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第140話 疲れと成長期

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「あ゛ーー……」


 祭が終わって2日目。赤嶺達と出店に戻って、店番しててくれたジアーナちゃん家族にお礼を言って片づけをしてたら、ダッドさん一家とギルマス達が駆けつけてくれた。急にいなくなったことを謝罪しまくって家に戻った後、昨日の夕方までずーーーっとお説教された。ニャルクさんが先頭に立って、アースレイさんやら美影さんやらに叱られ叱られ、しまいにゃ仔ドラゴン達がシシュティさんとアーガスさんとライドさんのお怒りの言葉を四方八方から翻訳してくるもんだから参った参った。

 エルゲさんとオードさんは用事があるからユニークスキルで王都に送り届けたって漣華さんから聞いたけど、それは本当にありがたかった。オードさんならともかく、エルゲさんのお説教なんてどんだけ憔悴するかなんざわかったもんじゃないからね。

 でも大勢からあーだこーだと言われるのはさすがにきつい。わかってるよ? 心配してくれたのは嬉しいしわざと罠にかかった挙げ句拐われたんだから申し訳ないとは思ってるよ? でもさでもさ、帰ってきたばっかりの奴を地面に正座させて延々とお説教しなくてもよくない? 痺れ通り越して感覚ないよ私。

 で、まともに休むこともできなくて代わる代わるお説教され続けた結果、熱が出てぶっ倒れた。


「あ゛ーーーー……」

「変にゃ声出さにゃいでくださいよ。静かに寝ててください」


 お説教を中断されて、布団に押し込まれてからは出ることを許されなかった。体が熱い。咳がないことが救いだな。でも頭は痛い。目を閉じてるのにぐらぐらする。しんどい。


「今アースレイさんとシシュティさんが解熱効果がある薬草を摘みに行ってくれてますから、大人しくしててください。はい、すりおろし林檎。これにゃら食べられるでしょう?」

「あ゛りがどうございます……」


 咳も出てないのに声がガラガラ。なぜに?


『○、△○□?』


 起き上がろうとしたら、布団の隣に座ってた政臣さんが背中を支えてくれた。頭を下げてニャルクさんから器を受け取ると、こっちも政臣さんが食べやすいように持ってくれた。

 政臣さんは福丸さんとも知り合いだったみたいで、こっちはそこそこ仲がいい様子で話してた。で、福丸さんは嫌な顔をする漣華さんを無視して森に招き入れたんだよね。エルフとはいえ高齢みたいだし、ハンモックで寝てもらうわけにもいかないから私達の家にいてもらってる。このまま住むつもりなら、新しい木をどこかに植えないとね。


「おーい、ニャオや~。調子はどうかの?」


 簾を捲ってイニャトさんと芒月が入ってきた。イニャトさんは手紙を、芒月は清ちゃんが入った竹筒の紐を首に下げてる。


「あんまりでず……」

「にゃんとまあ。罰があたったんじゃよ罰が。儂らに散々心配かけおってからに。ちっとうは反省せい」

「はい゛、ずみまぜん……」


 すりおろした林檎を食べ終えて横になったら、竹筒をニャルクさんに外してもらった芒月が布団に潜り込んできた。狭い。でも温かい。気持ちいい。

 お腹が満たされたのと、程好い温度でまた眠くなった。枕元でちゃぷちゃぷ水音がする。頭だけ動かして見てみたら、イニャトさんが木桶に水を入れていた。


「ほれ、キヨちゃんや。お前さんもニャオを見張っておくれ。布団から出ようとしたら水をかけてやれ」


 いやいやいやいや、何言ってくれてんの? ちゃんと寝てるってば。


「そうじゃ。キヨちゃん、このシスレンの実を食うとってくれるか? ニャオの熱が下がればこれを植えに行く約束ににゃっておるんじゃ。頼めるかの?」


 イニャトさんが私のマジックバッグから例の実を取り出すと、清ちゃんはくぱっと口を開けた。オッケーってことらしい。小さくない実だけど、いつぞやの林檎みたいに丸呑みにした。


「あ゛れ……?」


 なんか、清ちゃんが違う。


「どうしました?」

「ニャルグさん、清ぢゃん大きぐなってまぜん?」


 うん、どう見ても太さが増してる。それに長くなってるよね? 春になって活発になったとはいえ、木桶に沈めた竹筒に入ってることが多かったから気づかなかったな。


「成長期じゃろ。気にすることではにゃいわい」


 イニャトさん、またそんなこと言って。てゆうか、神の繭の最大サイズって何センチなんだろ。木桶が狭くなったらどうしよう。いっそ池でも造ってしまおうか。

 ……ちょっと待ってニャルクさん、どうして清ちゃんの木桶で布を濡らしてるの? え? それどうするつもり? まさかとは思うけど私のおでこに乗せないよね? 私用じゃないよね?? 違うって言って? お願いだからちょっと待って待って待ってぇぇぇぇぇぇ……。

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