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第101話 活気

ご閲覧、評価、ブックマークありがとうございます。

無事に二度目のワクチン接種を終えました。今のところ急激な眠気以外の副作用は出ておらず、我が家のわんこのベッドを3時間占領して爆睡する以上の被害はありません(笑)

数日前から水を多めに飲んだからかはわかりませんが、試す価値はあるかと思います。

読んでくださっている皆様も、体調には充分お気をつけください。

『◎○△~、□○◎~♪』

『◎○◎○~!』

『◎◎〜♪ ◯▽◯□〜!』


 午後のトールレン町の賑やかなこと賑やかなこと。昨日の悲痛な出来事をさっぱり洗い流すみたいな笑い声が町中に溢れてる。

 卵を飲んだ子ども達が、同い年ぐらいの子ども達と駆け回って遊んでる。ジアーナちゃんも楽しそう。牧場主がそこここに出店を出して、自慢のアイスとか肉の加工品をお手頃価格でたくさん売ってる。売る方も買う方も笑顔だ。

 蒼い林檎の木が生える水路の前に置かれたベンチに座って、つい笑いそうになるぐらい騒がしい町民達を眺めながら、ダリアさんが持ってきてくれた搾りたての牛乳を一口飲んだ。枝間を跳び交いながら、仔ドラゴン達がせっせと蒼い林檎を収穫してくれてる。未だアタナヤに寄生されてる家畜達に食べさせる分だ。

 ベンチの隣ではニャルクさんとイニャトさんが収穫された林檎をせっせと袋詰めしてる。その前に列をなしてるのは牧場主達。各自袋を持参してもらって、必要な数を言ってもらって、袋に詰めてを繰り返してる。

 私も手伝おうとしたけど、漣華さんに止められた。蒼い林檎の木は私が持つ水神さんの気を吸って実をつけ続けてるらしいから、下手に動くと私がぶっ倒れるんだとか。ベンチは近くの道に置かれてた物をエルドレッド隊の隊員達が運んできてくれた。漣華さんは用があるって言ってどこかに行ったけど、不用意にベンチから離れればどこぞのダンジョンに放り込むって脅されてるから立つに立てない。


「ニャオさん、体調はどうですか?」


 しばらくして、蒼い林檎をもらいに来てた最後の牧場主が帰ってから、ニャルクさんが近づいてきた。


「大丈夫です。お任せしてすみません」

「いえいえ。ニャオさん大活躍でしたからね。これくらいのことは僕達に任せて、ゆっくりしててください」

「ニャオー、この林檎、何玉か持って帰ってもいいかの? 記念に家の近くに植えたいんじゃが」


 採り過ぎた蒼い林檎を数えながらイニャトさんが聞いてきた。


「いいですねぇ。福丸さんも喜ぶと思いますよ」


 たぶん。

 蒼い林檎は今でこそ凄い効果を持ってるけど、町にいるアタナヤが全滅したらただの蒼いだけの林檎になるじゃろうって、漣華さんが言ってた。まあこんなのが成り続けたらいろんな方面で大変なことになるだろうから、ほっとしたっていうのが本音。私のせいで強欲な人間がトールレン町に押し寄せたーなんてことになったらたまんないもんね。木はこのままっぽいから、観光名所ぐらいにはなりそうだけど。


「ニャオさん、午後から斧と杖のギルマス達に会いに行く約束ににゃってますけど、お昼はどこで食べます?」


 ニャルクさんに聞かれて真っ先に思い浮かんだのは、前に私らが客寄せパンダになったあの店だ。美味しかったし安かったし、何より店員さんが青蕾達を怖がってなかったから行きやすい。

 そんなことを話してたら、ジアーナちゃんが慌てた様子で駆け寄ってきた。他の子ども達も一緒だ。どしたの?


「ニャオよ、ジアーニャがうちで食べていけと言っておるぞ。アタニャヤを飲んでしまった子らの親達がヴァラカン牧場で昼飯を用意してくれておるようじゃ」

「お、マジですか」


 いいね。行きたい行きたい。


「こっちの片づけも済んだし、せっかくじゃから世話ににゃろうぞ。で、頼みがあるんじゃが……」

「? なんです?」


 首を傾げたら、イニャトさんが蒼い林檎の木を前足で示した。


「あやつらを止めてくれんか。採り過ぎじゃわい」

「……あ」


 仔ドラゴン達忘れてた。

 摘んだ蒼い林檎を水路に落として、流れてきたのを拾うってやり方をしてたけど、拾い切れなかった林檎が散った桜みたいに水面を覆ってる。頑張り過ぎだよお前達。全部回収しとこ。

 ちなみにこの水路、今後は家畜の飲み水用としてじゃなく、家畜の餌である穀物を育てる用に使うらしい。ろ過以外に防魔虫用の特殊な魔石も新しく設置して、町に届くまでにアタナヤの卵を死滅させるんだとか。卵は空気に触れても死ぬらしいから、穀物に付着しても寄生まではいかないみたい。それでも念の為、直接飲ませるのはやめるらしい。そりゃそうだ。


『○! ◎○○!』


 ジアーナちゃんに手を引っ張られる。ヴァラカン牧場に帰るらしい。蒼い林檎は全部の牧場に行き届いたし、不用意に動くわけじゃないから、漣華さんも怒らないよね。……怒らないよね?

 もう片方の手を、最初に卵を吐いた男の子に握られた。前歯が抜けた、ちょっとお間抜け顔の可愛い子。反対側には妹がいる。こっちも可愛い。

 子ども達に先導されてヴァラカン牧場にたどり着くと、規模の大きなバーベキューが始まろうとしてた。なんと屋根まである。運動会で見るやつに似てる。柱は木だけど。

 笑顔で出迎えてくれたダリアさん達に、屋根の下に案内された。そしてたくさんのお肉と野菜を持ってきてくれた。私達は食べる専門らしい。途中アイスとかラッシーも挟んでくれて、いつもよりたくさん食べられた。

 バウジオも仔ドラゴン達もはしゃぎにはしゃぎまくって食べまくってた。イニャトさんなんかラッシーをビールみたいにがぶ飲みしてる。ニャルクさんはイニャトさんに比べて少食だけど、それでもたくさん食べてた。清ちゃんには生肉を一切れあげたけど、しっかり食べたっぽい。

 ギルマス達との約束の時間が近づいて、お暇しようとしたら、お礼にってたくさんのお肉をくれた。ありがたやありがたや。そして牝の仔牛を1頭。なぜに? って思ったけど、イニャトさんがこれはいい牛じゃ! って言うもんだから、笑顔で手綱を受け取った。

 ……牛食った後に仔牛連れて歩くのはどうなんだろうね。まあいいけど。大人になったら牛乳飲めるもんね。楽しみにしとこ。

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