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うざいゆかり三匹のこぶた編

作者: 暁野そら

※作品のテンポを考慮して相変わらず小説然としていません。

※ゆかりは転勤族の父を持っているため、前回の友達とはお別れしました。

※この世界では絵本の読み聞かせがホットドッグ早食い並にポピュラーなスポーツなため、頻繁に開催されています。


「よしこ」

ゆかりちゃん、今度弟の幼稚園で絵本の読み聞かせがあって、練習付き合ってくれない?


「ゆかり」

いいよ、絵本大好き!


「よしこ」

よかったー、それじゃ『三匹のこぶた』ね


「ゆかり」

わぁ、有名なやつだ


「よしこ」

それじゃいきます……昔、おばあさんと三匹の子ブタがいました。


「ゆかり」

おばあさんと子ブタ?おばあさんがおうちで飼ってたのかな?


「よしこ」

どうなんだろ?


「ゆかり」

どうなんだよ


「よしこ」

ゆかりちゃん?


「ゆかり」

続きは?


「よしこ」

う、うん……?ある時、おばあさんが子ブタたちに言いました。『この家にはもう食べる物がないよ。みんなここを出て、幸せをおさがし。』


「ゆかり」

ちょっと待って。捨てたってことだよね?


「よしこ」

そ、そうなのかな?あんまり考えたことなかったけど……


「ゆかり」

食べ物がないから出ていけって、どういう世界観?核戦争後の未来とか?


「よしこ」

い、いや貧しかったとかじゃないかな……?


「ゆかり」

食べ物買えないぐらい貧しかったらブタを食べるとか売るとかしないかって聞いてんだけど


「よしこ」

ゆかりちゃん!?


「ゆかり」

するよな?


「よしこ」

う、うん……する


「ゆかり」

おばあさんはどうするつもりなの?家でのたれ死ぬの?


「よしこ」

食べもしないし売りもしないなら死ぬか、おばあさん自身も食べ物探すために出かけるつもりなんじゃないかな……


「ゆかり」

幸せを探せってことは自分の手に余るって判断したわけか。生活保護なんかの社会保障に頼る選択肢もなく一家離散って流れは核戦争説が濃厚になったな隊長?


「よしこ」

ゆかりちゃん!?さっきからこんな有名な話に突拍子もないケチつけて……


「ゆかり」

有名なら正しいのか?中身は確認せずとも知名度があれば価値があるって断じるのか?お前の弟が結婚相手を連れてきたときの晩飯にコーラとハンバーガー出すか?


「よしこ」

ごめん……コーラは出すかもしれないけどハンバーガーは出さないかも


「ゆかり」

うん続きは?


「よしこ」

ええと……そこで、三匹の子ブタは、それぞれに家を出ました。初めに家を出た子ブタは、わらで家を造りました。


「ゆかり」

ごめん……ちょっと吐き気がしてきた


「よしこ」

えっ、どうしたの


「ゆかり」

あのね、おばあさんが可愛いミニブタの子供を飼育してるんだと思ってたけど、何?『わらで家を作った』?


「よしこ」

ああ……確かにブタが家建てるってちょっと変だよね


「ゆかり」

ちょっとじゃねえだろ?お前ここに何か感じるものがねぇか?


「よしこ」

感じる……何を?


「ゆかり」

単純に巣穴を掘るのと違って、家を建てるには手が使えなきゃいけないよね。ブタは普通四足歩行だから手は使えない、そんなこと言われなきゃわからんか?


「よしこ」

いやそんな深く考えてなかったよ……絵本ではこんな風に普通に二本足で立ってるから


「ゆかり」

そういう絵があるならそれが正しいんじゃないかな、でも二本足で立った経緯について子供に突っ込まれたらどうするの?『深く考えてなかった』とか言ったら弟いじめられるよ?


「よしこ」

考えすぎだよ……


「ゆかり」

『核戦争』


「よしこ」

!?


「ゆかり」

放射線には生物の遺伝子を破壊する力がある。そして破壊された遺伝子は、修復不能になるかあるいは……


「よしこ」

変異する?


「ゆかり」

ニヤッ


「よしこ」

ゆかりちゃん……!


「ゆかり」

このブタは我々が想像する現実のそれよりも、変異した結果ファンタジーにおけるオークなんかに近くなったと考えたほうがいい。世界観がだんだん見えてきたな隊長?


「よしこ」

隊長じゃないけど続き読むね。すると間もなくオオカミがやってきました。『子ブタや子ブタ。わたしを家に入れておくれ。』


「ゆかり」

わざわざオオカミがウヨウヨしてる場所にブタ放すのかオラァ!!!


「よしこ」

文明崩壊後の世界なんだから食べ物の気配はすぐ察知されちゃうのかも……


「ゆかり」

いや……いや待て。何かおかしい……切れた線がつながりそうなこの感覚……そうだッ!!童話『赤ずきん』!!


「よしこ」

どういうこと?


「ゆかり」

赤ずきんにおいて、オオカミはおばあさんを殺し、赤ずきんを騙すためにおばあさんのフリをした……これがオオカミの常套手段だとしたら?


「よしこ」

冒頭に出てきたおばあさんももしかして……


「ゆかり」

その通り、最初から登場人物はブタとオオカミしかいなかった


「よしこ」

じゃあなんで最初にブタを食べずに一度リリースしたの?


「ゆかり」

『食べ物がない』という言葉から推察するに、子ブタは痩せていた。この本では、子ブタはおばあさんの元を出てすぐにわらの家を作ったように読み取れるが、実際には何か月かの時間が経過していたに違いない


「よしこ」

その間にブタは移動しながら草を食べ、成長していたってことね


「ゆかり」

当然おばあさん……いやオオカミ自身も飢えをしのぐ必要があった。別の獲物を求めて狩りをしていただろうね


「よしこ」

卑怯な……続き読むね。『いやだ、食べられちゃうもの。』と、子ブタが言うと、オオカミは笑って、『わらの家なんか、ふっふーのふーとひとふきさ。』そして、ふっふーのふーとわらの家を吹き飛ばして、子ブタを食べてしまいました。


「ゆかり」

いちいち確認する必要もないとは思うけど、わらの家を呼気だけで破壊できる動物はそう多くはない。まして屈強なオークが作った家だ、おもちゃのようなものではなかっただろう


「よしこ」

じゃあオオカミも放射線で変異してた?


「ゆかり」

うん、しかもこれは『3倍体』と言われる変異で、かなり体は大きかったろうね。オークが2メートルだとすれば、その家を破壊できる変異オオカミはおそらく6メートルぐらい


「よしこ」

でもこの絵だとそんなに大きくないよ?


「ゆかり」

遠近法だろバカ


「よしこ」

2番目の子ブタは省略して続き読むね。三番目に家を出た子ブタは、レンガで家を造りました。レンガの家は、オオカミが何回ふっふーのふーと頑張っても、吹き飛びません。怒ったオオカミは、『覚えていろ。必ずおまえを食べてやる。』と言って、帰っていきました。


「ゆかり」

普通にタックルで壊せばいいんじゃね……?


「よしこ」

肺活量だけに特化したオオカミだったんじゃないかなー!!


「ゆかり」

次読んでー!!


「よしこ」

オオカミは、子ブタの家の屋根に登り、煙突から家の中に入ろうと考えました。子ブタは、煙突の下で火を燃して、大きな鍋でお湯を沸かしました。煙突からおりてきたオオカミは、そのお湯の中にボチャーン! と落ちました。


「ゆかり」

煙が上がってきた時点で危険を察知しないもんかなー!!


「よしこ」

ブタが死を悟って焼身自殺したと思ったんじゃないー!!


「ゆかり」

ブタが。


「よしこ」

なんでさっきは隊長って慕ってくれたのに今は氷のような冷たさで私の目を見て言うのー!!


「ゆかり」

もういい帰るー!!

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