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空白の盃  作者: ゆっくりゆきねこ
第一章 空白の盃
2/5

空白の盃

創作人生10年目にして、遂に人生初めての一次創作を始めました。

どうも、小説家になろうでは初めまして、ゆっくりゆきねこです。

私の性癖にドストレートに刺さってくれる作品がいつまでも世に出てこないので、

「それなら自分で生産すればいいじゃない!!」

「ついでに誰かの性癖も曲げてしまえばいいじゃない!!」

と気をおかしくした結果出来上がった奴です。

こっちはおまけ付全年齢版で、Pixivに掲載している方が18禁版になる予定です。

但し、今回含め暫くは同じ内容です。

結構長くなる予定なので、首を長くして更新をお待ちいただけますと幸いです。

全ての人間の胸の内には、常に満たされる事のない空っぽの器があるという。人はそれを満たす為だけに生き、満たす為だけに手を尽くし、満たす為だけに全てを擲つ。しかし、その器が最期まで満たされる事のないまま、人は死んでいく。

決して満たされる事のない、渇いた器。それを分かっていても、人は渇きに耐える事が出来ない。満たさなければ、注がなければと、何かに追われるように行動を起こし、渇きを癒そうとする。それが仮に他者を傷つけ、世界を歪ませ、果てに自分も壊すと知っても、人はその衝動から逃れられない。

衝動に駆られた者が起こす行動は多岐に渡る。食、性、睡眠、闘争、獲得、優越、承認、支配、解明などがそれだ。総じて人が「欲望」と称するそれらは、この世界に無数に存在している。それが却って器の渇きを促しているとも捉えられるが、かと言って無くせる物でもない。食べなければ、眠らなければ、生き物は死んでしまうのだから。

しかし、我々には理性がある。他者に情を抱き、秩序を守ろうとし、社会を形成する力がある。だからこそ人は、群れて生きる事が出来る。他者とわかり合い、世界を守り、自分をも愛せるのだ。――器に蓋をして、渇きを嘆く衝動の呼び声に、気付かない振りをしてさえいれば。

ならば、蓋を外し、声に従ってしまった人はどうなるのか。それは、私にはわからない。狂気に走った獣以下の屑か、最も人間らしく生きた勝者か・・・。そのどちらと呼ぶべきなのかは。


ーーーーーーーーーー


その夜は、例年稀に見る豪雨が降っていた。空から零れ落ちた雫が地面を揺らし、所々で大地が悲鳴を上げる。河は荒れ狂い、人気の無い民家を一つ、また一つと飲み込んでいく。その内の一つの主である男は、その様相を見てまるで自然が嘆き悲しんでいるかのようだ、と独り言ちた。

刹那、辺り一帯に響き渡る程の轟音が、男の近くで鳴り響いた。雷が落ちた物と男が錯覚した直後、男からほんの数メートル離れた所にある大木に、閃光が直撃した。同時に、先程と同じ音が男の耳に突き刺さる。凄まじい音に身体は硬直したが、本能が辛うじて鼓膜を守ろうとして、両手に耳を塞がせた。

「な、なんだあ・・・?」

思わず呟いて、粉々になった大木に目をやった。攻撃の先にいただけと思われる哀れな生命は、既に完全に灰になっている。にも関わらず未だ炎は上がっており、この豪雨を以てしても暫く消化の目途が立たなそうだと、男は素人目に理解する。

閃光の正体は、魔法であった。それも、無防備な人間に直撃してしまえば、たちまち消し飛ばしてしまう程強力なものだ。このような魔法を放つ事の出来る人間は少ない。男にも多少魔法の心得があるが、これを無傷で防ぐ自信は微塵もなかった。しかしそれでも命の危機に陥った文句は言わねばと、男は魔法が飛んで来た方に視線を向けた。

数秒後、霧の向こうから黒が滲んだ。平均的な身長の男より少し高いくらいの人影だった。こちらに近付いているのか、朧だった輪郭が段々とはっきりしてくる。その正体が人である事に確信を持った男は、それに罵声を浴びせようと大口を開いた。

しかし、男とその陰との距離が互いの顔を視認できる程度に近付くと、男は口を開けたまま固まって動かなくなった。男に関心がなかったらしい影は、男の横を素通りし走り去っていく。男が正気を取り戻し振り返った時には、既に影は霧に紛れて見えなくなっていた。

その僅か数秒後、男の傍を馬に乗った数人の騎士が通り過ぎていった。蹄の音は雨音に搔き消されていた為、男は彼等を視界に捉えて初めて存在に気付いた。騎士達もまた男に接触する事はなく、棒立ちしている彼を他の障害物と同様に避け、影の去った方――即ち男の視線の先に駆けていった。

だが、男の方もまた騎士の存在は殆ど気に留めていなかった。今過ぎ去っていったばかりのあの影について、追われているという情報を追加したくらいだ。それ程までに、男の頭はあの影の存在に占められていた。

「あんな別嬪、実在するんだな・・・」

まるで夢でも見ていたかのように、男が呆けた様子で呟く。すれ違う直前に見えたボロ布の下のエメラルドに、男は一瞬で魅入られてしまっていた。

その珍しい色の瞳の持ち主は、20代半ば程の男より10は年下の青年だった。その青年は、視界全体を埋め尽くす量の雨の中でもはっきりわかる程、整った顔立ちをしていた。中性的かと問われればそうでもないが、男性的と言うにも少し幼い。

体つきもはっきり男とわかるものではあったが、漁師である男よりもずっと細身に見えた。頭から被っていたボロ布からは鎖骨と素足が露出しており、その肌は白く妙な艶めかしさがあった。髪は隠れていて殆ど見えなかったが、薄く緑がかった白髪のようだ。それもこの世界では珍しく、尚の事男の関心を惹いた。

一つ注意しておくが、彼に男色の趣味は無い。彼は五年以上も前に結婚した妻にぞっこんで、それは今この瞬間も変わっていなかった。にも関わらず見惚れ心を奪われてしまうまでに、青年が美しかったのだ。

しかし今となっては、全て霧の向こう。恐らくもう二度と会う事も無いだろうと言う予感が、男に完全に正気を取り戻させた。これは全て、雨の夜の夢だった。男はそう思う事にして、愛する妻の元へと足を動かした。


ーーーーーーーーーー


翌朝になると、あれ程猛威を振るっていた大雨は完全に過ぎ去っていた。寧ろ前日の嵐が嘘のような快晴で、所々に虹がかかっている。子供達は防水靴で水溜まりを分ではしゃぎ、花弁についた雫が朝日で輝いていた。

しかし、刻まれた傷はそう簡単には消えない。濁流に家や田原が流されたのは勿論、雨に降られた多くの山は土砂崩れを起こし、人々はその後片づけや修繕に追われていた。山と森に囲まれた辺境の地であるヘイトリッドでも、壊れた街を癒す為に皆忙しなく働いている。

この町に一年前から住んでいる魔導士の少女セラフィーナも、ギルドからの依頼で土砂の清掃に当たっていた。川や山が傍に無い森の中で暮らす彼女の家には雨漏り以外の被害は無く、片付けや修繕が朝の内に済んでいたのは不幸中の幸いだった。その代わりにこうして雑用を強要されたから、一概に喜びきれないというのが彼女の本音ではあるが。

「ま、給金は出るからいいか・・・」

「そーそー、人助けついでにお金が貰えるなら、それに越した事はないって!」

「ミスティ、勝手に心を読まないでくれる?」

「ごめんごめん!赦して頂戴な♡」

舌を出し小首を傾げ、甘ったるい声で謝罪する彼女からは、全く謝意が感じられない。顔なじみである彼女のその態度はセラにとっては見飽きた物で、呆れたように嘆息するだけで何も返さなかった。ミスティもまたセラの塩対応には慣れていた為か、突っ込む事も気にする事も無く作業を再開した。

ミスティは、セラよりも一年程前にヘイトリッドに移住していた冒険者だ。交友関係が狭いセラにとっては数少ない友人の一人でもある。フードを目深に被った彼女は見た目に違わず謎が多いが、盗賊という職業柄か気にされる事は少ない。セラは職業関係なく、他人の出自は基本気にしないが。

「にしても、昨日はホントに凄い雨だったね。アタシんち、雨が貫通しまくって屋根がダメになっちゃってサ」

「こっち手伝ってていいの?直してないんでしょ?」

「アタシ、建築は専門外なの。雨漏り程度じゃなきゃ自力じゃ修繕できないのよ。ま、大工はこっちの被害が酷い方を直すのが優先だろうし、アタシは暫く家には帰れないわね」

「泊まっていってもいいけど」

「んにゃ、やめとく。仮設住宅に一時的に住む人の世話するなら、お前も飯付きで泊めてやるってボス言ってくれたし」

「そう」

二人は雑談を交わしつつ、スコップで土砂を掘る。恐らく流される直前まで抵抗したであろう木の根が混在しているそれは、今回の雨の凄まじさを物語っていた。水をしっかり吸ったそれらは重く、普段肉体労働などしないセラの腕が悲鳴を上げた。

既に作業時間は一時間を過ぎていたが、土砂はまだまだ無くなる気配がない。壊れた家屋の解体や無事な荷物の捜索、修繕可能な設備の修理などなど、まだまだやる事は山積みだ。先の見えない作業に、屈強な冒険者達も精神的に疲弊し始めていた。

「おーい、セラ!」

そろそろ休憩を取った方がいいのでは、とセラが思い始めた頃、彼女に一人の男性が声をかけた。彼は、先程ミスティにボスと呼ばれた人であり、彼女達が属するギルドのギルドマスター、ロジャーであった。彼もまた、ミスティと同じくセラと親しい人物である。

どうしたのと返そうとして、セラは駆け寄ってくる彼が手に持っている物を見て顔を顰めた。水が8リットル程度入りそうな、まあまあ大きなバケツが二つ。そこからこれから言われるであろう事を予想して、露骨に嫌そうにしているのだ。

「なあセラ、悪いんだけど」

「嫌よ」

「休憩早くしてやるから」

「結構よ。他の力が強い人にでも」

「時給上乗せしてやるから!」

「・・・仕方ないわね」

最初は話を聞く前から突っぱねていたセラだったが、彼女の扱いを心得ているロジャーが給金の話を持ち出すと、渋々といった様子ではあるが引き受けた。空っぽのバケツを二つとも受け取り、近くの河まで歩き出す。

「魔法で水出しゃいいのにな」

すると、後ろから彼女に聞こえるような大きな声で、誰かが陰口を飛ばした。セラは意に介するどころか聞いていないようで、構わず進んでいく。その態度が気に食わないのか、その人物や周囲の者は更に毒を吐いた。

「普段学者気取ってお高くとまってる癖に、肝心な時は役に立たねえんだもんなあ」

「魔導士の癖に魔法嫌いとか、存在価値あるのかね」

「嘘ついてんじゃねえの?実際は魔法ド下手だけど、見え張りたいから魔導士って名乗ってる、とかさ!」

ゲラゲラと下品な笑い声をあげる彼等を見て、ロジャーは眉を顰めた。しかし、一組織のトップである彼は誰かを露骨に贔屓する事は出来ない。もしそうしてしまえば、不利になるのはセラなのだとわかっているからだ。だからこそ、彼には言われっぱなしにさせておく事しか出来ない。

だが、一介の冒険者に過ぎないミスティはその限りではない。私的には友人であるロジャーの思考はミスティにはお見通しだ。合図を交わすように、二人の視線が一瞬だけかち合う。次の瞬間には、粘着質の泥が彼等の足元に飛んでいた。

「グダグダ喋ってないで、さっさと作業してくれない?帰れなくて困るのはアンタらも同じでしょ?」

ミスティのトパーズ色の瞳が、間抜けにも足に泥を食らった彼等を蔑むように見る。一瞬彼女に文句を言おうとした彼等だったが、正論を食らった事で黙りこくった。道を塞がれ、家を潰されて困っているのは彼等も同じ。程無くして、皆作業を再開した。

「全く。セラも大変よねー、いっつもあんな暇人に絡まれちゃってサ」

優秀な魔導士であるセラの実力を以てすれば、この土砂を綺麗に掃除する事など容易い。だが、セラはとある理由から魔法を極力使わないようにしていた。こうやって陰口を叩かれても、セラはその姿勢を一切変えない。それ故に彼女の敵は多いが、彼女と親しい者達は事情を知らなくても魔法を使う事を決して強要しなかった。

所変わって、セラは目的の河に辿り着き、水を汲んでいた。大雨から一晩経った河はまだ増水気味の濁流だったが、非力でもセラは冒険者の一員。簡単には持って行かれない程度には鍛えているので、難なく水を確保できた。

「こんな濁った水、何に使うのかしら・・・」

そういえば用途を聞いていなかった事を思い出しながら、セラは両手にバケツを持って立ち上がった。町に戻る為、河に背を向ける。

しかし次の瞬間、セラは唐突に背筋を駆けのぼった悪寒に身を震わせ、反射的に振り返った。折角水を汲んだバケツはその拍子に手を離れ、転げ落ちて中身が地面にぶちまけられる。だが、セラにはそんな事に構っている余裕は無かった。

(何、これ・・・?とてつもなく、強い・・・!)

彼女が感じたのは、自分の体内に流れるのと同じ力の波動――魔力であった。魔導士を名乗るだけあって常人よりも魔力が多い彼女であるが、たった今感じたそれは概算してもその更に千倍は多い。少なくとも今まで感じた事が無い程の魔力だ。そんな強力な魔力の塊が、河を流れてきている。

セラには力を感知する能力こそあれど、その正邪を判断する事までは出来ない。それに対しても特に邪悪なものと思った訳ではなかったが、単純なその強さに本能が危険を訴えていた。あれに近付いてはならない、と警鐘が鳴り響く。

だが、彼女の判断は違った。魔力があるという事はつまり、その持ち主である生物がこの濁流を流れているという事だ。魔物ならば危険の排除と素材の獲得の為に殺すし、人ならば助けなくてはならない。どちらだとしても、魔力の持ち主を探す必要がある。故に彼女は、濁った河の隅から隅まで見渡し、魔力の根源を探った。

そしてそれは直ぐに見つかった。濁流の中を流れる大木に、人が乗っていたのだ。遠目からも意識がないのが分かるその人物は、既に下半身が全部水に浸かっており、大木から滑り落ちかけていた。それを見た瞬間、セラは一切躊躇せず河に飛び込んだ。

大人の腰ほどの深さの河をセラが歩く途中、大木からその人の身体が落ち、派手に水しぶきが上がった。セラは濁流に縺れそうになる足を急がせ、流される前に脇に手を入れ、上半身を持ち上げる。そしてすぐさま身体を引きずりながら、来た方向へと戻った。

「はあ、はあっ・・・!気絶してる人って重いって聞くけど、水のせいか余計重かったわ・・・」

息を切らしながらも、セラは直ぐに容態確認を行った。どうやら自分とそう年の変わらない男性のようで、心音や呼吸は多少弱いものの、命に別状はない程度だった。どちらかと言えば怪我の方が深刻で、両腕と右足には高温の何かで焼き切られたような痕がある。出血もそれなりにしているようだ。

「これ、多分魔法で出来た傷よね・・・。一体どうしてこんなのが・・・」

そう呟きながら、セラは青年が被っていた布に手をかけ、外した。頭に傷を負っていないか確認する為の行為だったが、布の下の顔を見たその瞬間、彼女は硬直し、かと思えば碌に傷も見ないまま再度フードを被せた。たった今見てしまった信じ難い物に、普段冷静な筈の彼女は狼狽えていた。

(まさか、嘘でしょ・・・!?)

セラは辺りを見回し、ついでに魔力探知も発動して、周囲に人がいない事を念入りに確認した。そして、動揺した頭で数秒かけて自分の家が河から近い事を思い出し、再び下半身を引きずりながら青年を運び始めた。その道中も、彼女は誰にも見つからない用細心の注意を払い続けていた。


ーーーーーーーーーー


それから三日、セラは復興作業を手伝いながら、青年の看病に努めた。町はまだまだボロボロのままだが、元より災害が多い町だったのでその分立ち直りも早く、大工の殆どは既に新しい家の建築に取り掛かっている。

その一方で、青年の傷は中々癒える様子がない。自己回復能力をほぼ魔力に依存しているこの世界では、彼程の魔力があれば傷はすぐに癒える筈なのだが、何故か彼の傷は血が止まった程度で中々塞がらなかった。

セラは様々な魔法を使いこなす天才魔導士だ。勿論回復もできる。だが、回復魔法は本人の自己回復能力依存の術。機能自体が損なわれている状態で使えば、返って命の危険を招いてしまう。故に、薬品で処置をして回復を待つ以外に出来る事は無かった。

それでも、時間と共に傷は癒えてくるものだ。初日では低体温と貧血とで青かった青年の顔にも、最近は赤が戻ってきていた。これはもうじき目を覚ますだろうかと、セラは包帯を取りに席を外そうとした。

「・・・う」

静かな家に、小さく掠れた声が響く。セラはその微かな音に反応し、ベッドの方を振り向いた。

痛みの波が来たのだろう。青年は脂汗をかいて僅かに歯ぎしりし、眉を顰めて苦し気に息をついた。十数秒程痛みに悶えて、漸くそれが過ぎ去った時、青年はゆらりと目を開けた。

宝石が埋め込まれているかのようだと、セラは何よりも真っ先に思った。青年の瞳で輝く美しいエメラルドグリーンに、数枚の板が雑に打ち付けられている天井が映り込む。青年はまだ意識がはっきりしていないようだったが、誰かの家に居る事だけは把握したらしく、何かを探すように視線を揺らめかせた。

数秒して、エメラルドの表面にセラの姿が映る。青年は数度瞳を瞬かせて、直後に身体を起こそうとした。どうやら急激に意識が覚醒したようだが、満身創痍の身体は彼の意思について行かず、結局またベッドに身体を沈める事となった。

「無理に動かない方がいいわよ」

そう忠告したセラを、青年は疑心と感謝とが混じった複雑そうな目で見ていた。自分の恩人だというのはわかっているようだが、それでも警戒を解くつもりは無いようで、さっきからずっと無言を貫いている。

話しかけた所で、返事は返って来ないだろう。それは聡明なセラにはわかりきっていた事ではあったが、その上でセラは口を開いた。それ程までに、セラはこの青年に興味を惹かれていたのだ。彼女の「ありえない」を体現したような、この青年に。

「私はセラ。セラフィーナ・ベッセル。貴方の名前は?」






空白の(Empty)( vessel)

おまけスキットその1 「ミスティ・ネイル①」


セラ「でも残念ねミスティ」

ミスティ「何が?」

セラ「仮設住宅に泊まるって事は、連れ込めないじゃない。『カワイコチャン』」

ミスティ「ちょっとぉ!!アタシが女の子を誰彼構わず連れ帰ってるみたいじゃない!!」

セラ「事実でしょ?」

ミスティ「ノンノンノン!あの子達とは健全なお付き合いをしてるの!セラともよくお泊りするじゃん?それと同じよ同じ!」

セラ「何が同じよ。確かに手は出してないでしょうけど、下心はあるじゃない」

ミスティ「う、うぐぐ。で、でも、誰でもいいって訳じゃないもん!」

セラ「好みの人間は片っ端から声かけてる癖に、何言ってるんだか。そんな虱潰しに色んな女の子に声かけて、運命の人とやらに軽蔑されでもしたら本末転倒じゃない」

ミスティ「もーっ、セラってば硬派なんだから!確かにアタシは軽い女みたいに見えるだろうけどさ、やっぱ自分で探しに行かないと、運命って言うのはやって来ないのよ!」

セラ「それは一理あるけども・・・」

ミスティ「あと心配は要らないよ!仮設住宅は皆で一緒に暮らす感じになるけど、女の子とお茶するくらいはできるんだから!」

セラ「・・・そう」

セラ(その癖、連れて来た女の子には本心で話さないし、絶対に手は出さない。あくまでも友達で居続ける・・・。貴方を好きになる人はそれなりにいるでしょうに、同性が好きってだけでこうもうまくいかないなんて、悲しいわね)

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