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星見る人びと  作者: 瀬戸真朝
「〝星見る人〟──そのまんま俺たちのことだな」
14/31

入会式にて(3)

荷物を置いてから簡単な食事を済ませた頃には六時を過ぎていた。

詳しい予定を告げられていなかったため、入浴しに行っていいか女性の先輩に聞くと、「悪いことは言わないから、まだやめた方がいいよ」と言われた。

どうやら、これからすぐに入会式が始まるようだ。



空が暗くなった七時過ぎに外に集められた。

周囲は薄暗いが、足元やお互いの顔は見える。

空はまだ一番星を始めとしたいくつかの星の輝きが微かにあるだけのようだった。


会長たちの指示で一年生は一列に並び、それを囲うように先輩達は半円上に並んだ。

その状態で入会式が始まる。自己紹介が始まり、入会が早かった私が最初だった。

昨晩まで自己紹介の存在をすっかり忘れていて、直前に練習を繰り返したため今ではすっかり丸暗記状態だったが、何度も噛んでしまう。

誰の顔も見れず、ずっと下を向いたままだった。

それでも一通り終わると安心し、肩の力が抜けた。


全員の自己紹介が終わると、会長は一年生の前に立った。

これで入会式も終わりだと思いきや、会長は思いも寄らないことを口にした。


「我らの新しい仲間が宇宙の女神に受け入れられた。これを機に、祝賀の〝儀式〟の開始をここに高らかに宣言する」


何が始まるかと思いきや、先輩たちはバンガローの方に走って何かを手にして戻ってくると、振ったビール瓶を私たち一年生に向けて栓を開けた。

目の前の光景に呆然としていた私たちはまともに水しぶきを受ける。

それをきっかけに、私たち一年生は一目散に逃げ、薄暗い外で逃げ惑った。

だが先輩達は手加減なく、次から次にビールをかけてくる。

走り疲れた私に慧さんは楽しそうに頭からビールをかけた。

あたりには屋外にも関わらずアルコール臭が漂う。


やっとビール瓶の中身が尽きた頃、一年生はびしょ濡れになっていた。

これが、『汚れてもいい服で来てね』と言われた理由だったのかとようやく気付く。

色々あり過ぎて、すっかりそのことを忘れていた私は普通の服を着てしまっていた。

暦はまだ春であり、日が落ちて肌寒い風が体中に刺さる。

とりあえず私たちは先輩に促されるまま、お風呂に直行した。


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