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第63話 奪うことは

 ヤンキーさんとの対決が終わり、ぼくが勝利した。ヤンキーさんは、地面に倒れている。しばらくの間、起き上がってくることはないだろう。ヤンキーさんが破王(はおう)を喰らって立ち上がったときは、びっくりしたが、案外根性があるのだと思った。ヤンキーさんは、これからに案外期待できるかもしれないな。


「カイローーーーー!!」

「うん? リリア」


 リリアがニコニコの笑顔で走ってきた。なんかリリアの笑顔を見ると本当に終わった感が自然と伝わってくる。

 て言うか、リリアのやつ、全然止まらないな。あれ、これって…………


「わっ!!」


 リリアが飛びついてきた。ぼくは、リリアを受け止めるとリリアは、ギューと手に力を入れて、ぼくを抱きしめた。


「どうしたんですか? リリア」

「カイロ、ありがとう………………助けてくれて、ありがとう」


 それをいいに抱きついてきたのか?

 以外だな。普段のリリアなら、こんなことしないと思うのに、何か変化があったのだろうか?


「どういたしまして」


 ぼくがそう返すとサーケットさん達もこちらの方に来た。


「カーラレスくん、私からもありがとう」

「どういたしまして」


 ありがとうって言われたら、こうやって返すの思ったより、恥ずいかしいですね。


「リリア離れて」

「うん、わかった」


 学園長がヤンキーさんのことを見下ろしている。生存確認をしているようだった。ぼくは、ヤンキーさんのことを聞くために学園長のところに向かった。


「学園長。ヤンキーさんは、どうなるのですか?」

「うむ。アックスの処罰は、退学だな…………………いや、誘拐の点を合わせても最も重い罪になるだろうな」

「学園長、その判断待ってもらってもいいですか?」

「なぜだ。カーラレス?」


 ヤンキーさんがどうなろうと関係ないけど、ヤンキーさんに渡されたあの魔力、無意識でやっていた魔力のを纏わせるのを意識化でできるようになったら、より強くなるし、今の状態でも、そこそこやれると思うから、おそらくこの後のクラス対抗戦で使えるでしょう。それに、あのときに見たヤンキーさんのあそこまでの執念、あれをまた見てみたいと思ったから、退学になるのは、もったいない。まだまだ、成長できるのにな。それにこれは学生の青春。若者のときのの思い出なんだからさ。


 それに、青春はさ……………誰が何であろうとも若者から奪うことなんて、許されないことなんだからさ。


「ヤンキーさんは、まだこれから成長できると思います。だから、学園に通わせてくれませんか?」

「だが、アックスは、決して許されないことを犯した。それについてはどうすんだ」


 確かにヤンキーさんは、許されないことをやったかも知らないけど……………ぼくは、決してそれを奪う権利なんて持ってないからさ。


 ぼくは一度、多くの未来を奪ったからさ…………


「ヤンキーさんは、まだまだ学生………………若者なんですよ。失敗の一つぐらいあるのですよ」

「だかな………」

「私、いいですよ。ヤンキーの野郎の処罰がなくても」

「リリアちゃんが言うなら私もです」


 リリアとサーケットさんがヤンキーさんの処罰をなくてもよいと言った。ヤンキーさんの目的は、ぼくと戦うことだったが、このヤンキーさんが起こした事件で一番の被害者は、リリアとサーケットさんの2人だから、決める権利は、彼女達にある。


「それでいいのか、フリーダム、サーケット」

「はい、いいですよ」


 リリアは返事をして、サーケットさんは頷く。


「アックスしだいでお前達2人は、殺されていたかもしれないんだぞ」

「はい、確かにヤンキーの野郎は、カイロと戦うために私達を誘拐したかもしれません。けれど、誘拐されたのは私達がヤンキーの野郎に負けたのが原因です。あのときに勝っていたら、誘拐されることなんてありませんでしたし、この事件も起こりませんでした」

「うん、アックスさんに誘拐されたのは、私達の弱さにも原因があります」


 強いな芯が通っていて、ぼくは、ただヤンキーさんから、青春を奪いたくなくて退学にさせないようにしているのに。


「ごめんね、リリア、サーケットさん。ぼくのせいでこんなことに巻き込んでしまって…………」

「カイロぉ、いいってもう」

「私は、許しませんよ」

「え?」


 サーケットさん、やっぱり怒ってる?


「許してほしいなら、カーラレスくん、いや、カイロくん。私のことは、カリンって呼んでください」


 そんなことですか。


「わかりました。改めてカリン、よろしくお願いします」

「うん、よろしくです。カイロくん」


 改めてカリンと友達になったような気がするな。


「フリーダム、サーケット、お前達2人の意見だ。アックスは、このまま学園に通わせる。しかし、ただ通わせるのはアックスのためにもならない、何かしらの罰は与える」


 罰ですか。うーん、何かいいのはあるのでしょうか。ヤンキーさんにとって一番の罰になるようなこととは。


「なら、学園長。ヤンキーさんには、正しい力の使い方を学ばせるべきです」

「正しい使い方か」

「はい、そうです。ヤンキーさんがぼくとの戦闘で見せた、あの魔力の層を纏わせる技術、あれは無意識で行っている技術であり、ヤンキーさんが使いこなしていません。なので、その力の技術を学ばせるべきです」

「うむ…………」


 学園長は、ヤンキーさんを見下ろしながら、考えている。


「よかろう。その罰でいこうではではないか。お前達もそれでいいな」

「はい、それでいいです」

「わかりました」


 リリアとカリンが納得して、ヤンキーさんの罰が決まった。これにて、完結です。



 ◇◇◇



(さっきから、何言ってるの?)


 ニルとカイロの会話を黙って聞いているネオンは、さっきからカイロが言っていることに意味がわからなかった。


(何で、自分を殺そうとしていた相手に慈悲なんてかけれるの?)


 ネオンは、カイロが学園長がインテに対して下して処罰に対して、カイロがそれを処罰をやめてほしいと言っていたためだった。


(さっき、暗闇から月明かりによって照らされたときのカイロ、あれは一体なんだ! あれを見た瞬間、恐怖というのを覚えた。もしかしてあれがアテナが言っていたカイロの無ってことかな?)


 ネオンは、そのまま思う。


(どうして、リリアとカリンはカイロに対してあんなに笑顔になるのだろうか? 何かカイロには不思議な力があるのだろうか? それにカイロがアックスを庇ったからリリアとカリンも処罰するのに反対した。さらにリリアとカリンは、自分原因があると言い出すし」


 ネオンは、カイロに対して何もかもわからなかった。


「カイロ、お前は一体何者なんだ?」


 ネオンは、思っていたことがつい口に出ていた。

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