表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使戦闘期  作者: 滝藤 氷弥
第1章 魔獣討伐
2/32

第1章 2『非日常への一歩』

夢から覚める時はいつも水から浮くような感じがする。だんだん意識が覚醒していき、重い瞼をゆっくりと開ける。そこにあるのは見慣れた天井。目覚ましの音がやけにうるさい。


(耳障りだ)


そう思い目覚まし時計に手を伸ばす。しかしギリギリのところで手が届かず、バランスをくずしベットから落ちてしまった。


「痛ってぇ」


そうつぶやき上半身を起こす。さっきの振動でパっちり目を覚ました。そして、ドアの方に向かっていき、部屋を出て階段を降りていつもの様に顔を洗い、トーストを食べて、学校に行く準備をする。


今は朝の六時半とまだ早いが、硬式テニス部の朝練は七時十五分からととても早い。そのため家から三十分はかかる高校は、向こうで体操着に着替えるのも含め六時三十五分にはでないとならなかった。


そして、やっとの事で制服に着替えて、バックを持ち家を出た。六時三十三分に。


こんな普通の日常とは、いつまでも続くと思っていた。そして珍しくもない、人生を送るのだと、満員電車に揺られながら河野茂は、考えていた。


そんな今日が、非日常への始まりの一歩だとも知らずに。




* * * * * * * * * * * * * * * * * *




高校の最寄り駅で降りてからは、歩いて学校へ向かう。駅の改札を出たときに左からいきなり


「おはよう」


と挨拶された。左を見るとそこには同じ硬式テニス部に所属している柊 史也であった。同じ高校二年生で一年生の時から一番気があっていた友人だ。


そんな友人に「おはよう」と返し一緒に並んで歩き始める。ちなみに学力は、同じくらいで、運動は、自分の方が出来るが、テニスだと同じくらいかと茂は、自分のことを史也と比べ評価している。


そんなことを思いながらいつもの様にアニメの話やゲームの話、宿題の話などで盛り上がっていた。


しばらくしたら史也との話が一回終わり沈黙が生まれた。次の話題を考えていると史也が急に自分に


「なぁ、天使に興味あるか?」


そう笑いながら尋ねてきた。


「は?どういうことだよ」


当然の返答だ。誰だってこんなことを突然聞かれたらこう答えるだろう。しかし史也は


「興味あるか?」


とまた聞いてきた。仕方なく茂は、話に乗ってやろうと思い


「もちろん興味あるぜ。だって、天使って可愛いじゃん」


そう軽く答えてやった。


そしてこの軽口がこれからの茂の運命を大きく変えることになるなどこの時の茂は、知る由もなかった。


その返答をした途端、史也は急に真顔になってら、すぐ満足したような顔になって、


「その返答を待っていたよ」


と言ってきた。その瞬間茂は、身の前が急に白い光に包まれたような感じがした。そしてゆっくりと上へ引っ張られていくような、そんな奇妙な体験をした。そして意識は遠ざかっていった。




* * * * * * * * * * * * * * * * * *




意識がゆっくりと覚醒していき瞼を上げるとそこには見慣れない天井があった。そしてとてもふかふかのソファーに座っていることに気づいた。


辺りを見回すと今いる場所がどうやら家のようでとても広いリビングのような場所にいることが分かった。広いリビングの上にはシャンデリアがぶら下がっていて、周りを見ると絵画などが飾っているのかと思ったらそうでもなく壁には、そこら じゅうにドアがあった。どうやらとてつもなく広い屋敷だと思った。


そして、そこまで理解したところで茂は、何故自分がここに居るかを考え始めた。


確かいつもの様に起きて朝練に向かっていき駅で史也と会った。いつもの様に他愛のない話をしながら学校に向かっていき···その後がなかなか思い出せない。


これ以上考えると頭が痛くなりそうなので、やめることにした。幸い身体は自由だ。少し待ってようと思ったそのとき、茂のちょうど真後ろに位置するドアが開いた。


そして入ってきたのは、白いスーツを見にまとい、その両手に、盆を持っているかなり顔の整った男だった。


ちなみにその盆には、カップが二つ並べられてお

り、湯気がもうもうと出ている。淹れたてのよう

だ。


「目が覚ました気配がしたからやっぱりそうか。河野 茂君、君に少し話があるんだ」


そう言って近ずいて来る。


そう、これこそ河野 茂の非日常への第一歩だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ