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第146話 わんわん大作戦

ご閲覧、評価、ブックマークありがとうございます。

「はーい、みんな注目ー。こっち見てー」


 次の日、ウェアウルフ達を連れて杖のギルマスのところに行って、警備隊を集めてもらった。さすがに全員を一気に、はできなかったから、日中と夜間の二組にわけてある。


「はいみんなー、間におる人が相棒やからねー。一緒に町を見回って、悪い人がおったら懲らしめるんよー」

「わっふわっふ!」

「ウォンウォン!」

「あ、でも怪我させるぐらい強く噛んだらいけんよ。あくまで捕まえるのが目的やから、服とかベルトとかを噛んでなー。本体は最後までとっといてー」

「わおーん!」

「ゥオーン!」


 うんうん、いいお返事。さすがうちの仔達。

 警備隊1人につき、ウェアウルフとブラックドッグを1体ずつ同行させて見回ってもらうのが今回の作戦。ルートとか気をつけることは道中教えてくださいって、ニャルクさんから警備隊の人達に伝えてもらったから、ある程度慣れたらうちの仔らだけで警備できるよね。


「ニャオよ、本当にこれで行くのか?」

「あれ、イニャトさん。なんか不都合でも?」

「不都合、というより……。あやつらの顔を見よ。この世の終わりを眺めているかのように真っ青じゃぞ?」


 うん、知ってる。気づいてるよちゃんと。

 左右をウェアウルフとブラックドッグに挟まれた警備隊員が直立不動で真正面だけを見てる。怖がっちゃってまあ。


「慣れますよその内。というか、普段から魔物から町を守る為の訓練をしてる人達なんでしょう? だったら大丈夫ですって」

「そうは言うてもにゃあ……。あやつらは魔物と戦う立場にゃんじゃぞ? それにゃのに仲よく見回りにゃど……。本当に大丈夫じゃろうか」


 イニャトさんが、うにゃう、って唸った。その声可愛い。


「イニャト、ニャオさん、セキレイ達が配置につきました。もう見回り始めてもらって大丈夫ですよ」


 お、早いね。じゃあそろそろ始めましょ。

 赤嶺達には町の高い建物の屋根に待機してもらってる。見回るみんなが見える位置だ。私達も可能な限り警備につく予定だけど、仔ドラゴン達にも手伝ってもらうことになった。地上を行くのと空から見るのじゃあ全然違うからね。


「それじゃあ、第一陣に出発してもらいましょうか。えーっと、ウェアウルフ2体とブラックドッグ3体、あとバウジオですね」

「ばっほい!」

「うんうん。バウジオ、お前がリーダーじゃきい頼んだで」

「ぶぁっほい!!」

「ぅお、凄い気合い」


 よきかなよきかな。よし、お前達頑張れ!




 ▷▷▷▷▷▷




「おつかれ。警備の任務はどうだった?」


 ペリアッド町の門を出たら、漣華さんの魔法陣の隣にアースレイさんが立ってた。お迎えだ。


「日中組も夜間組も、一通り覚えたみたいです。念の為、夜も日中組は町に残ってもらうことになりました。いつでも動けるように」

「ということは、バウジオもかい?」

「はい。で、仔ドラゴン達は男の仔組と女の仔組にわかれます。昼間は両組が町を空から見回って、夜は残る組と帰る組で、交代交代ですね」

「今日はあたし達が家に帰るの。明日はセキレイ達だよ」


 足元にいた黄菜が言えば、アースレイさんはにっこり笑って、そっかー、と言った。

 なんやかんやで、19の魔物が警備につくことになっちゃったんだよねぇ。杖のギルマスと、戻ってきてた斧のギルマスに説明したら目をひん剥いてたっけ。


「僕達は町に泊まる予定は?」

「そうですねぇ……。とりあえず赤嶺達だけで様子を見て、何も起こらなかったら私も残ります。その時にはアースレイさんかシシュティさんにつき合ってもらえたら嬉しいんですけど」

「そりゃあ当然つき合うけど、何も起こらなかったら、でいいのかい?」


 首を傾げられた。あざとい。


「仮に何も起こらなかったとして、私が町に残ったことで普段と違う動きがあれば、狙いが私だとわかるでしょう?」

「ニャオさん。あにゃた、また囮ににゃるおつもりで?」


 おおっふ、ニャルクさんいつの間に近くに? イニャトさんと一緒に買い忘れがないか確認してたんじゃなかったの?


「ならざるを得ないでしょう? こういう状況なら」


 私だってやりたくはない。ニャルクさん達にもアースレイさん達にも心配かけるから。だけど私を狙って来た奴らがマイス君達の町に悪さをするのはいただけない。だったらこっちから狙われやすくなってやろうじゃん。返り討ちにするけどさ。


「それと、もし状況が悪化するようなら漣華さんとか福丸さんにも警備についてもらおうかなって思うんですけど、そうなった場合町のどの方面にいてもらったらいいですかね?」


 ジト目の兄弟猫とアースレイさんに聞くと、首をぶんぶんと横に振られた。なして?


「ニャオさん、あの2人は警備につかせられないよ」

「え、なんでです?」

「教えたとは思うが、レンゲ殿とフクマル殿はSSランクの魔物じゃ。そんにゃ魔物が門を守るところを想像してみい。警備じゃにゃくて武装じゃろうが」

「武装……」

「下手をすれば騎士団が飛んできますよ。反逆かって」

「反逆……」


 あの2人が動くだけでそんなことになんの? 片っぽは林檎狂いなのに。


「美影さんは?」

「ミカゲも駄目じゃ。あやつは冒険者パーティーのSランクの昇格試験に使われるほどの強者。レンゲ殿達ほどではにゃいが、王都が危険と判断した魔物にゃんじゃよ。忘れてはおらんじゃろう?」


 そういやそうだった。赤嶺達がお腹にいたから、余計に気が立ってたんだよね、あの時。


「じゃあ、町の警備につけるのは仔ドラゴン達とブラックドッグとウェアウルフと……、あ、芒月は?」

「ノヅキもまだ仔どもですから、大丈夫と言えば大丈夫ですけど……。飽きっぽいでしょう? きっと警備の途中で寝ますよ、あの仔」


 うん、気ままな仔だからね。今回はお留守番しといてもらいましょうね。

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