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どちらが王妃?  作者: kanaria
第1章 人間の大陸編
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10 魂に刻まれた力

アリシア…お嬢様口調で一人称は“わたくし”、三つ子の中で一番年上

アニシア…敬語を使って話し、一人称は“わたし”三つ子の中で真ん中

アーシア…無口で一人称は“アーシー”三つ子の中で末っ子

汝、魂に刻まれし力を求めるか?


魂に刻まれた力?

なんだそれは?

というか、お前は誰だ?


汝、魂に刻まれし力を求めるか?


いや、だから魂に刻まれた力ってなんだよ。


汝、魂に刻まれし力を求めるか?


随分一方的だな。

嫌がらせか何かか?


汝、魂に刻まれし力を求めるか?


……、もういいよ。

答えは否だ。


次の瞬間、舞に向かって何らかの力が繰り出された。


っ痛


舞はあまりの痛みに涙が出てきた。


汝、魂に刻まれし力を求めるか?


分かった。

求める。

求めればいいんだろう。


契約は成った。

汝の魂に刻まれし本来の力を解放しよう。


次の瞬間、舞が自分の中から巨大な力の渦が巻き起こるのを感じると同時に意識は現実の世界へと戻っていった。


「マイ様、大丈夫ですか?」


「っ、死なないで。アーシーが悪かった。」


「マイ様はこんな所で死ぬはずが無いわ。何を言っているの!」


死ぬとかいう物騒な言葉が聞こえるのは気のせいだろうか?

ここは人を勝手に殺すなと怒るべきか?

いや、それよりも私は大丈夫なのか?

なんかよく分からない攻撃を食らったが……。


とりあえず、このままではどうしようもない上に心配をかけるので舞は目を開いた。

すると周りには心配そうなアリシアたちの姿が見えた。

あれ、視界が良くなっている。


「まいさま、良かった。」


「マイ様、お身体に異常はありませんか?」


「ほら、わたくしの言った通り死ななかったでしょう。」


アリシア、その言葉は酷いと思うぞ。

というか私は死にそうだったのか?


とりあえず舞は体を起してその場に座った。

そしてアニシアの質問に答えてから自分の聞きたい事を聞く事に決めた。


「特におかしなところは無い。なんだかよく分からないが、逆に力が湧いてきて体が軽い気がする。」


「そうですか。良かった。」


そう言った、アニシアの目は潤んでいた。


「私はそんなにまずい状態だったのか?」


「はい、魔力がマイ様を包みこんでいた魔力がマイ様の体に入って行きましたので、とても危険な状態だったと思います。」


げっ、魔力が体に入った!?

魔力が体に入るってかなり危険じゃないか!!


「よく私は生きてたな。」


「……、事の重大さが分かっているのかしら?」


「“よく生きてたな”じゃないですよ!!」


舞がしみじみと言うとアリシアとアニシアが怒り、アーシアが頷いた。


やばい。

本気で怒らせてしまったらしい。

だが、魔力って許容範囲内なら体に入れても大丈夫なんじゃないか?

私の許容量は知らないが……。

っていうか、私って魔力を持てる器があったのか!


「私って魔力を受け入れる事が出来る体だったんだな。」


「「「受け入れる事が出来ない体だったら今頃死んでる」」」

「わよ!」

「ます!」

「!」


舞がしみじみというと3人は綺麗にはもった。


これは綺麗にはもったな。

アーシアまではもるとは珍しい。

それにしても、まさか自分の体が魔力を受け入る事が出来るとは思ってもいなかった。

受け入れられる量は生まれた時既に決まってるんだろう?

地球には魔法なんて存在しなかったし。


魔力というのは生まれた時から持てる持てないが決まっていて、持てる者は最初から魔力を持って生まれてくるのである。

こういった魔力を持って生れてきたものは魔術師と呼ばれ、貧富の差は関係なく魔術師養成学校に入れられる。

余談だがなぜ貧富の差が関係ないかと言うと、魔力を持って生れてくる者はとても珍しい上に平民の子が多いからである。

そして成長する上で変動があるものの、10歳あたりで魔力の量は決定する。

決定した後の魔力は増える事も減る事もなく死ぬまで変わらず、暴走する事もなくなるのである。

そして使えば減るが、寝れば一定の量が回復する。

そんな中で舞はもともと魔力を持っていなかったのである。

今までの人の中で魔力は持っていないが魔力を受け入れる事は出来るという人は存在しない。

さらに、その人が受け入れる事が出来ない量(もともと持ってない人は、少量でもアウト)の魔力が体内に入ると拒絶反応が起り死に至るのである。

そのため他人に魔術を使う場合は相手に魔力が入らないように細心の注意を払う必要がある。


「異世界から来ると、こういう事が起るのか?」


舞は教えてもらった魔力についての説明を思い出しつつアリシアたちに聞いた。


「分からないですわ。異世界人が来ること自体めずらしいことですし。」


「マイ様が魔力を受け入れられると言う事は、皇太子妃さまもこうな「貴方たち、先ほどのあの力は何?」


4人で舞が無事な理由を考えている時にミシェナの声が響いた。

4人ともビックリしてあたりを見回すとミシェナが立っていた。


「「「なんでここにミシェナ様が?」」」


目を見開いた舞を除いてアリシアたちが声をあげた。

ミシェナはアリシアたちの方を向いて、少し驚いたように聞いた。


「貴方たちこそどうやってここに来たの?いえ、まさか貴方たちもそうなの?」


「貴方たちもってことはミシェナ様もそうなんでしょうね?」


ピリピリした空気の中でアニシアとミシェナはお互いの事を確認した。

“そう”の意味は舞には理解できなかったが、アリシアたちとミシェナには何か共通点があるのだろうという事は分かった。

そして舞が“そう”とはなんだろうと考えていると、ミシェナが舞の方を向いて驚愕した。


「ま、まさかマイ様が?でもマイ様から魔力なんてまったく感じられなかったのに、まさか。いや、でも、これだけの魔力ってことはやはりマイ様が?とりあえず連れて行った方が……。」


ミシェナはわけのわからない事を言うと、舞の手をつかんだ。

そして舞とミシェナを何らかの力が包み込んだ。

第1章 王宮編はこれで終了です。

番外編をはさんで次の話からは魔界での事になるので、第2章になります。

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