。


「私もそのさんにやり方を教わったけぇなぁ。そのさん、この仔らに教えてもらってもいいですか?」

「そりゃ構わないけど、無理だと思うよ? あれには合う合わないがあるからねぇ。はっきり言って、この仔らは合わない仔らだ。おチビ達の中であれが使えるのは、あたしが見る限りはシキとランリとミオリだね」


 ほうほう、あの3人か。じゃあ帰ったら練習させといた方がいいかもね。いざって時はいつ来るかわからないからね。


「俺もやる! 俺にも教えてよ!」

「わかったわかった、そう吠えるんじゃないよ。まあ頑張って習得した奴らもいるにはいるからね。でもできなかったからってむくれるんじゃないよ?」

「わかってるって」

「まーう!」

「はいはい、あんたもだね」


 若いっていいね。うん、満足するまでやればいいさ。例えものにできなかったとしても、その経験は得難いものだよ。


『○◎、△?』

『✕、▽✕✕◎』


 グランディオさんとノザリエさんが地図を指差しながら何か話してる。そこ何? なんか黒く塗り潰されてるけど。


「そのさん、地図の黒いところはなんですか?」

「わかんないよ。ミクマリノカミ様は教えてくれなかったのかい?」

「はい、地図を描いてくださいってお願いしただけだったんで……。この距離だと歩いて行ったら2週間はかかりそうですね」

「休憩なしで、だろう?」


 そうなんだよねぇ。結構距離がある。テントを張る場所を探しながら、警戒しながらだったらもっとかかるよね。


「漣華さんに連れてってもらうのは駄目ですかね? 結界の中でもユニークスキル使えるんでしょう?」

「確かに使えるが、避けた方がいいね。禁足地から出る分には問題ないけど、禁足地の中を移動するのは魔力が暴発する恐れがあるよ」


 え゛、暴発?


「なんで暴発?」

「まずここがククシナの魔力が渦巻く結界内だってことと、この禁足地に閉じ込められてる魔物達の魔力が高濃度で充満してるってのがある。レンゲが禁足地から外に出る穴を開ければ魔力は外に流れ出るだろうけど、中から中の移動ならただでさえ濃い魔力の渦に他のエリアの魔力を注ぐことになる。そうなりゃボンッ! だよ」


 なるほど、炭酸飲料に例の白いモノを入れるようなもんだね。何とは言わないけど。


「じゃあ、漣華さんの背中に乗せてもらうのは? 空を飛ぶ分には暴発も何もないでしょう?」

「暴発はせんが、魔物共から集中的に狙われるぞ?」


 あ、漣華さんおかえりなさい。見回りありがとうございます。


「妾のような体躯の者が空を飛べば目立つのは当然。攻撃を仕かけてくる馬鹿者も多い。そなた、そんな妾の背に乗るか?」

「やめときまーす」


 自殺行為だわそんなの。時間がかかっても陸路を行くね。


「なあレンゲ、この黒いところを見に行ってくれるかい? あたしらが行く価値がある場所か調べておくれよ」

「とうに行っておるわ。じゃが何もなかった」

「なかっただって?」


 予想外。地図に描かれてる範囲を見るに、結構大きいと思うんだけど。


「飛びながら見た限り、ここいらと変わらぬ森じゃった。ミクマリノカミが何を示したのかさっぱりじゃ」

「でもまあ、これだけ目立つ描き方してるなら行ってみた方がいいですよね」


 わざわざ黒塗りしてるんだから、何もないってことはないでしょ。


「他に行く宛もないし、とりあえずこの黒い部分を目的地にして移動ってことでいいですか?」

「俺は大丈夫!」

「まうー!」

「あたしも構わないよ。あんた達、この黒いところを目指して進むから、ちゃんとついてくるんだよ?」

『◎○!』

『◎○!』

『◎◯!』

『◎○♪』


 よし、当面の目標はこれで決まり。さっさとテントを片づけて進みましょう。

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