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第52話 雨の日

 学園長の呼び出しをもらったあと、ぼくは少なくなってきた料理の食材のため、町まで買い出しに来ていた。本来なら、先輩が買い出しに行く予定だったが、ぼくとリリアが一定の間、旅行に行っていていなかったため、その分の白寮での仕事を先輩にしてもらったため、恩を返すためにリリアと買い出しに行く予定だったが、学園長に呼ばれたため、ぼく1人で行くことになった。リリアの方が先に買い出し終わるけど、ぼくが誘ったからと言う理由でぼくが買い出しに来ている。


「目的の食材は買えましたし、帰るとしますかね」


 ぼくが帰ると決めたころ、運がないのか雨が降ってきた。今、傘なんて持ってないし、持っている物なんて、学園に持っていくカバンと食材が入った袋だけだし、しばらく雨宿りさせてもらお。サルビアに頼んだらなんとかなりそうだが、サルビアがここで現れたりしたら、問題になりそうだからやめといた。

 ぼくは近くにあった食堂に入っていった。窓側の席に座ることができて、何かを頼まないといけないから、食堂でも定番料理を頼んで雨が止むまで待った。


「やらかした」


 雨は止むどころか、さらに強くなっていて、土砂降りになっている。あたり、一面水溜りができていており、一部では浸水していた。これは止むことは長い間なさそうだし、濡れながらでも帰った方が早く帰ることができるし、さらに雨が強くなったら余計に帰ることができなくなるため、帰った方が良さそうだった。

 ぼくは白寮に帰ることを決め、食堂から出て土砂降りの中、白寮に向けて走っていった。


「ん?あれは…………」


 走っている中、一瞬見えたものに気になり、足を止め、そちらの方に注目した。そこは家と家に挟まれた少しの空間だった。そして、その空間には王都英傑学園の生徒の少女がいた。

 同じクラスのカリン・サーケットさんだった。

 サーケットさんの制服を着ているようであったがそれは普段学園で着ているような制服ではなく、雨に濡れて泥によって汚れており、捨てた方がいいレベルのものだった。さらに彼女の髪色が普段だったら、銀髪でくせ毛のある長髪だったが、今は雨によってボサボサになっていて、髪の毛から水が垂れてきていた。そして、彼女の表情は悪く、ぼくからみたら辛そうな苦しそうな表情だった。そのため、自分が雨に濡れることよりか、彼女のことの方が心配になり、サーケットさんのもとに近づいていった。


「おーい、大丈夫ですか?」

「ん? なに」


 サーケットさんがにらんできた。どっかいけと言う目で見てくる。しかし、その目は誰も信じていないような感じや絶望しているような感じが伝わってくる。こうやって話すのは初めてだが、彼女と話してみて、彼女はどこか無理をしているような気分になった。


「なんでこんなところにいるのですか?」

「なに、悪い、カーラレスくんには関係ないことですよ」


 その声は冷え切っており、土砂降りの雨を受け続けて体が冷え切っているようだった。


「ふ〜ん、そうですか」


 ぼくはそう言いながらサーケットさんの隣に座った。荷物を端の方に寄せ、食材が濡れないように学園のカバンで守った。しかし、すでに食材は濡れており、それは無駄な行動だった。まあ、長くなりそうだからこれ以上濡れなくはなるかな。


「………なんで、横に座ってるの?」

「いやー、サーケットさん、このままだと体調不良になりますよ」

「別にいいよ、そのぐらい」


 体調不良になることが別にいいのか。体を壊すと今後にも響いてくるし、こんなところで野宿すると、命も危なくなってくる。更にここは町中だと言っても、こんな雨の中だと何が起こるかわからないし、誰が見てくるのかわからない。それにさっきから走っている人や傘をさして帰っている人たちがぼくたちの方を見ているけど、その表情が土砂降りの中、地面に座っているやばいやつらだと見ていて、誰も声をかけてこなかった。


「わかったら、さっさとどっか行って」

「それは無理ですかね」

「…………なんで」

「気になっているだけですよ……………で、家出ですか?寮には入らないですか?」


 ぼくがそう言うとサーケットさんは下を向き、考えていた。なんかやばそうだな、サーケットさんの様子を見るともしかしてまずかったのかな。


「…………家もお金もない」


 過去に何かあったのでしょうか。それにしても、お金がないって、親から出してもらえないのだろうか。

 それに家がないって、もしかして親も………


「親は?」

「幼いごろに親に捨てられた」


 絶対に聞かなかった方が良かったことですね。失敗したな、普通に気まずくなった。それにしても、今日の学園では制服も綺麗な状態に見えたから、たった1回の土砂降りによって、こんなにもボロボロになるんだな。このぐらいの雨が数日間降ったら、まずい状況になるな。それならとぼくはその場に立ってこう言った。


「ぼくが住んでいる白寮に来ますか?」


 と。


「えっ?! えぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 サーケットさんの驚く声が雨の音が響き渡るこの町に響き渡った。

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