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どちらが王妃?  作者: kanaria
第2章 西の魔王宮編
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13 甘ったるい空気

作者自身は女子が女子の頭を撫でるのは友情でもあり得ると思っているので、ガールズラブのタグは付けていません。

ただ、そういった表現が苦手な方は始めから半分くらいまでをとばして下さい。

御迷惑をおかけして、申し訳ありません。

それから少ししてミシェナが戻ってきた。


「えっと、何があったんですか?」


頭を抱えている舞とそれを励ますアリシアたちという、とてもシュールな図を見て困惑したミシェナが聞いてきた。

それに対して、舞が先ほどあった事をどうにか誤魔化そうと口を開くより前にアリシアとアニシアが反応した。


「なんと、マイ様には10種の魔法適性があったのよ!」


「それも全部強い適性です!」


「……。」


「10種全部ですか!?それはすごいですね。恐らく、初めてではないですか? 私は他に聞いた事がありません。」


2人とも言うのが早い。

どれだけ言いふらしたいんだよ。

まあ、どちらにしろすぐにばれてたと思うし関係ないか。


はぁ


とはいえ、やっぱり初なのか……。

それならばれてしまったことだし全部使いこなしてやる!

もう普通に紛れる事は出来ないだろうしな。

ああ、平凡ぐらいが良かったのに。

嫉妬とかされるのだろうか?


落ち込みつつも妙な決意を固めている舞を尻目に3人の話は盛り上がっていく。

それを横目でうらみがましく見ているとアーシアが頭を撫でてきた。


「少ないよりは多い方がいいし、魔族は多い事を嫉妬したりしないから大丈夫。」


「嫉妬しない? だが、普通は他人が持ってない力を持っていたりしたらねたむものじゃないのか?」


ソファに座っているためアーシアを見上げながら聞くとアーシアが笑った。


「魔族は自分のベストを尽くそうとするだけ。だって、いろんな種族がいるからいちいち嫉妬してたらきりがない。それに、魔族は強い者が正義だから。」


「ああ、そういえばそうだったな。」


言われるまで忘れていたが、魔族は種族ごとに得意とするものが違ったな。

そうなれば、確かにアーシアの言うとおりだ。

いちいち嫉妬してたら自分以外の全種族に嫉妬する事になる。

さすがに、そこまではしないのだろう。


「マイ様、かわいい。」


落ち着いた舞の頭をもう一度撫でてアーシアが離れて行った。

すると3対の視線がすごい気になる。


「どうかしたか?」


ものすごく見て来る3人に問いかけると3人が一気に話しだした。


「上目遣いの舞様はとてもかわいいです!」


「ええ、ミシェナの言うとおりね。なんだかアーシアと良い雰囲気になってたわよ。恋人みたいな!」


「すごいピンクな空気でした。ですが、だめですよ。マイ様には魔王様がいるのですから!」


はぁ?

恋人!?

私とアーシアが?

さすがにない。

有り得ない。


「私とアーシアは同性だろう?いくら何でも有り得ない。」


慌てて言い返す舞を見て逆に3人は驚いた。


「魔族では同性でも結婚できますよ?」


「同性のカップルも結構いると思ったわ。」


「一度伴侶に選ぶと執着心が強いですから。」


「え、そうなのか!?」


同性愛とか日本ではあまり聞かない話しだから勝手にないと思ってた。

そうなると危険か?

アーシアと少し距離を置くべきだろうか?

だがそれは嫌だな。

ミシェナやアリシアたちとは仲良くしたいし。

っていうか、それよりも同性愛が多いと子供が出来ないんじゃないのか?


「同性愛が多いって言っても人間の大陸と比べた場合だから数自体は少ない。だから子どもは問題ない。それにマイ様はアーシーにとって恋人って言うより愛玩って感じ。」


舞の表情から疑問を読みとったアーシアが答えた。


愛玩……。

ホッとするべきか悲しむべきか悩むな。

それにペット的な感じなら私よりアーシアのほうが上だと思う。

なんとなく子供っぽいし、癒される。

好きなもの買ってあげるよとか言ったら知らない人にもついて行くんじゃないだろうか。

もしそうなったら魔法で解決するのだろうが……。


そんなこんなでワイワイしていたらいつの間にかお昼になっていた。

適当にお昼ご飯を食べ終わり、ゆっくりしていると扉がノックされた。

ミシェナがそれに出て固まる。


「……、申し訳ありません、マイ様。話しが盛り上がるあまり魔王様がおいでになる事を伝え忘れていました。」


ギギギとでも音がしそうな感じでミシェナが舞の方を見てまた来訪者の方を向いた。


「入れてくれないだろうか?」


「も、申し訳ありません。」


来訪者である魔王はそう言って固まるミシェナを退かすと部屋に入ってきた。

そして、魔王を見て立ち上がった舞の方へ歩み寄る。


「どうやら、話しが伝わってないようだな。」


「申し訳ございません。少し手違いがあったようです。」


舞が頭を下げると魔王がポンポンと頭を叩いた。


「そこまで重要でもないゆえ頭を上げよ。ただお前の魔法の練習について話しがあっただけだ。」


「魔法の練習、ですか?」


あ、そういえば今朝ミシェナが魔王に聞きに行くとか言っていた気が……。

それだけのためにわざわざ来たのか。

仕事も多そうなのに。


「わざわざ御足労いただき申し訳ありません。これからはお呼びくだされば参りますので。あ、どうぞ椅子にでもお座り下さい。」


恐縮しつつ椅子を勧める舞に微笑んで魔王は座った。


「別に此処まで来る程度問題ない。気分転換にも丁度良いしな。」


「そ、そうですか。それで魔法の話とは何でしょうか?」


2度目とはいえ今だ慣れない魔王の微笑を間近で見てしまい慌てて話しをふる。


いくらなんでも、やばいだろ。

この話しの変え方は無礼かもしれない。


「くくく、特に無礼などと考える必要はない。それで本題である魔法の練習だが、私が教えようと思っている。ただ、執務があるので時間が夕方になる。それでも良いだろうか?」


慌てまくっている舞に魔王が声をたてて笑いつつ聞いた。

それに多少ムッとする。


「私は問題ありません。ですが、それだと魔王様が大変ではないでしょうか?」


「ふむ、私としてはお前といると和むのでむしろ良い気晴らしになると思う。それにお前が魔力を暴走させた時私以外に止められないだろう。」


そう言ってから舞の耳元に魔王が顔を寄せる。


「では、私が教えるとしよう。悪いが今日は忙しいので実際に教えるのは明日からとなる。それと、あまり可愛い顔ばかりすると襲われるぞ。魔族はそういったものに目がないからな。」


ちょ、ちょっと待て。

耳元で美声を聞かせるな!

やり過ぎだぞ。

これで平然としてられる奴は勇者だ。


舞が目を白黒させているのを見て頭を撫でると魔王が部屋を出て行った。

それからしばらくして元に戻ると自分の頭の事が気になる。


なんだろう。

私の頭には何かあるのだろうか?

魔族にのみ効く磁力かなにかが。

アーシアもそうだが魔王にいたっては触り過ぎじゃないか?

しかも最後にはあれだし。

なんだ、何が起っているんだ?

私に色気を振りまくなよ!


魔王が部屋を出て行ったあと舞は1人悶々(もんもん)とした。

4対の強烈な視線を感じながら。

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