表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/15

ゴルコンダ

 僕は集団に紛れるのが得意である、本来は電車の中だろうと、バイクで走っている最中であろうと、取り立てて目立つような人間ではない。まるで風景のように。


 似たような姿、似たような動きをしていればエラーとみなされない。エラーだと見抜かれない。


 工場の工程表にある検品検査が日常の生活にあるわけではない。一人一人を吟味され、○✖️つけられるわけではない。逸脱さえしなければいいのだ。


 僕みたいな人間は何処にでもいる。隣に住んでいる名前も知らないアパートの住人、バス停で同じ時間に乗り合わせるあいつ、同じ会社の話しの合わない同僚、大学時代の先輩、コンビニの前の喫煙所によくいる君、子供の頃友情を誓ったお前、みんな似たようなものだ、だからよく見ないで欲しい。吟味しないで欲しい。


 そういう訳で、今回はしくじってしまった。いや、もしかしたら毎回しくじっているのかもしれない。


 たまたま乗った早朝の電車、たまたま電車の中に人がいなくなり、たまたまそこに問題を抱えた彼女が乗り込んだ。そしてたまたま彼女は僕を探していた。助けてくれる人を探していた。


 見つかりたくないなら部屋に引きこもっていればいい、見つからない為の外出なんてナンセンス、でも興味がある他人の人生に。


 出会うべくして出会っている。


 彼女の風景を探しに行こう。とりとめもない意味の無い行為。でもそこには彼女の求めた絵があるはずだ。

 目立たない僕ができるのは、だれか主役を作ることだけなのだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ