伝説の都
グロ表現有りです。苦手な方は閲覧をお控え下さい。
ETELNITE-エテルニテ-
世界の果て、死の山に守られた国があった。
永遠の街-エテルニテ-
他の国の侵略を受けることなく一万の歳月を繁栄して来た伝説の街である。
山から注ぐ澄んだ水に富んだ土壌。
伝説として語り継がれる光の巫女によって自然の恩恵を余す事無く受ける街には諍いもなく、平和に暮らす百万の民たちが居た。
しかし、ある一人の狂人が王となる事により、人々の幸福は破られた。
彼の名はドミネイト=レーニュ。
略奪で私腹を肥やし、欲望と悦びのために命を弄ぶ暴君を、戦う術を知らない民たちはただ恐怖した。
しかし、そんなドミネイトにも歪んだ愛を注ぐ一人娘が居た。
名をベアトリーチェ=レーニュ。
光の巫女の生まれ変わりと称賛されるほどの美貌の持ち主だった十五歳の少女は、その美しさゆえに好色の父に見初められ人生に絶望する。
父からの解放を常に願った彼女は唯一人立ち上がった。
父の鎖に繋がれたその世界から抜け出すために…………
彼女が目指したのは街を囲む断崖の中腹に聳え立つ魔城。
そこにはドミネイトでさえ恐れる黒魔導師が住んでいた。
狂神の洗礼を受けしガドリール………
娘は言った。
「父を殺して欲しい」と
黒魔導師は問うた。
「お前の自由と人生を私に捧げるか?」と
娘は躊躇う事なく答えた。
「私には自由も無い。こんな人生ならなくてもいい」
そして翌朝…………暴君は死んだ。
見るもおぞましき血と肉に塗れた姿で…
娘は唯一の人生を黒魔導師に捧げ、光の巫女と称賛し続けた少女の記憶は百万の民の記憶から抹消された。
しかし、人々は再び得た幸福の代償をまだ知らない。
遠くない未来、真の絶望を背負う事になってしまう運命を………