さよなら白衣の悪魔さま
※導入のみ存在する未完作品です
魔動義肢。
今となっては一般に広く普及した技術だが、開発当初は苦難の連続であった。
欠損した部位を、魔力で動くカラクリで置き換える。
魔法と工学、そして医学。すべての知識が十二分になければ成し得ないもはや神がかりの御業であり、成功の可能性は極めて低いと見積もられていた。
増してすでに全治した欠損であれば、当然その欠けた断面は、新たな皮膚で被われている。しかして魔動義肢を、それまで通りに四肢として動かすのであれば、魔動義肢の回路に神経や血管を繋ぎ合わせる必要がある。
すでに治っている傷口を、再び露出させなければならないのだ。
当然、リスクは高く、激痛を伴い、にもかかわらず、元の身体のように動く保証はない。
最初期の魔動義肢被検体には、手術時の事故や術後の容態悪化で死んだもの、術後の拒絶反応で術前以上に欠損を増やしたものが、数多くいる。
そんな、最初期の魔動義肢業界を、牽引した人物がいる。
いかに被検体が泣き叫ぼうと、血反吐を吐こうと、手術台に縛り付けて手術を敢行し。
痛みにやつれた被検体を鞭打ってリハビリに従事させ。
僕の造った義肢を着けた以上、欠損前と同等以上の動きを見せなければ許さないと言い放った、悪女にして技士であり医師の魔法師。
魔法史にも医学史にも科学史にも刻まれたその名は、アザゼル・バートラッド。
後の世まで女傑と伝えられる、白衣の悪魔である。
未完のお話をお読み頂きありがとうございます
プロローグだけあって中身は一切ないのですが
章のタイトルと患者の欠損部位だけいくつか
考えたメモ残っていたので
併せてここで供養しますね
ロビン・フッドの瞳(狩人の眼球)
ドロシーの魔法の靴(バレリーナの両脚)
人魚姫の喉(歌姫の声帯)
アキレスの脚(陸上走者の足首)
誰か中身を下さい