穏やかな夕暮れ
これは活動報告に上げていたものをそのまま移してきたものです。
ある晴れた日の夕方、舞は部屋でムッとしていた。
その原因のジェラルドはこの場にいない。
ミシェナたちがなんとかジェラルドのフォローをするが、珍しい事に舞の気分は優れない。
表面上だけでもいつもと変わらないようにしようとするが眉間のしわは消えてくれない。
とはいえこのままではミシェナたちに余計な気を使わせてしまうと思い舞は草原に転移した。
芝のようなものが辺りに広がる中で少し丘のようになっている場所の頂上に1本の木が見えたので木の側まで行き腰を下ろす。
はぁ
仕事、しごと、シゴト、最近そればかりだ。
確かに仕事が大切なのは分かる。
重要だしな。
だが、だからと言ってここ1週間近く会えないのは酷い。
少しくらい会っても良いのではないだろうか。
まあこんなことを言ってもジェラルドに迷惑をかけるだけだから言いはしないが…。
ただの我儘だと自覚しながらもイライラが治まらず、舞は近くの草をむしり取った。
だが、なんとなく自分の幼い行動が情けなくて草を放り投げると草原に横になる。
ああ、空が綺麗だなぁ。
自分のイライラさえもがどうでも良くなるほどの気持ちいい天気だ。
まったく、ジェラルドがからむとすぐ感情が幼くなる。
最悪だな。
こんなのではジェラルドにも愛想をつかれそうだ。
悶々と自己嫌悪におちいっていると突然影が顔にかかった。
驚いてそちらを見るとジェラルドが居る。
「な、何で此処に?」
「舞が大変不機嫌になっているとミシェナたちに文句を言われたからだな。」
慌てて体を起こす舞にジェラルドはそう言うと髪をかき上げた。
その表情には少し疲れが出ている。
「本当に仕事が大変なんだな。わざわざすまなかった。」
「いや、息抜きには丁度良いだろう。疲れもたまっているし。」
少し笑うとジェラルドは座っている舞の膝に頭を乗せ体を横にし、目を閉じた。
そんなジェラルドの髪を梳きながら舞の口元がゆるむ。
まさか会いに来てくれるとは思わなかった。
ただ私が勝手に苛立っていただけなのに。
申し訳ないと思いつつも嬉しさが溢れ、舞はジェラルドの額に口づける。
ジェラルドはそれに驚き目を開いたが、優しく微笑むと舞の唇にそっと触れるだけのキスをし、再び目を閉じた。