【短編完結】転生担当のイケメン神様に一目惚れされてしまいました 彼は私を転生させたくないようです
「君の事が、好きだ……!」
転生の間。案内役のイケメン神様(自称)が私の手を情熱的に握りしめてきた。
「は??」
「一目見て感じたんだ。これは運命に違いないとな」
「えー……(引き気味)。いや、手握らないで。サッ(手を引く)。それに運命って……あなたが神様でしょ? 全部自分で決めてるんじゃないの?」
「厳密には違う。私はただ、ここへ来た者を割り振っているだけだ。……さあ、君の気持ちを聞かせてくれ。私の側にいてはくれないか?」
「あー、えー、あっ! そうだったわ、転生させてくれる人だったわね。なら私、『モフモフざまぁ溺愛婚約破棄ハッピーエンドスローライフ』をお願いします!」
「……そんなコーヒーの注文みたいなことを言うな。君はどこにも行かず、ここに居た方がいい」
「ここにいるって……ここ、何もないじゃない。虚無よ、虚無!」
「いやいや、これは演出でそういう風にしているだけで……ん? おっと、次が来たみたいだ。少し待っていてくれ」
「はぁ~……(呆れ)」
彼は「ぱたぱた」と足音を立てて、奥にある扉へと向かった。……あの扉、何かしら。少し気になるわね。
私はこっそり彼の後を追い、半開きの扉から中を覗き見た。
「ギイ……チラッ」
「ああ、君は何て美しいんだ! 是非、私の側に居てくれ!!」
扉の向こうでは、ついさっき私に言ったのと一字一句違わない台詞で、新入りの転生者を口説き落とそうとしているアイツの姿があった。
「あら~♪ そんな強引に言われちゃったら、わたし~♪」
新入りの浮かれた声が聞こえてくる。
「…………ムカッ。あいつ、誰にでも言ってるじゃない……!!」
(完)




