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――11層。そこもまた洞窟の岩壁から突出しているダンジョンだ。しかし青光りで照らされる通路は1~10層までとは違い、多くの草花に侵食されている。

その為出現する魔獣は草木、植物来の種が多い。


☆【ブラッドプラント】レベル15


真っ赤な植物の蔓が絡まったような姿の魔獣。ボーリングくらいの大きさで小柄だが、繰り出される蔓の鞭による攻撃はかなりの速度だ。

しかしその攻撃は予兆があり、放たれる前に全身の蔓が緩み中の大きな目玉がこちらを視認してくる。


(だからそこを叩いてやれば)


「『エアマジック』――!」


詠唱と共に杖の先から突風が放たれる。それは向かってくる蔓の鞭をパリィのように防いだ。そして攻撃直後、硬直状態にあるブラッドプラントへ接近。『マジックバースト』で目玉を狙い吹き飛ばす。


「よしっと」


あたりに伏している無数のエビルプラントの死体。宝物エリアの侵入した直後罠が発動しこいつらがわいてきた。そして、それはブラッドプラントだけではなく。


「お嬢ちゃんそっちおわったか!?こっち頼む!!」


クロウが相手取っているのはこのブラッドプラントと共に現れた鎧騎士。全身から紫の魔力が立ち昇っている、トラップに設置されている一般魔獣よりも強いタイプのあれだ。


☆【呪いの傭兵】レベル26


(クロウが足止めしてくれていたおかげでこっちはすんなり終わった)


俺は呪いの傭兵の攻撃を躱し続けているクロウのもとへ駆けつける。そして連撃に入ろうとする魔獣の懐へ入り込む。ぴたりと動きを止める魔獣。


(鎧の可動域的にこの近距離では連撃が放てない、一旦離れようとするが行動に移るまで1,2秒のラグがある。隙だらけだ)


腹部へ手を当て『魔弾』を放つ。まるで破裂したかのようにバラバラに吹き飛ぶ鎧。ガラーンと四肢が石床へ落ち、戦闘が終了する。


「……いやいや、マジですげえなお嬢ちゃん。こいつを一撃で破壊できる奴なんて黒魔道士でもみたことねえよ」


はは、とひきつった笑みを見せるクロウ。これで11層に入ってから7度目の戦闘だったが、いまだに驚いた反応をする。


「……でも、ありがとう。クロウがそいつを引き付けてくれてたから、余裕をもってブラッドプラントをたおせたよ」


「いやいや、けど数分もたたないうちに10匹いたブラッドプラントを全滅させるなんて思わなかったぜ……俺がひきつけなくても余裕だったんじゃないか?はは」


「ううん、そんなことは無いよ。ほんとに助かった」


「そ、そうか?それならいいんだけどよぉ」


実際、このレベルの魔獣の群れであれば一人でも倒すことはできた。けれどそれには走り回り、群れをバラバラにして処理する手間が必要になってくる。ゲームのシステム上、スキルや魔法に使用するためのキャスト、再使用するまでのクールタイム、リキャストがあるのでいっぺんに相手をするのにも限界があるのだ。


(敵を散らす手間が無い分、ひきつけ役がいてくれた方が時間的効率が良い。ほんとにたすかる)


けれど、クロウってほんとに何者だ?レベル26の魔獣を相手取ってダメージの一つも受けてない。回避が得意なシーフっていうのもあるけど、それにしたって無傷は相当なプレイヤースキルが必要になる……。


パーティーではないから彼のレベルを確認することはできないけど、レベル20以上はありそうな気がする。しかし、だからこそ不思議だ……そんないくらでも仕事のできそうな腕の立つシーフがどうして浮浪者に。


「嬢ちゃん、みろよ!この木箱、宝石がたくさん詰まってんぞ!?ふはっはははー!!」


子供のように笑みを浮かべお宝を見せてくるクロウ。無邪気なその顔にこちらまで笑みがこぼれる。


「クロウ、それくらいあれば酒代に足りるんじゃない?」


「ん?あー……いやいや、せっかくの機会だからな。まだまだ稼がせてもらうぜ。嬢ちゃんっていう最高のパートナーがいるんだしなあ!!」


全然帰る気はなさそうなクロウ。うーん、困ったな。もっと下層に行ってレベリングしたいんだけど、私がダンジョンに来れているのはクロウのおかげだし。離れるわけにもいかないよな。


「ん……どうした、嬢ちゃん?体調でも悪くなったのか?」


「え、ううん。なんでもないよ」


じょりっと無精ひげを撫でるクロウ。


「ははーん、さてはあれだな?もっと下層に行きてえんだろ!」


「え」


「お、やっぱり図星か!顔にかいてあるぜ?もっともっと沢山のお宝がほしいってな!」


「え、いや……」


「いやいやいや、誤魔化すなよ嬢ちゃん!金はあればあるだけ良いってもんだ!美味い食べモン、良い服、暮らし!病気を治しちまう薬……あらゆるモンにかえることができるんだからなぁ!そりゃたくさんのお宝が欲しくなるってもんだよな!よっしゃ、どんどん下層の方に行こうぜ!!」


いや、まあ金も欲しいけどレベリングの方が重要で……別にいいか。下層に向かってくれるなら何でもいいな。


それか多くの魔獣を狩りながら俺とクロウは進んでいく。


白骨に薔薇の魔獣が寄生した【ローズワイト】、腐ったリトルオークやゴブリンの遺体に根を張り巡らせた【リビングデッド】、紅い巨大な蕾状の魔獣【ルビーロード】

それらのレベル18~28の魔獣が多く生息する20層にまで到達。


「おお、マジだ……ほんとに次の階層への扉があった。なんで知ってるんだよ、嬢ちゃん」


「え?……勘、かな」


「勘!?すげえな!!」


巨大な植物の蔦が張りめぐる木造の扉。勿論、この先は20層のボスエリアであり、強力な魔獣がいる。その名も……貪欲の【ネシレイア】。レベル45。




【重要】

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