第55話 2人の思考
自分の部屋に戻ったあと、本を読むなどをしてゆっくりと過ごしていた。サルビアたちも姿を現して、各自自由行動をとっている。
しばらくの時間がたって、深夜になった頃、ぼくはふと今もなお、雨が降っているのか気になって、窓のカーテンを開けた、すると、そこには土砂降りだった雨は一切降っていなくて、さらに雲一つなく、弱い風が吹いているほど、いい天気だった。ぼくはこんなに晴れているなら、外に出たら風に当たって気持ちいいだろうと思ったため、窓から外に出て白寮の屋根の上に登った。屋根は雨によって濡れていたが、ぼくの能力によって乾かして屋根の上に寝転んだ。寝転んで見る夜空には瞳を吸い付かせるような気がした。
「今日は満月か。そういえば、リリアと戦ったときの月って満月だったな」
今日の月は満月でリリアと戦ったときにも満月を見たからつまり学園に入学してから1ヶ月が経ったってことか。ぼくは満月に対して手を伸ばす、その手で月を握る。しかし、握った手は何も掴めず今の自分には月すら、届くことはありえない遠い存在だった。ぼくは何もないところを握った方の手を自分の目のもとに持っていき、目に一切の光が入らないように隠した。
「弱いな……………ぼくは」
そう小さく声が出ていた。昔の頃だったら、届くことができたはずのものが届かなくなっている。リリアには、世界最強だと言ったけど、今の自分は全然世界最強でもなんでもない、ただの自称止まりだな。師匠なら、こんな時どうしたのだろう、ぼくにはわからないことも多いな。
「ハハハ……………」
口から笑い声が漏れていた。
あの輝いている星々、綺麗な満月、光がある夜空も、そして、光がない闇もすべて、ぶっ壊したいと思ってしまった。しかし、現状のぼくなら、それはすることができない。今の夜空の輝きが普段見るよりか、100倍以上綺麗だった。
「綺麗だな…………」
「うん、そうだな」
「ん?」
ぼくがつぶやきに対して返した者の方を見るとサルビアがいた。今は深夜のため、だいたいもうすでに寝ているサルビアが今日は起きているようで不思議に思った。
「いつから、聞いてましたか?」
「えっと…………カイロが笑っていたときからだぞ!」
笑っていたときなら、そんなに聞かれて悪いことはなかったから、全然まし方だった。
「で、何のようですか?」
「いや、今日は眠れなくてな」
ぼくは一安心して、サルビアに聞いたが、サルビアはどうやら、寝ることができなくて起きていたら、ぼくの笑い声が聞こえてきて、ぼくのところに来たようだった。そして、サルビアはぼくの隣に寝転んだ。
「そうですか、ベルギアとスターチスの2人は?」
「あいつらなら、もう寝ているぞ」
ほかの2人は寝ているようで、これ以上はここには来ないってことだな。まあ、他の白寮のメンバーが来るかはわからないけど。
ぼくとサルビアは何も話さず、ただ夜空を見ていた。
「私さ、カイロ、お前のことがちょっと怖いんだ…………」
先に沈黙の空間を破ったのは、サルビアだった。ぼくのことが怖いと言っているようだったが、ぼくのどれが怖いかわからなかった。
「あのときの灰色髪になっていたときの力が……………」
どうやら、血の永世を使っていたときのぼくだった。そういえば、サルビアにぼくの力を説明するって約束だったな。
「ぼくの力について、話しましょうか」
「いや、それはいい」
サルビアがぼくの力のことについて聞かなかった。ぼく自身、あのときはすごく聞きたそうにしていたのに、どうしたのだろうか?
サルビアことなら、何でも知りたそうだから、以外だなと思った。
「私さ、今ここで、カイロの力について聞くことは間違っているなって。私もさ、自分の力でカイロの力について知りたいなって」
「怖いって言っていたのにですか?」
「確かに、あのときの圧倒的な力のカイロはちょっと怖いって思ったけど………………………それよりか、若干わくわくしているんだ!」
サルビアは急に立ち上がって、ぼくのことを覗いてきた。その表情はどうやら恐怖はなく、楽しそうに待っている表情だった。ぼくはその表情を見て、「ハハっ」と声が出ていた。
「そうですか」
「うむ、そうだ!だから私……………最もカイロの本気を見てみたいぞ!」
すごいですねサルビアは怖いものにも恐れないその精神が……………
ぼくも改まった方がいいと思い、体を起き上がらせてサルビアの方を見た。
「なら、待っていてよ。ぼくの本気の力を見せるときまで」
「うむ、わかったぞ。楽しみに待っておく」
サルビアは言いたいことを言い終わって部屋に戻っていった。こんなことを話したかったかよ。また、1人になったな。サルビアはすごいな。
いや、他の人もか………………
あいつらは皆んな輝いているな、この夜空みたいに。
ぼくは立ち上がって、屋根の上に立って満月を見つめた。そして、ぼくは覚悟を決め、宣言した。
「あいつとの約束もぼくの夢も関係ない!! ぼくは最強だ!! 誰にもこの世界は渡せない!!」




