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攻防

「くっ…」

 次々と首を刎ねながらクロノスはヴェントたちに攻撃を仕掛け続けている魔兵に気を配っていた。

 辛うじて(しの)いでいるがそれにも限界はある。


 次の瞬間、ヴェントが体勢を崩しよろめく。

 そしてそれと同時に彼の頭上から素早い一太刀が振り下ろされようとしていた。

(やられる!!!)

 クロノスはヴェントから少し離れた所で腹を抱えながら起き上がるコンデュイールを見つけると彼の名を叫んだ。

「コンデル!!!」

 後ろから切りかかってきた剣をかわし、(つるぎ)を持つ魔兵の腕を切り落とすとその剣ををコンデュイールの元に投げつけた。

 切り落とされた両手首が付いたままの剣の()を急いで宙で受け止める。

「首を落とせ!!!」

 そう叫びながらクロノスは手を切り落とした敵の(ふところ)に入り込み、相手の胸に備えてある殉教用(じゅんきょうよう)の短剣を引き抜いた。 そして、今まさにヴェントを切り伏せんとする魔兵の手を目掛けて投げつけ、続いて自分と対峙(たいじ)している元仲間の首を切り落とす。


 クロノスから解き放たれた短剣がヴェントの頭上に掲げられる手に突き刺さり一瞬止まる。そして……………

 重い音と共に真っ赤な血飛沫が吹き上がり、コンデュイールの剣が魔兵の後ろから首を一刀両断に切り落としていた。

「っ………………………」


 胴から切り離された首が床に落ちていく様をスローモーションのようにヴェントの瞳が捉える。


 ゴトンッ………


 重い頭が床に落ちる音と同時に時間が動き出し、初めて少年は生きている事を実感した。

「なっ…………」

「あっ…………」

 ヴェントと目が合うとコンデュイールも一気に現実に引き戻されたかのように脱力して座り込んでいた。

 震える両手には血の付いた双剣徒の剣が持たれている。

 死体とは言え…人の身体を切ったのは初めてだった。

「ヴェント!!! ヴェントヴェント!!! バカヴェントオォォォ!!!」

 オランジュが放心状態のヴェントに勢いよく抱きついていた。涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら(すが)ってくる少女の姿に思わず笑顔を零す。

 視線の先では最後の一人の魔兵の首をクロノスが刎ねていた。

 真っ白な双剣徒たちのローブも皆返り血で真っ赤に染まっている。

「クロノスさ…………」


 コンデュイールが顔を上げたその時………


 クロノスを含めた生き残りの双剣徒たちの身体が見えない衝撃波に勢いよく弾かれた。


「!!!!!」


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