第2話 初期装備って大事
書く意欲がある内に頑張ります。
コンコンッ
突然鳴った高くて硬い音に振り返れば、おじさん達よりももっと豪華な、……はっきり言って下品な服を着たお爺さんが杖を支えに立ってた。
大きな宝石、魔石かな? が嵌め込まれた杖は金色で、お爺さんの下品さが増して見える。
『✕○……』
大声ではないけど、はっきりと通る声で言ったお爺さんに、おじさん達が口を閉じて、揃って頭を下げる。
周りが静かになったタイミングで、初めて自分以外の人が2人いることに気づいた。
1人は女の子。焦げ茶色の髪を1つに結んだ、陸上部にでも入っていそうな可愛い子。
もう1人は若い男性。土木関係の人なのか、土で汚れた作業着を着てる。
『○✕○□、✕▽?』
『□○△、▽○✕?!』
『……』
おじさん達がお爺さんに近づいて、ひそひそと話ながら私達をちらちら見る。声そのものはそこそこ聞こえるけど、言葉がわからないから意味がない。
「すみません、あの人達なんて言ってるかわかります?」
とりあえず、一緒にこちらに召喚されたであろう2人に声をかけた。どうにかして情報を得ないと何もできないし。
そしたら、女の子の方が不思議そうな顔をした。
『○□○✕?』
……はい?
『✕▽✕? ○□?』
作業着の男の人が女の子に話しかける。
『✕▽□! ○○□?』
『□○✕? ▽△✕○!』
目の前での意気投合。突然のぼっち。
「……私だけ、言葉のスキル持ってない?」
うっそでしょ、あれって標準装備じゃないの?
口の端が引くつく。視界の端で揺れる猫耳おじさんの尻尾。
ああ~腹立つ。