表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/161

玩具たち

挿絵(By みてみん)


 城の上層階から響き渡った巨大な轟音が結界内に響き渡り、一瞬城の窓から閃光が射す。

 逃げる道も失い魔神の出現を警戒し続けるヴェントたちがびくりと肩を強張らせた。

「何だよ………」

「一足早く…戦闘が始まったみたいだな。あの魔法はウェルギリウス殿か」

 クロノスが長剣を引き抜き呟いた。

「ジイさんが一人で始めたってのかよ!!」

「全員剣を抜け!! 覚悟しろ! いずれこちらにも来るぞ!!!」

 そう指示を飛ばすとクロノスはコンデュイールに目を移した。

「結界がもし解ける事があればお前は友人を守り、いち早く退避しろ」

 生唾を飲み込み警団の少年は大きく頷いた。

 巨大な轟の後に訪れる静寂。

 城の上部では一体何が起こっているのだろうか……

 しばらくしておぞましい雄叫びが大きく響き渡った。

「うわっ何だコレ!!」

 思わずヴェントとオランジュが耳を塞いだ。

 今まで何度か魔神の不気味な声を聞いたが今回のこれは普通の声では無い。亡者の怨念が渦巻いたかのような(うな)りが漆黒の結界をも震わせていた。

「何したんだよジィさん……アカトリエルさんは……」

 いつの間にか目が闇に慣れ、うっすらと周囲の状況が見えてきた。

 荒れ果てた庭がずっと広がっている。ふと、その時視野の片隅の城壁で何かが動いた気がし、ヴェントはオランジュを背に庇う。

「どうしたんだい?」

「何か…見えなかったか?」

「え?」

 その時である後ろから嫌な音が響き渡った。

 クロノスを筆頭にした双剣徒たちが音の方を振り向き一斉にランプを掲げる。

 淡い光に照らされた闇の中に白いローブを着た男の足がぶら下がっていた。

 灯りを徐々に上に(かか)げていく

 …足、膝…そして腰を照らした時…

 白いローブの上半身が真っ赤に染まっていた。

「!!!!!!」

 その双剣徒の頭の位置にあったのは人の顔ではなかった。

 赤く光る無数の瞳…男の頭はすでに魔神の口の中に収まっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ