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どちらが王妃?  作者: kanaria
第1章 人間の大陸編
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8 英知の宮と男 

次に舞が目を覚ました時には、日が高く昇っていた。

長い時間寝ていたことに驚きつつも舞はベットの上でのびをしながら部屋を見回した。


昨日はよく見てなかったが、改めて見ると随分豪華な部屋だな。

いたるところに金のようなものが使ってあって金ぴかだ。

部屋は寝室と普段過ごす部屋が別になっているし、風呂やトイレもある。

なんというか、貴族が泊るための部屋って感じだな。


豪華な部屋だと考えていると寝室の扉が叩かれた。

音が鳴って少ししてからミシェナが入ってくる。


「失礼いたします。マイ様、そろそろお目覚めになって下さい。もう、昼食のお時間でございます。」


なっ、もうそんな時間だったのか。

どおりで明るいわけだ。

地球に居たころは6時には自然と目が覚めていたというのに……。


舞は落ち込みつつもミシェナが渡してくれた服に着替え隣の部屋に行った。

するとアリシアたちが机に料理を並べている。

とても美味しそうな匂いが舞のところにも漂ってきた。


グウウー


舞は自分のお腹が鳴る音が聞こえて真っ赤になった。

アリシアたちにも音が聞こえたようで、微笑ましそうに一度舞を見てから再び料理を並べ始めた。


12歳ぐらいの子から微笑ましそうに見られるとは……。


舞が二度目のショックを受けているうちに昼食の準備が出来たようでアリシアたちは退出した。

そして昼食を食べ、昼食後はミシェナにこの世界おおざっぱにと人間の大陸の事を詳しく教えてもらった。

それによると、この世界は日本と同じように四季があり、時間の数え方や一年の日数、四季の呼び方も同じであるらしい。

現に時計も同じである。


3時になりアニシアが紅茶とスコーンを持ってきた。


本当に地球と似ているんだな。

3時に紅茶とスコーンとかまさにアフタヌーンティーではないか。

普段私はアフタヌーンティーなどやらないが。


休憩を終えると、今度はアリシアたちが王宮を案内してくれる事になった。

庭などを案内してもらいつつ、王宮内の事を教えてもらう。

それによると、どうやら舞の部屋があるのは賓客ひんきょくみやと言って他国からの使者などが泊るための宮だそうだ。

他国からの使者はヴィルカイン王国の様子を探るために来る者が多いため王族が暮らす王の宮や王や大臣職の執務室がある中枢ちゅうすうの宮から離れた位置にこの宮はある。

とはいっても使者を退屈させないためかさまざまな国の本を集め、建物ひとつが巨大な図書館となっている英知えいちの宮が近い。




王宮を案内してもらった翌日、もしかしたら日本への帰り方も載っているかもしれないと舞は英知の宮に行った。

ミシェナは舞に着いてこようとしたが断り、1人で英知の宮に入る。

入ると途端に目に入るのが本の山である。


すごい。

賓客の宮よりも大きな建物の壁に沿って本棚が並んでいて、真ん中に200を超える本棚が並んでいる。

だいたい、8階ぐらいの高さがある天井までピッタリと本があるぞ!

どうやら1つの階ごとに透明な床があるみたいだ。

高所恐怖症の人は上の階に行けなさそうだな。


舞が入り口で突っ立ってそんな事を考えていると男から声をかけられた。


「これはこれは、皇太子妃さまのお従姉妹さまではありませんか。わたくしはバーボルス・マーリエ・クランバートと申します。本日は偶然とはいえお従姉妹さまにお会いできてとてもうれしく思います。」


私の事をお従姉妹さま呼ぶからにはこの男は子爵以下の貴族か?

この表情からして私が美羽の従姉妹だから自分の事を売り込みに来たのかもしれない。

上手いことまいて本を読みたい。


そんな心の内を押し隠し、舞はにこやかにほほ笑んだ。


「はじめまして、私は雨宮舞と申します。このように入り口での立ち話は通行の邪魔になりますのでこれで失礼いたします。」


「では、場所を移してお話をさせていただけませんか?私はどうしても貴方様にお聞きいただきたい事があるのです。」


「申し訳ございませんが、私は早急に片付けねばならない事がありますので。」


舞はなんとかして話そうとする男の申し出をきっぱりと断った。


この断り方では今日は本を読むことをあきらめなければいけない。

そのことは残念だが私は今美羽の付属品であり、お情けで衣食住の生活を見てもらっているのに独断と偏見で誰かを美羽に引き合わせることなどできない。

それに私自身も審査の間で別れてから美羽と会ってないというのにどうやったら私経由で美羽とつながりが持てると思うのだろうか?

もしや私が美羽と会えてないことすら知らないのか……?


舞を経由して美羽とつながりを持ちたいと考える割には男の持つ情報が足りてない可能性が浮上して舞は内心驚く。

申し訳なさそうな表情を浮かべ軽く頭を下げた舞に男は諦めたようで別れの言葉を口にして英知の宮を立ち去った。


……気分転換に賓客の宮の庭をうろついてから部屋に帰るか。

また、ああいった人に会わなければ良いのだが……。

これからも美羽とのつながりを求めた人に会う可能性は十分にあるのだろう。

今回は私よりも下の位だったからよかったものの、私よりも上の位の人物だと下手に断れない。

自分も美羽と会えてないといって断るのがいいのだろうか……。

うーん、とりあえず出来るだけ部屋から出ないようにしよう。

私の部屋まで来るような熱意のある人は自分から美羽に面会を頼みに行くだろう。

そうであることを切実に願う……。


上手い対処法を見つけることができず、舞は結局運任せにすることを決めた。

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