表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どちらが王妃?  作者: kanaria
第1章 人間の大陸編
14/45

番外編 魔族たちの話Ⅱ 

ネタばれがあります注意してください。



アリー…アリシアの愛称

アニー…アニシアの愛称

アーシー…アーシアの愛称

アニシア


わたしたち3人は三つ子という事もあって魔界に居た時から仲が良いです。

少し前にアリー姉さまが人間の大陸に行くと言ったので、わたしとアーシーもついて行きました。

その時、わたしはヴィルダン子爵家の記憶を変えてわたしたち3人が子爵家の子どもという事にします。

ヴィルダン子爵家は軍人の家系だったようで、わたしたちも剣や槍、弓などを教わりながら育ちました。

まあ、わたしたちは元々それらを使えるけど。

魔界ではそういった武器を使うのも貴族の嗜みだし。

人間の大陸では暗殺用の武器として使われている暗器を好き好んで使う者もいるの。

わたしのように。


それは置いといて、ヴィルダン子爵はわたしたちが11歳の誕生日を迎えた時に王宮で働く事を勧めてきました。

これにアリー姉さまが興味を持ったので、わたしたちは王女さまの侍女になることにしました。

王女様はアリー姉さまと似て我が儘な人物でした。

そのせいでわたしとアーシーはいつもハラハラさせられていましたね。

もしアリー姉さまが問題を起こしたらどうしようかと。

王女様を殺してしまったことを消そうとしても王女様を知っている人の記憶から王女様を消す事は流石に不可能だし何も無かった事には出来ないし。

最悪の場合は魔の大陸に帰ってしまえば良いんだけどね。

でも、せっかく人間の大陸に来たのだから魔の大陸では出来ない経験をもっとしてから帰りたい。


そんな感じでハラハラしながらも王女の侍女という役職を1年ぐらい楽しんでいたら魔王様から魔の大陸に呼び出されました。

魔王様いわく魔王妃となる人?が人間の大陸に召喚されてしまったらしいとのことです。

魔法陣を描かなかったせいで。

魔王様は馬鹿なの?

確かに普段、魔族が魔力を使って何かする場合は魔法陣なんて必要ない。

でも唯一の例外が異世界からの召喚よね。

こんなのは魔族なら全員知ってるわ。

どうせこれで失敗していたら魔王妃様を連れて来いと命じられたわたしたちのせいになるんでしょう?

本当に理不尽。

まあ、幸い魔王妃様が召喚されたのがヴィルカイン王国だから調べるのは簡単そうだけど…。

はあ。

いや、魔王妃様がヴィルカイン王国に召喚されたからこんな事になっているのかもしれない。

そうならば恨むよ、魔王妃様。


いつまでも魔の大陸で魔王妃様を恨んでいる訳にもいかず、わたしたち3人は人間の大陸に戻ります。

戻ったら、ちょうど良くヴィルカイン王国に召喚された2人が審査しんさから出てくるのに出くわしました。

なんと2人とも魔力を持っていません。

えっ!

まさか本当に失敗したの?

魔力が無いって事は人型がとれる魔族って言うか、完璧に人よね。

やばい、この事が魔王様に知られたらわたしたちが無能だという話が流れそうな気がする。

魔王様が失敗するなんて誰も考えないもの。


同じ事をアリー姉さまとアーシーも思ったようで、わたしたちは1年間は様子を見る事にしました。

そう決まったら、どちらかに仕えた方が変化が分かって楽かもしれない。

アリー姉さまもそう思ったようでした。

それで、どちらに仕えた方が楽しそうかと考えてみる事にしました。

最初に出てきた方はかわいい少女って感じでどことなく王女様と同じ雰囲気を纏っていたので後から出てきた綺麗な女性に仕えるのが良いかもしれない。

そんな事を考えていたら、アーシーが後ろから綺麗な人の方が魂がきれいって言いました。

アーシーがきれいな魂なんて人間に言うのを聞いた事が無かったのでビックリ。

今までも、族の中でも裏表が無いと思われる人々や魔獣の中でもトップクラスのものぐらいにしか言っていなかったし。

まさか人間でもアーシーのお眼鏡にかなう魂があるとは。

そんな事でわたしたちが仕える相手は綺麗な女性に決まりました。


その後お風呂で彼女と話してみて、アーシーがきれいな魂だと言うだけあるという事を感じたわ。

アリー姉さまもそこで気付いたみたいね。

綺麗な人は主様では無くてマイと呼んで欲しいと言われました。

本当に感動。

ドロドロしている人間とは思えない発言よ。

もし魔王妃になられるならマイ様をお勧めするわ。

さらに次の日にマイ様はこの世界について教えて欲しいとおっしゃられました。

王太子妃なんて我が儘放題でこの世界について知ろうともしないそうなのに。

それなのにあっちの方が王太子妃に相応しいとか言っちゃって、鼻で笑えるわ。

人間て本当に馬鹿なのね。


マイ様に仕えられる事を誇りに思いながら1か月ほど過ごしたら、王太子妃のお披露目パーティーの準備に駆り出されました。

まったく、なんでわたしがそんな事をしなければならないの?

わたしは王太子妃に仕えてる訳では無いのに。

そんな事を考えながらも顔は平然を装って準備を手伝いました。

そうしている内におかしな事に気がついたんです。

なぜか王太子妃の女官が準備をしていない。

まさかサボっているの?

額に青筋を立てつつも周りにいた王太子妃の侍女に話しを聞いてみました。

そうしたら女官はこんな事をせずに、パーティーの時だけ仕事をするんだそうです。

許しがたき女官たちめ。

準備は人任せか。

とか考えていたらアーシーが転移をしたのを感じたので、とりあえずアーシーが転移した王宮の地下に行ってみる事にしました。


行ってビックリ。

なんとそこにはマイ様まで居たんです。

えっ?

何でマイ様が?

と焦りつつもアーシーに事の次第を聞いたその時、マイ様が魔力に包まれてしまったんです。

やばい。

舞様は元々魔力を持っていないし、死んじゃうかも。

そんなの嫌。

だってマイ様の事はすごく気に入っていたのに。

でも、こんな風にわたしがパニックになっていたらマイ様が目覚めました。

あぁ、良かったぁ。

もしもマイ様が亡くなっていたらわたしは……。

これは魔族としてあまり良くない事かもしれないけど、認めるしかない。

わたしは自分の命よりもマイ様の方が大切なの。

まだ恋愛もした事が無いのにまさかこんな事になるとは思ってなかった。

でも、マイ様なら良いかな。


そんな事を考えていたら、突然ミシェナさんが現れました。

なぜ此処に?

まさか、ミシェナさんも魔族なの?

この予想は当たり、ミシェナさんはマイ様の事を連れてどこかへ転移しました。

わたしのマイ様になんて事を。

マイ様に何かしたら、絶対に許さない。

そう決意してミシェナさんの転移先にわたしたちも転移しました。



アーシア


アーシー達は三つ子だからかとても仲が良いのかな?

魔の大陸では双子や三つ子でも仲がいいのは稀だけど。

そんな感じで暮らしてたら、ある日突然アリー姉さまが人間の大陸に行きたいと言い出したからアーシー達は3人で人間の大陸に行ったんだ。

ヴィルカイン王国に行ってビックリしたのは、人間の負の感情がすごいって事だったよ。

人間は魔の大陸に住む者の負の感情がすごいって思ってるみたいだけど、そんな事は無い。

だって、魔の大陸ではみんな自分のしたい事をするだけだもん。

こういうのを人間は自分の欲望に忠実って言うんだっけ?

だから別に憎しみ合っていたり哀しみに満ちていたりする訳じゃないんだよ。

なんか欲深い人間の魂は汚いし見ててすごい不愉快だから、王女殿下に仕えていた時は“はい”か“申し訳ありません”しか言わなかったな。

もともとしゃべるの苦手だし。

それでも今までうちが魔の大陸に帰りたいって言わなかったのは、どうせ長い時を生きるんだし暇つぶし程度ならいいかなって思ったから。

でも、このままだったらすぐに耐えられなくなりそう。

ここにいる人間てどうしてこんなに魂が汚いの?

吐き気がする。

中にはときどき光を放つ人間もいるけど、極端に少ないし。

なんだかここに居る人間は自分のためなら仲が良い人間を騙す事とかも平気でしそう。

魔の大陸ではそんな事をする者はいないのに。


そんな風に考えていたある日、アーシー達は魔王様に呼び出された。

魔王妃様を召喚したら、誤ってヴィルカイン王国に行っちゃったんだって。

魔王様もどかか抜けてるよね。

でも、魔王妃様ってどんな人かな?

魂が綺麗な人ならいいなあ。


魔王様の命令だし、うち達はヴィルカイン王国に戻って魔王妃様を探すことにしたんだ。

ヴィルカイン王国に戻ったらちょうどよく召喚された人に会えたの。

最初に出てきたのはときどき光る魂の持主だったよ。

う~ん、人間にしては良い方だけどこれが魔王妃様になるのはやだな。

魔王妃様になるほどの人ならもっと綺麗な魂じゃなきゃいけないと思う。

とか考えていたら、もう1人でてきたの。

その人を見てビックリだよ。

だって、すっごい綺麗な魂なんだもん。

透明で透き通っている魂なんて初めて見たよ。

本当にきれい。

今までアーシーが見た中で綺麗だなって思った人が霞むぐらい。

魂はね、透明であればある程綺麗なんだよ。

だからこの人と並ぶくらい綺麗な人は居たとしてもこれ以上はいないと思う。

その上見た目も魔王様と並ぶぐらい綺麗。

この人が魔王妃様だったら良いのに。

でも、この人には魔力が無いんだ。

前の人にもないけど……。

その事も含めてどうするかを3人で話し合った。

その結果魔王様が怖いから召喚された2人に魔力が無い事はしばらくだまっておく事にして、様子見のためにどちらかに仕える事に決まったんだ。

なんだかアリー姉さまは最初に出てきた方を勧めたんだけど、アーシーが後の人の魂が綺麗って言ったら後の人に決まった。

やったー。

これで魂が綺麗な人の側に居られる。


その後アーシー達は、王女殿下の侍女を辞めて魂が綺麗な人に仕えたの。

でね、もう1人の女官の人は人間にしては珍しい力強い魂をしていたんだ。

あれ、もしかして魔族なのかな?

魔王様はアーシー達の他にも魔族を送るって言ってた気がするし。

でも言うとめんどくさそう。

言わなくて良いかな。

同じ目的だし。


侍女になってから初めて綺麗な魂の人と会えたのはお風呂だった。

なんでお風呂なのかな?

それは気にしないでおこうかな。

やっぱり綺麗な魂をしているし。

名前まで普通に呼んでって言ってくれたんだよ!

びっくり。

普通アーシーのしゃべり方にいらつくのに。

やっぱり、綺麗な魂を持つ人は普通と違うなあ。

すごく嬉しい。

アーシーがひとめ惚れしただけある。


それから一か月ぐらい経って王太子妃のパーティー準備に行かなきゃいけなくなった。

えー。

やだなぁ。

まあ、最初はそこそこやってたんだけど王太子妃の女官が居ない事に気付いてサボる事にした。

めんどくさいし。

なんでアーシーたちが準備しなきゃいけないの?

ぶらぶら歩いてたら青い顔のマイさまに会った。

話しを聞いていくと、王太子妃の女官の噂話にショックを受けたらしい。

あの王太子妃なら仕方ないよね。

でもマイさまの顔色があまりに悪いから逃げる?って聞いたんだ。

そしたらマイ様が頷いたから王宮の地下に転移した。

転移の途中で変な力におひき寄せられたけど、着いたのは普通に王宮の地下だった。

だから安心してたら、アリー姉さまたちが来てマイさまが転んだ。

転んだ先に何かあったのか割れる音がした。

割れる音も不安だったけど、そんな事よりもマイさまに魔力が入っちゃった。

どうしよう。

アーシーがここに連れてきたせい?

すごく心配でぐちゃぐちゃな気持ちになっていたらまいさまが起きた。

よかった……。

死んじゃうかと思った。

安心していたらミシェナが転移してきた。

姉さまたちはミシェナが魔族だって気付いてなかったみたい。

そんな事よりマイさまが心配じゃないのかな?

そう思ってアリー姉さまを見たら、その隙にミシェナがマイさまを連れて転移した。

マイさまが本当に無事なのかの確認が済んでないのに。

ゆるさない。

アーシーもアリー姉さまたちと一緒に転移した。

遅くなってしまってすいません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ