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少女と白の心  作者: 連星れん
前編
46/198

黒い手


 頭を撫でていた感触がなくなり、少女は顔を上げた。

 黒い影は変わらずそこにいて、少女を見下ろしている。

 撫でてくれていたのはやはりこれなのかと、少女は不思議に思う。

 どうしてこんなことをしてくれるのかと。

 黒い霧と同じではないのかと。

 少女はじっと黒い影を見上げる。

 その瞳にはもう、不気味なものを見るような色はない。

 そんな少女に黒い影はゆっくりと手を差し伸べた。

 真っ黒な黒い手を。

 少女は首を振る。

 たとえこれが黒い霧と同じものではなくても、その手を取ることは出来ない。

 手を取ってしまえば、きっとここから連れ出されてしまう。

 それは嫌だった。

 ここからは出たくない。出られない。

 だって回りには黒い霧がいる。

 少女を逃がさないようにと、回りを囲っている。

 少女に入り込み黒く染め上げようとするかのように、黒いざわめきを放っている。

 だけど動かなければ、それ以上のことはしてこない。

 ここにいれば安全だ。

 痛みにさえ耐えれば、安全なのだ。

 だからここから出るつもりはない。

 ずっとずっとここにいると、少女はそう決めたのだった。



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