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第125話 さすがに目立つ

ご閲覧、評価、ブックマークありがとうございます。

『……』

『……』

『……』

『……』

『……』


 そんな目で見ないでよ。


『……??』

『……??』


 ダッドさんラミラさん、せめて2人には普通に接してほしかった。難しいとは思ってたけども。


「ほれ、お前さんら。呆けとらんで家に入れておくれ。納品ができんし寒うてかにゃわん」


 イニャトさんが声をかけて、やっとダッドさん達が動いてくれた。マイス君達はニャルクさん達に私が誰なのか頻りに聞いてる。うーん、切ない。

 結局元の姿に戻れないまま納品に行くことになった。仔ドラゴンを連れてるメンツなんて私達以外いないし、うねってるとはいえこの町に黒髪は私だけだからみんなが二度見してきて困った困った。

 一応両隣にアースレイさんとシシュティさんが控えてくれてるけど、襲ってくる人はたぶんいないかな。だってライオンの耳と尻尾丸出しだから。

 ハノア農園に着いたらみんな固まった。鼠獣人相手に配慮が足りなかったかな。もう遅いけど。


「では、今回の納品は以上ですね。また来週来ますけど、余分にほしい果実はありますか?」


 家に入れてもらって、ホットミルクをご馳走になった。体がじんわり温まる。ニャルクさんに聞かれて首を横に振ったダッドさんの頭を、ラミラさんがパチンと叩いた。何事?


『✕✕、△○□?』

『▽、□✕▽✕』


 なんか怒られてる。珍しい。

 咳払いしたダッドさんがニャルクさん達に何か言った。ふむ、とイニャトさんが頷いて、こっちを向く。


「ニャオよ。ペリアッド町では春の訪れと共に祭を開くらしい。その時に様々にゃ出店が出て、ハノア農園も毎年たくさんの果実を売っておったんじゃと」

「そこで、農園で採れた果実と僕達が卸してる果実の加工品を売りたいと言ってます。ハノア印とニャオ印という風に区別をつけて。早い内に準備を始めたいから、次の納品から量を増やしてほしいそうです」

「それはもちろん構いませんけどニャオ印ってやめてくれません?」


 人の名前勝手に使わないでよ。あだ名だけどさ。


「にゃぜじゃ? お前さんが育てた果実じゃぞ? いい名ではにゃいか」

「いやいや、嫌ですよ。他の名前ならいいですけど」

「他の名前? 何がいいですか?」


 ニャルクさんが首を傾げた。そう言われても困るけど……。


「じゃあ、虹印は?」

「虹? ああ、セキレイ達か」


 イニャトさんが窓の外に目をやった。外ではバウジオと仔ドラゴン達とアースレイさん達が待機してる。というか遊んでる。芒月はいない。家で福丸さんと寝てる。


「まあそれがいいにゃらよかろう。ではダッドよ、儂らの方は虹印で頼む」

『◎○』


 ダッドさんとラミラさんが頷いた。


「イニャトさん、その祭って私達も出店していいんですか?」

「む? ちと待っておれ……。……商人ギルドに申請すれば大丈夫らしい。せっかくじゃし、ニャオと儂と、それぞれ出店してみるのはどうじゃ?」

「できるんですか?」

「それも合わせて聞いてみましょう。にゃんだか楽しみですねぇ」


 にゃふふ、とニャルクさんが笑った。


『◎、△□、○◎?』

「ニャオさん、ラミラさんが、ニャオさん達が出店するなら自分達は出すのをやめましょうか? って言ってますよ?」

「そんにゃこと気にするでにゃいわ」

「そうですね。別の物を出すから、ラミラさん達は加工品作りを頑張ってくださいって伝えてください」


 そう返せば、ラミラさんは嬉しそうに微笑んだ。

 さて、早速ギルドに行ってみますかね。




 ▷▷▷▷▷▷




 商人ギルド側の受付嬢に聞いてみたら、意外と簡単に登録してくれた。ギルドカードも流し読みみたいな感じだったし、大丈夫かな。……視線が耳に注がれてたのには気づかなかったことにしておこう。


「何を売ろうかな。ジャムもいいし、フルーツジュースも美味しいし、どうしよう?」

「まだ時間はあるんだから、ゆっくり考えればいいよ。決まったら僕達も手伝うからね」


 ギルドを出ながら言えば、アースレイさんが答えてくれて、シシュティさんもうんうんと頷いてくれた。2人を見下ろすのはなんか慣れないな。


「儂はどうするか……。各地で集めた珍しい苗木を売るのもいいかもしれんのう。とにゃれば、数を増やさねばにゃらん。ニャオよ、モモコの牧草地を少し借りてもいいかの? あそこにゃら苗木もすくすく育つじゃろうて」

「もちろんいいですよ。お手伝いしましょうか?」

「んにゃんにゃ、儂だけでやるわい。お前さんはお前さんの方に力を入れよ」


 了解でーす。

 レストラン・ロナンデラへの納品はまとめてどんと持ってくようにしてるから、今回はなし。だから後は全部自由時間になる。

 ギルドの前の通りを歩きながら、あっちに行こうかあの店に行こうか話してたら、斧のギルマスが飛び出してきた。私を見て誰? って顔してたけど、周りを見て察してくれた。さすがギルマス。

 急用というわけじゃなく、ギルドまで来たなら一声かけろってことだったみたい。それを言う為に出てきてくれたのか。なんか申し訳ない。

 その後、ギルドからよく会う職員さん達とか、解体屋からレドナさんまで出てきて囲まれた。獅子獣人ってのは珍しいんだろうか、耳も尻尾も触られた。料金いただきたい気分。そんなこと言ったら本当に払われそうだから言わないけどさ。

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