9
十二月の下旬にかけて、私はパソコンがさわれない、腕は痛い、料理が出来ない、買い物に行くにもこの時期にポンチョとロングワンピースをひっかけただけ……
そんな季節外れの格好に、左手を釣り上げた私は酷く滑稽に見えただろう。田舎じゃないから誰も気にしないと思っていたのだが、あちこちからちらっ、ちらっと好奇の眼差しを向けられて段々外出するのが嫌になってきた。
それでも職場に顔を出して湿布や薬をもらい、なんとか歯を使って包帯を巻き直す。
元々包帯巻きはやっていたので多少培ったスキルが役立っていたと思う。
その間に一悶着あり、またメンタルが落ち着かなくなった。
仕事をしていない間は大体趣味に没頭するのだが、私は『絵を描く』という楽しみを奪われてしまったので一人ぼんやり小説を書いていた。
この時の作品から、全てメモ帳で作り上げているのだが、私の心のあり方が変わったのか、今見ると文章構成がかなり変わっている。
プロット組みたてずにいつも執筆していた事を指摘され、考えてからやれと。
これを指摘してくれたのもやめたユーザーの方なのだが、その方には感謝を。
しかし同時に傷ついた言葉もある。ひとはひとに助言する時は相手がどう受け取るかまで考えなくてはならない。
反面教師という訳ではないが、色々話しをしているうちにふとそんな事を思った。
私も結構後輩に厳しく当たってきたなあ、と。
あれを若かったから、と片付けるにはあまりにも厳しかったかも知れない。
確かに小説にも同様に命を吹き込むが、全く違う命なのだ。私達は、「ひとの命を預かる仕事」
退会したユーザーさんから、色々厳しくも有難い助言を受けた事、で私は作品に「言い訳なく取り組む」やり方に変えた。
だから今の作品の殆ど(私が骨折した以降)は、様々な尺度から助言をストレートに言いつづけてくれたひとのお陰でもある。
とはいえ、メンタル面が弱っていた私にガツガツと他の比較や、作品に対するやり方を言われ続けた挙句、作品がえたるのは読者に失礼だと言われた。
そうは言っても三年以上更新されないものも転がっているし、それはやはりモチベーションが落ちたとか要因は色々あるだろう。
そんなやり取りをしているうちに、
果たして自分は何がしたいのか? と思い悩むようになった。
趣味で小説書き始めて、誰か見てくれるひとが居るから嬉しくて、活動報告でこんなん書いたよ、見てくれてありがとう。と
そのやり方で今までやってきたのに、色々と崩れようとしていた。
結局私が行った事は、妄想の産物の吐き出し。要するにキャラをしっかり組み立てる事から始めた。
今ある兄妹シリーズはキャラが途中からふわふわしたのでメス入れをした。
あとはツンデレも消化不良なのでいつか。
結局、作品としてキャラのイメージを固めて書いた職場ものの作品は一切ぶれなかった。
それが、「いつも二人で」「遠距離上等!俺様彼氏」だ。
このふたつは看護師をベースにしているお陰で非常にキャラが動かしやすく、また軽い読み口にしたので意外と見てもらえたのが有難い。
そうこうしているうちに年末になり、私はジリジリした、言いようのない苛々を日々募らせていた。
「活動報告をあげるとメス入れが入る」
活動報告の何が悪いんのだろう?
私はこのメスをいれてくるひとと、決定的な考え方の違いに、数日後にとある決別を決めた。