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星見る人びと  作者: 瀬戸真朝
「お前……ほんと、世話が焼ける奴だな……」
19/31

草原にて(2)

「クマさん、有名な星とか教えてくださいよー」

「あぁ? なんでだよ」


そう言いながらも、頭上に広がる幾多もある星の輝きの中から、前方に見える一つの星を指差した。


「あれが北極星で、星を探す時はいつも基準になる。その少し上に星が七個並んでるのが有名な北斗七星だ。すぐ見つかるだろ?」


私は言われた通りの方向を向く。時間は少しかかったが、北斗七星と思われる七つ星を見つけることが出来た。


「そういえば、北斗七星って星座なんですか?」

「いや……正確に言うと、大きな星座の一部だ」

「何て名前の星座なんですかー?」


そう聞くと、クマさんは何故か少し躊躇っているようだったが、酔いが後押ししたのかそのまま口を開いた。


「……おおぐま座」

「じゃあ、クマさんの星座なんですねー! こぐま座とかもあるんですか?」


上機嫌のまま聞くと、クマさんも諦めたらしく「ああ」と答えた。

それから位置を指差してもらい、私はクマさんが伸ばした腕を辿りながら星座の線を完成させた。

そうしているうちに自然とクマさんとの距離は近くなる。

肩と肩が触れて私は一瞬どきっとしたが、クマさんは気付いてないようだった。


「去年、冬の長野の山奥に観測しに行ったんだが、そこはここと比べられないほど星があった」

「ここよりもっとすごいんですかー!」

「ああ。でも北海道にある大学のサークルが撮った写真見ると、長野と比べられないほどきれいだぞ。夏あたりに行こうと思ってる。ペルセウス座流星群もあるしな」


流れ星なんて見たことがない。

それにここよりきれいな長野の空さえ想像出来ないのに、クマさんはそれよりずっと遠い空の話をしている。

何だか急に、クマさんと私が過ごした時間の違いを感じた気がした時だった。


「北海道、お前も行くか?」


驚きのあまり言葉を発せないまま、真意を確かめようと隣にいるクマさんの方を見る。

だが、クマさんは空から目を離さないままだ。

何でもないような顔で、いきなり不意打ちしてくるクマさんにいてもたってもいられず、「でも、慧さんが──」と口を滑らせてしまった。


「慧が、どうした?」

「慧さんも長野に行ったんですよね」


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