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第177話 青

新年あけましておめでとうございます。

スマホの電源がつかないというトラブルに見舞われ幸先不安の1年になりそうです(笑)


総合評価1400ありがとうございます(*>∀<*)ノ

「それじゃあ、ヴェイグさんは引き受けてくれたんですね?」

「うむ。調べる時間もあるじゃろうから、3日後の納品の時には何かしら知らせてくれると言ってくれたわい。いやはや、やはり王都の人間は頼りににゃるのう」


 イニャトさん、嬉しそうだねぇ。私も嬉しいけど。


「で、ニャオよ。お前さんは何をしておるんじゃ?」


 ……それは見て察してほしかったな。


「赤嶺達が狩ってきた2匹目のアンピプテラを燻製にしてる真っ最中ですよ……」

「……あやつらまた獲ってきたんか」


 ええ、全員で褒めまくったら調子に乗ってこの様ですよ。どうすんのよこの巨体。仔ドラゴン達が解体してくれたとはいえ、そこからの処理は丸投げなんだから全くもう。


『○✕、△□□?』

『○□○、△△□○◎♪』


 ノザリエさんとレアリアンドさんが和気あいあいと解体済みの肉を小さく切ってくれてる。マーニガンさんは売れる部位と売れない部位をわけてくれてるし、グランディオさんは美影さんと仔ドラゴン達相手にどう解体したら無駄が少ないか教えてくれてる。

 完全に本来の仕事内容から離れてるな。追加報酬を出せないか後で確認しよう。


「ようもまあこの短期間で2体も獲ってきたもんじゃ。アンピプテラはあまり人の目に触れる場所には来んと聞いておったんじゃが」

「レンゲ姉さんのおかげ」


 おお、美影さん。グランディオさんの話聞いてなくていいの?


「レンゲ姉さんが魔法陣で遠くまで連れてってくれる。だから私も私の虹も、いろんな魔物と戦える」

「いろんなって、普段どれだけの魔物と戦ってるんです?」

「いっぱい」


 いっぱいか~。詳しく聞かんとこ。


「そういう理由があるにゃら納得じゃわい。じゃがあまり無理はするにゃよ?」

「わかってる。大丈夫」


 無理しないってのは大前提だけど、とんでもない獲物とか獲ってこないでよね。処理し切れないよ。


「それにしても、蒼い林檎の木がトールレン町で活躍してくれてるみたいで嬉しいですね。入るお金も悪用されてないっぽいし、安心しました」


 あの木、元気そうでよかったよ。ラタナさんがいる湖から水が流れてきてるから、何かしら力をわけてくれてるのかな? また会いたいな。


「そうじゃのう。もし木が丸裸にされて暴利を貪るようにゃことににゃっておれば対処せねばにゃらんかったが、そうでにゃいようじゃからよかったわい」


 うんうん、お金が絡んで性格が変わるような人達じゃなくてよかったよかった。


「ところで、ニャルクはどこじゃ?」

「ああ、ニャルクさんならシシュティさんの看病をしてくれてますよ。政臣さんの薬のおかげで熱は引いたんですけど、まだだるさが残ってるみたいで」


 シシュティさん、しばらく寝てたけど、その間に熱が引いたんだよね。政臣さんは一旦自宅に帰っていった。効きそうな薬を作ってくるって翻訳してくれたそのさんもついてったから、ここにはいないんだよね。


「そうか。まあ平熱ににゃったのにゃらば明日には元気ににゃるじゃろうて。景気づけに焼肉でもするか?」

「うーん、やるなら明後日ぐらいにしましょう。明日だと胃がびっくりするかもしれないし」

「焼肉? 焼肉するのか?」


 おっと? 聞きつけてきたなおチビ達。……いや、もうチビじゃないか。


「今晩のご飯焼肉にするの?」

「あたしいっぱい食べるー!」

「おいらお肉大盛りだからな!」

「僕は鶏肉がいいな」

「あたしホルモン!」

「はいはいはいはい、今晩じゃなくて明後日の晩ご飯にするよ。シシュティ姉ちゃんが元気いっぱいになったらお祝いにお肉たくさん焼こうな」

「「「「「「「はーい!」」」」」」」


 元気だねぇお前達。獅子獣人のみんなに笑われてるじゃん。


「キヨちゃんの様子も変わらないね」


 帰って早々清ちゃんを見に行ってたアースレイさんが戻ってくる。ほんの数時間で変わりはしないと思うよ?


「ご飯も食べるし、寝床から出て日向ぼっこもするしで健康そのものなんですけどね」

「〈万能言語〉で体調を聞いてみても、すこぶる良好としか答えてくれないんだよ。苦しいとか痛いとかじゃないだけマシだけど」


 あら、アースレイさんの〈万能言語〉って清ちゃんとも話せるんだ。初耳だわ。……清ちゃんすこぶるなんて言うの?


「おや、イニャトさんにアースレイさん。戻られてたんですね」


 あ、福丸さんもこっちに来た。口の周り林檎の果汁で濡らしちゃってまあ。美味しかったようで何よりです。


「さっき戻ったんじゃよ。ヴェイグがヴァルグ隊長殿にキヨのことを聞いてくれるらしい」

「それはよかった。何かわかるといいですねぇ」


 ほんとにね。でも3日間も何もしないわけにはいかないから、私達でも調べとかないと。ペリアッド町に詳しそうな人いないかな?

 うーん、と唸ってたら、どさり、と背後で音がした。振り返った先は私達の家。根元にシシュティさんが倒れてる。


「ちょちょちょ、どうしたんです?」

「姉さん!」


 駆け寄るアースレイさんを追いかけた。抱き起こされたシシュティさんの体が震えてる。寒いの?


「ニャオ、シシュティ姉ちゃんの手が……」


 緑織が言った。


「手?」


 繰り返して、シシュティさんの手に目をやれば、思わず目を見開いてしまった。


「そ、その手は……」

「そんな……」


 シシュティさんの両手が青く染まってる。毛並みも爪も、清ちゃんのお腹と同じく真っ青だ。


「イニャト……、皆さ……」


 上から声がして見上げれば、家の中からニャルクさんが這い出てきてた。落ちそうになってたから腕に抱けば、その小さな足と尻尾の先が、シシュティさんと同じように真っ青だった。


「にゃんと、ニャルクや……。大丈夫にゃのか? どこか痛むか?」


 私の肩に駆け登ったイニャトさんが不安げな顔で覗き込む。ニャルクさんはうっすらと瞼を開けた。


「うにゃ……。痛くはにゃいです……。ただ、体がだるくて……」

「だるいじゃと? シシュティと同じではにゃいか! どうにゃっておるんじゃ?」

「わかりませんよ!」


 何が起こってんの? どうしたらいいのこれ?

 福丸さんはすごく難しそうな顔をしてるし、獅子獣人達は硬直してるし、何がなんだかわからない。


「あの、政臣さん達を呼びませんか? 家に戻ってるはずですから」

「僕が呼んでくる。姉さんを頼むよ」

「わかった。頼むぞアースレイよ」


 頷いたアースレイさんが、シスレンの木が生える方に向かって駆けていく。震えてるシシュティさんの肩を抱き寄せれば、ひしっとしがみつかれた。

 水神さんに聞けば何か教えてくれる? それとも自力で解決すべき?

 ニャルクさんの顔色を窺いながら、シシュティさんの背中を撫でつつアースレイさんが戻るのを待つ。それしかできない自分が心底腹立たしかった。

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