ハゲウォーズ
「「はげぇ~はげぇ~」」
「くそっ!毛根なところまで!」
「撤退だ!ヘリに乗り込め!」
ドカーン
爆発とともにハゲがあふれるように出てくる。
「こんなに隠れていたのか、とても逃げ切れないぞ!」
遠くで悲鳴が聞こえる。ハゲにやられたんだ。
次々とヘリが飛び立つ。私も急がなければ。
すぐ後ろまでハゲが迫っている。振り返ったら私も飲み込まれてしまうだろう。
「つかまれ!」
仲間の手を掴みヘリに乗るこむ。危なかった。
「危ない!」
少し離れたヘリがハゲに捕まったらしい。
必死に飛び立とうとするも、ハゲたちが連なり離陸を許さない。
ズドーン
轟音とともに機体とハゲが飛び散った。
「また街が一つやられた」
隣の兵士がつぶやく。
「ハゲさえいなければ・・・」
震えた声が聞こえる。
崩れ行く街を背に我々は涙をこらえる。
「隣のクラスの吉田くんのお父さんハゲだったんだって!」
「うそー、てことは吉田くんもハゲの素質あるってこと???」
「おい吉田!こっちくんな!ハゲが移る!」
ハゲ。悪の使者。正義を脅かすもの。
いつからだろう、ハゲに怯えるようになったのは。
いや、我々はもとからハゲを恐れていた。その事実を、ハゲをいじめることで目をそらしていた。
そのごまかしももう通用しない。ハゲは日に日に勢力を増し、今や我々が虐げられし存在なのだ。
ある者はこう言う。
「終焉の時は来た。これは善と悪との戦いである。善による千年の統治は終わりを告げ、今や悪による統治が始めろうとしている」
そう、これは善と悪との戦いなのだ。家族を、仲間を守るため、明日を守るため私は戦地へ赴く。
ハゲウォーズだ。
作者はハゲではありません。