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どちらが王妃?  作者: kanaria
第2章 西の魔王宮編
24/45

9 無礼な男? 

前の話で書き忘れましたが、ミシェナの外見は20歳ぐらいでアリシアたちの外見は17くらいです。


書き忘れてすいませんでした。

朝食を食べた後、アリシアとアーシアはアニシアを見に行くと言って退出し、舞はミシェナに魔王宮について教えてもらった。

それによると魔王宮は多くの宮と呼ばれる建物があるそうだ。

地図が無いようでミシェナが紙に書きながら教えていく。

今舞が居る魔王の宮、各族長たちの宮、政治の中心である中枢の宮、来訪者の泊るための来賓の宮、膨大な書物のある書物の宮、軍に所属している者の住む軍部の宮、その他魔王宮で働く者の住む雑務の宮、騎獣にするための魔獣の宮などだ。

他にも庭や植物園、畑、なぜか王宮内に存在する荒野と森、軍の演習場などいろいろあるらしい。


「なんだかヴィルカイン王国の王宮の造りと似てないか?」


さすがに荒野などは無かったが、ふと疑問に思い聞いてみるとミシェナが頷いた。


「はい、人間の大陸に行った魔族たちがこの魔王宮を真似て造ったため似た造りになっています。まあ、大抵一部が似ているという程度ですが。」


そうだったのか。

魔族たちが造ったという事は昔から魔族が人間の大陸で人間に化けて生活していたという事だな。

しかも、王宮の建設にたずさわれるのだから高い身分高い身分に化けるのだろう。


だが、魔王のための宮があるとは……。

歴代の魔王たちは余程色好みだったのか?

必要性が分からない。

それに対して雑務の宮が他より小さいけれど、いろいろな場所にあるのは効率が良いな。

一カ所にしかないと遠くで働く下級魔族の移動が大変だ。

転移の魔法は上級魔族しか使えないらしいし。

その分費用が掛かるだろうが、その程度のお金は簡単に出せるのだろう。

本当に豊かな国だ。

魔族たちの表情も明るいし。

まあ、魔王宮で働く人しか分からないが。


説明に使った紙を燃やし、昼ご飯を食べ終わった後今度は魔法につて教えてもらう事になった。

魔法は魔の大陸で生活していく上で必要不可欠な物だ。

故に早く使えるようにならないと不便なのだそうだ。

だが私の魔力は強すぎるため、もし暴走した時のために多くの力が必要という事でアリシアたちも参加する事になった。

本当に申し訳ない。


舞が心の内で謝っていると、練習場所についた。

練習場所は荒野だ。


……、午前中にミシェナからあると言われたが、本当にあるとは思ってなかった。

しかも、やたら広い。

戦国時代はこういう場所で戦ったのだろうかという想像をしたくなるくらいの広さだ。


呆れて言葉の出ない舞を余所にミシェナとアリシアたちは結界を張っていく。

舞はそれを何となく眺めていたが、1分もしないで終わってしまった。


「お待たせしました。では、練習を始めましょう。」


そう言いながら近づいてきたのはミシェナで、アリシアたちは舞を警戒するように円形に広がっている。


「私は核兵器かなにかと同じ扱いか?」


「なにかおっしゃいましたか?」


ぼそりと呟いた舞にミシェナが聞いた。

どうやらミシェナたちには舞がつぶやいた言葉が聞こえなかったようだ。


「いや、何でもない。」


「そうですか?それでは、まず見本を見ていただきます。」


ミシェナがそう言うと、目の前に火が出た。


「これは、初級中の初級で人間でも3分の1ぐらいはできます。魔法とはイメージと魔力、魔力の質が大切です。マイ様も同じものをイメージして下さい。」


そう言われてイメージしてみたが、何も起らない。

次は目を閉じてみたがやはり出来ない。

ミシェナは原因か分からないようで、考え込んでしまう。


「イメージだけはだめ。こんなのが欲しいなって思ってみて。」


そこへ変な空気を感じ取ったアーシアが助言してきた。


欲しい?

よく分からないけど、やってみるか……。


目を閉じて火の玉をイメージし、こんなのがあったら良いなと思ったところでミシェナからストップがかかった。


「お止め下さい!使う魔力が多すぎです!! ここら辺一帯を火の海にするおつもりですか!?


「は?」


驚いて辺りを見回すが変わったところは無い。


「魔力がどうかしたのか?」


「も、もしかしてお分かりにならないのですか?」


「?」


ミシェナの言いたい事が分からず、舞は首を傾げる。

すると、遠くから笑い声が聞こえた。


「クスクス、突然膨大な魔力を感じたから何かと思ったけれど、マイが原因だったのね。」


「「「姉さま!?」」」


マリネージュはアリシアたちを無視して後ろの男性と共に結界の中に入ってくる。

侵入者対策の結界では無いとは言え、何重にもなっている結界に入る事は本来出来る事ではないのだが、マリネージュと男性は表情一つ変えずに入った。

その赤毛の男性を見てミシェナは一礼をし、アリシアたちは頭を下げた。

そしてアリシアが口を開く。


「見苦しいところをお見せして申し訳ありません。」


「いや、別にいい。それよりも、貴方がマイ様ですね?」


男性は舞を見てそう言うと頭を下げた。


「私は吸血鬼族長にして魔王様の近衛隊長をしていますシュドルク・レイナード・ディルグレイにございます。以後よろしくお願いいたします。」


「いや、そんなに硬くならないでくれ。逆にやりにくい。敬語も使わないでくれないか?」


綺麗に90度曲がった礼に多少焦りながらそう言うと、シュドルクが頭を上げた。


昨日から思っていたが、魔の9大貴族ってみんな動作が優雅だよな。

なんで頭を上げたり下げたりするだけの行為から気品を感じるんだ?

まったく、分けて欲しいぐらいだ。

全員顔も整っているし。


舞がそんな事を考えているとは一切知らず、シュドルクは口角を上げた。


「では、その言葉に甘えさせてもらう。他の奴らが言っていたような性格で助かった。下手に騒ぎを起こされては面倒だからな。」


「ちょっと、シュドルク!」


「「「「吸血鬼族長!」」」」


舞は頭を上げて抗議をするミシェナたちやマリネージュを無視し、棘の見え隠れする言葉も受け流した。


「そうか、面倒なのは私も嫌だから丁度いいだろう?」


それを聞き、シュドルクは口に手をあててボソッと呟いた。


「これはただの温室育ちって訳でも無さそうだな。となると第1段階は合格だ。後はこれから見て行くしかないだろう。」


「何の事だ?」


呟きを唯一聞き取った舞の問いかけにシュドルクはニヤリと笑った。


「こっちの話だ。お前には関係があるが、今は知らなくていい。途中で駄目になる可能性もあるしな。」


「シュドルク!!」


「「「無礼すぎです。」」」


考え込んでいるアーシアと舞を除く全員が抗議を入れる中シュドルクは怒りを煽る言葉を口にして転移した。


「ちょっと懲らしめて来るわ。」


そう言って顔が般若になっているマリネージュがシュドルクを追いかけて転移して行った。

さすがに魔法の練習どころではなくなってしまったので舞たちも部屋に帰ることにした。

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