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第18話 お詫びの品

ご閲覧、評価、ブックマークありがとうございます。

 ギルド内にある売店前。屋台にはなかったいろんな商品を眺めながらうーんと唸る。

 ギルマスとの話が終わって部屋を出た後、騒ぎの前に着いていたテーブルに戻ってニャルクさんからレッドドラゴンとかの情報料をもらった。

 この世界のお金はエルで数えるらしいから、レッドドラゴンは9万5000エル、グスターブは6万2000エル、ケリュネイアは4万エルだった。ケリュネイアの分はニャルクさん達と山分けだから、こっちの取り分は2万エルだ。

 情報料の決め方は生活にどう関わるかが重要らしく、空を飛ぶタイプの魔物は基本的に高額。巨大ワニのグスターブは繁殖期以外は単独で過ごす魔物で、今は時期じゃない。しかもレッドドラゴンに狩られたから今回のは安心料みたいな感じ。ケリュネイアは村とは反対方向に向かったということで、こっちもまあ安心料。

 因みに支払うまでに時間がかかったのは嘘の情報じゃないか調べてたからで、どういう風に調べるのかはニャルクさんも知らないらしい。

 短期間で同じ魔物の情報が複数入った場合は、情報を持ってきた人達で山分けするのが普通だとか。

 まとまったお金が入ったイニャトさんはスキップで軽食コーナーに向かって、ニャルクさんは追いかけていった。残ったのはバウジオだけ。

 そのバウジオを誘って、商人ギルドの方にある売店で品定め中。目当てはニャルクさんへのお詫びの品だ。

 気にするなとは言ってくれたけど、私のせいでしなくていい怪我をしてしまったんだからお詫びをしないと気が済まない。猫耳糞ジジイは消えてたから、萎びたままどこかに運ばれたんだろうな。


「それにしても……」


 読めないから何が何やらわからない。小さな宝石がついたお守りみたいな物もあれば、液体が入った小瓶もある。小瓶は透明、半透明の青、不透明の黒で色分けされていて、黒い小瓶が一番高い。読み方を間違えてなければ30万エルだ。


「どれにしたらいい?」


 なんとなく、隣でお座りしてるバウジオに声をかければ、小瓶に顔を向けてふすんと鼻を鳴らした。


「これ?」


 青の小瓶を手に取れば、上がっていた尻尾がぱたんと床に落ちる。黒い小瓶に手を伸ばせば悲しそうな声を出された。


「こっち?」


 透明の小瓶を取ると尻尾をぶんぶん振ったからこれにしよう。値段は2万エル。そこそこの値段だけど、安過ぎても嫌だからちょうどいいと思う。

 売店のおじさんにお金を渡すと宝石つきのネックレスをくれた。返そうと思ったけど、周りを見るとさっきの騒ぎで笑ってた人達ばかり。おじさんもにこにこしてる。

 笑わせてくれたお礼ってことかな? 受け取ってお辞儀をすれば、いい笑顔でばいばいされた。


「おーい、遅いぞお前さんら」

「冷めちゃいますよ」


 もらった物をマジックバッグにしまって、小瓶を持ったままテーブルに戻ると、兄弟猫が既に椅子に座っていた。新しい唐揚げともう1皿をつついてる。


「え? ハンバーガー?」


 物凄く見覚えのある食べ物。週に1回は食べてた好物だ。


「お、知っておるのか?」

「これも異世界人から習ったそうですよ」

「中はメンチカツとチーズとトマトじゃ。無農薬のレタスも挟んでおる。ソースがにゃんとも言えんいい味しとるんじゃよ」


 私の席には普通サイズのが一つ。ニャルクさん達は少し小さめのハンバーガーを齧ってる。


「なんか、フライドポテトもありそうだな……」

「あるぞ」

「あるの?!」

「ハンバーガーと一緒に異世界人が教えてくれたみたいですよ」


 300年前には異世界人を喚ぶことはなくなったらしいけど、そもそもこれらってそんなに前にあったっけ? というか、私がいた日本以外から喚ばれた人が伝えた可能性もあるよね。


「どんな異世界から来た人とかはわかるんですか?」

「うんにゃ、異世界人は異世界人で統一しとったから、どんにゃ世界から来たかは重要視しとらんかったらしい」


 そっか、残念。いやいや、そんなことよりさ。


「ニャルクさん、これどうぞ」


 バウジオに選んでもらった透明の小瓶を渡した。


「これ、ポーションですね。どうされたんですか?」


 あ、ポーションだったんだ。


「さっきのお詫びです。受け取ってください」

「いやいや、ほんとに気にしにゃいでください。危にゃいとわかってたのに逃げにゃかった僕も悪かったんですから」

「いやいや、ほんと、私のせいなんで」

「いやいやいや」

「いやいやいやいや」

「いい加減にせんか。いやいやいやいややかましいぞ」


 ポーションを渡す受け取らないでいやいや言ってたらイニャトさんにピシャリと言われた。


「ニャルク。それは受け取れ」

「ですが……」

「今回の一件、儂もニャオに責任があるとは思わん。じゃがきっかけを作ったのは確かじゃ。それ故に罪悪感を覚えて詫びをしたいと言っておるのを断るのはいかがにゃもんかの?」

「まあ、確かに……」

「ニャオよ。お前さんはニャルクがポーションを受け取ればそれで終いにせい。罪の意識も捨て去れ。今後蒸し返してはいかん。互いにこの件を終わらせるんじゃ」

「まあ、はい……」

「何より飯が冷める。はよ食え」

「「はい、お父さん」」

「誰が父じゃ誰が」

「ぅぉふっ」


 その後ハンバーガーと唐揚げを食べて、夕御飯を買ってテントに戻った。温かいスープと柔らかいパンだ。

 明日は村を出る準備を始めるニャルクさん達の買い物についていく約束をした。私もいいのがあったら買わないと。

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