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第44話 動かない

 メデューサが怯える表情を見て何も感じなかった。そして、メデューサを殺した。そのときと何も感じることはなかった。もう、昔の甘かったぼくはいなくなっていた。このままだとよくない。もう、クズやろうはいなくなったから、もとに戻らないと。ぼくの心の氷が割れていくような音が聞こえてきた。

 戻ったか…………



「この返り血、どうしようかな」


 ぼくは自分にかかったメデューサの血をどうしようと考えていた。


「よし、これでいいか、蒸発しろ」


 メデューサの血がすべて蒸発していった。ぼくについた血はなくなり、メデューサと戦う前の状態まで戻っていた。


 パリ


 その音が聞こえてきた。ぼくはその方に振り返ると石化している吸血鬼の少女の石化が解けてきていた。少女が姿を石化が完全に解けた。

 鬱金色の長髪のポニーテールを持ち、真紅の瞳を持つ少女だった。

 彼女の姿が見えるとサルビアたちもこちらにやってきた。


「カイロ、おつかれ」

「うん、余裕でした」


 ぼくは笑顔で答えると魔族の少女が「メデューサはあんなに簡単に倒せないよな」とつぶやいていた。すると、吸血鬼の少女がぼくの方に礼してきた。


「助けてくれてありがとう」

「あ、はい。どういたしまして」


 ぼくは感謝されることがほとんどなかったため、どのように反応すればわからなかったので、町の人が言っていた言葉を使った。


「お前はこれからどうするの、神装体(しんそうたい)?」

「私のこれのことを知っているのか」

「ああ」


 神装体。

 この世でごく一部の者に授かる力。

 授かったか、どうかは生まれた時点で決まっており、本人では自覚するまで授かっているとわからない。

 その力はとある行為をするまで不安定の状態であり、それまで、授かった本人を犠牲にして他人に受け渡したりすることができる。


「助けてくれた恩にこの力を渡せばよいのか?」

「なんで?」


 ぼくは吸血鬼の少女が言っている意味がわからなかった。


「主様は欲しくないのか、この力?」

「別にぼくはその力はいらない……………主様?」

「ん? おい、吸血鬼、カイロを主様と呼んでいるのだ?」

「私は魔族のところにいたら、命が危ないだろ、だから、主様について行こうと思う」


 突然、吸血鬼の少女が言ってきた言葉にぼくはすぐに反応できなかった。ぼくは彼女の目を見ると本気の目をしていた。


「ついて来るのはいいですけど、なぜ、主様なのだ?」

「主様に助けられたことも1つの理由だが、私には主様が疲れているように思ったからな」

「カイロ、いいじゃないか、私と同じような主従関係でも」

「まあ、サルビアともそう言う関係だったな、そういえば、ならいいか、ぼくはカイロ、よろしく」

「ベルギアだ、よろしく、主様」


 ベルギアと呼べばいいよな。

 すると、スキルカードが鬱金色と撫子色の2色に光った。スキルカードを見ると進歩の吸血鬼と無限の魔力体の2つのスキルが増えてきた。この進歩の吸血鬼はベルギアのことで無限の魔力体って誰のことだ。もしかしてと思い、魔族の少女の方を見ると視線を宙に泳がしていた。


「おい、この無限の魔力体ってお前のことか」

「え、えーと…………」


 魔族の少女から汗が滲み出ていた。


「わ、私もついていきたいと思いまして…………」

「…………」

「ダメですか?」

「いいぞ、別に」

「え!!」


 魔族の少女はぼくの反応にびっくりしていた。


「いいんですか?」

「おお、お前が言ったんじゃん」

「そうだぞ、私はサルビア、よろしくな」

「よろしく、ベルギアだ」

「カイロ、好きに呼んでくれていいよ」

「はい、スターチスです。よろしくお願いします、サルビア、ベルギア、イロ」


 新しくスターチスが仲間になった。


「ん? イロ?」

「はい、カイロなんで、イロです」

「ふーん、まあ、いいか」


 ぼくだけ、なんか変な呼び方になった。急に気温が下がった感じがしてきた。


「ん?」

「寒いぞ」


 サルビアも寒いって言っているし、気温が下がっていた。


「へーリリアたちのところにアクエラが現れたんだ」

「主様よ、アクエラとは?」

「あー説明しとくか…………」


 ぼくはアクエラのことをベルギアたちに説明していった。


「それって、やばいんじゃないですか?」

「うむ、主様、助けに行った方がいいではないか?」

「そうだぞ、カイロ、リリアたちが危ないぞ」

「いや、ぼくは行かないよ」

「は? カイロ、リリアたちが死ぬかもしれないぞ!!」


 サルビアは訴えるように話してした。何を焦っているのか、たった数日の関係でここまで感情移入することができるなんて…………


「…………確かにリリアたちは死ぬかもしれないな」


 笑いながら答えるとサルビアは顔を真っ赤にして怒ってきた。でもぼくは決して行く気になれなかった。


「おいおい、サルビア」

「なんだ」

「これはリリアの物語だ」

「は?」


 ぼくの発言にサルビアは意味がわからない反応をしていた。ベルギアとスターチスはぼくの次の言葉を待っていた。ほくはそんな期待を無視して、リリアの方に向き直した。そして、リリアたちがいる方の端まで歩いて行った。サルビアは驚きの声を上げていた。


「リリア、これはお前の挑戦だ」


 ぼくは遠くを見つめながら言った。


「リリア・フリーダム、見せてくれよ。鏡の真骨頂の力を」

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