第84話 打ち上げ
その日の夜、ぼくたちA組は、クラス対抗戦で優勝し、その打ち上げをしに、高級な焼肉屋に来ていた。ちなみにカリンの分の代金はぼくが負担することになった。
「食べてる、カイロ?」
正面に座ってるリリアが肉を食べながら、言ってくる。
「食べてますよ」
「えーそれほど、食べてないじゃん。カリンを見てごらん」
「ん?」
リリアの隣にいるカリンを見ると大量の肉を食べているカリンがこちらを不思議そうに見ていた。
「ねぇ、カリン、おいしい?」
「うん!おいしい!」
「よかった」
大変満足そうにニコニコの笑顔で返事をしてくる。
ふと、リリアがどこか別の所を見ているのに気づいた。ぼくは振り向いてみると、来るとは思わなかったヤンキーさんがオリマーさんと一緒に食事をしていた。
「変わったのかな?」
「さあな、ぼくに負けただけで変わるとは思わないが、何かあったのだろうな」
「そうだね。ヤンキーがそう簡単に変わると思わないね」
ヤンキーさん、昔のあなたよりも今、友情を育んでいるヤンキーさんの方が断然にいいですよ。
「今後は絡んでこないと思ったらいいのかな?」
「まあ、リリアは次はヤンキーさんに勝てるようにならないとね」
「わかってるよ…………そうそう、カイロあれはやりすぎだよ」
あの手紙のことかな。
「流石に人数が多かったよ」
「悪いって、でもあの程度では疲れてはいけないよ。今後、戦っていくときは同じぐらいの敵と長時間戦ったり、連戦続きの戦いが来るかもしれないよ」
「それはそうだけど」
「感じたでしょ、ぼくやアクエラとの実力の差を」
「そうだね……………」
やべ、言い過ぎたかな。落ち込んでいる。ぼくのところにある肉を箸で掴み、リリアの口の中に入れる。
「…………おいしい」
「大丈夫、君は強いから、今は経験を積んでいかないと」
「うん」
「今はこの時間を楽しもう」
「うん!」
リリアは肉をパクパクと食べていった。
「そういえば、王女様、よく焼肉を食べに来たよね」
「焼肉の匂いが服に付くから、行けないと思ってた」
リリアとカリンはそんな話をしている。
確か国王様が許してもらったって言っていたようだが、よく許したな国王様も、家族思いのお父さんだな。
ぼくはそんなことを聞いたのを2人には言わなかった。
「ねぇ、カイロ?」
「どうしたの?」
ある程度食べ進めていたとき、突然ルイさんに話しかけにきた。アルマさんもいる。
「能力って、知ってる?」
能力か、確かルイさんとアルマさんはトリアさんと戦っていたよな。学園長の娘さんだし、流石に知っているようだな。
「知っているけど、どうしたのですか?」
「ロンと戦ったとき、アルマが最後に魔法をわたしとロンがいたのにわたしには無傷で、ロンにはダメージを負わせていた。これって能力なの?」
「そうそう、びっくりしたよ。ルイが無傷だったの」
能力。ぼくにはその能力名もわかる。
「通過する能力」
「通過する能力?」
「そう、アルマさんの能力」
「だからわたしには魔法によるダメージがなかったのね」
「うん」
「ありがとう」
「ありがとうございます。カイロさん」
ルイさんとアルマさんは元の席に戻っていった。アルマさんよりもルイさんの方が早く能力に目覚めると思っていたけど、アルマさんが先とはね。
「アルマも能力を得たんだ」
「ああ、リリア、これからは能力者が増えてくるよ」
1人が能力に目覚めたら、次から次へと伝播するように目覚めてくる。
「また、能力……………」
カリンが羨ましいそうな表情でアルマさんのことを見ている。
「カリン、大丈夫だよ。君も能力を持っているよ」
「え?カイロくん………どういうこと?」
「私も気になる」
言ってなかったっけ?能力を持っていることを。
「カリン、君はもう能力が目覚めているよ」
「なら、どうして、私は使えないの?」
「知らん」
「能力名もわからない?」
「うーん、わからないね。能力の特徴がわかれば大体はわかるけど」
「そうですか…………」
「カリン、時間をかけて、使えるようになっていこう」
「うん!」
笑顔になった。リリア流石だな。
そろそろ行かないと。
「悪い、ぼく抜ける」
「え?まあいいけど。どうして?」
「それは言えない」
「まあ、いいよ………」
よかった。言及されるとめんどくさいからな。
「これ、ぼくとカリンの分の焼肉の代金」
「わかった」
ぼくは代金を渡して、焼肉屋をあとにする。
ぼくは深夜の道を歩く、始まりがハルカラ王女が国王様に許可を取るとかで遅かったから当たり前だけど。
悪いなカリン、本当は知っている。
君が能力を使えない理由も君の能力名も
でも、それは言えない。
君は使えない理由を知れば、きっと壊れる。いや確実に壊れる。
君は既に1度壊れている。
その理由もぼくにもわかっている。
能力名をいえば、思い出してしまうかもしれない。
君の能力は空想を司る能力
そしてそれは
アクエラの目的となる少女だ。
焼肉屋から結構な距離を歩いていた。噴水がある広場が見えてくる。ぼくの目的はそこにある。
1人の者が噴水の前に座っていた。その者は茶色フードを被り、ヤンキーさんに力を与えた者。
「お久しぶりです。キャラさん」
「ああ、そうだね、かいろ」
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