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9. 秘密結社「真・八咫烏」の怪人

第9話

 秘密結社「真・八咫烏」の怪人


 “秘密結社の怪人”と闘うだなんて、私には、無理だよ。


「うぅ、怖い、怖い、怖い、怖いよ!」


 だって、敵は“秘密結社”だなんて! ライダーとか、戦隊ヒーローの世界じゃないの?

 私は、そんなに強さなんて、求めてないし。


「茜! まずは、古都近郊の秘密結社を叩かないといけないね」

「白狐、簡単に言ってくれるッ」


「相手は強いの?」

「茜よりは、かなりね」


 私は、ムッとしてしまった。

 そりゃ、人一倍、どんくさいですけどね。魔女になるのに2年も無駄にしましたよ。

 でも、もうちょっと、良い言い方はなかったのさ?


「いや、すまないけど、本当に『真・八咫烏』は強いのさ。

 しかも数が多い。安倍晴明みたいに鬼を召喚して、味方を増やすぐらいのことをしないとね」

「はい、無理です。そんなこと!?」


「相手は、大きい。個体によっては、2メートル以上はあるかもしれないよ」


 それを聞くと、私はパニックになり、

「もう、嫌あぁぁぁ」と、走り出してしまったのです。


 すると、

“ドォーーーン”と、何か大きく、冷たい壁の様な物にぶつかったッ、のです!?


「ふへぇ」と言うと、私は、スッ転んでしまいました。


 パタン!


 私は、転んだ位置から見上げると、なんと、濃い紺色の鋼鉄のボディのヒトガタが立っていたのです。


「はあ? あのぉ、すみません」

「……」

 相手は無言のままです。


「いや、慌ててまして、その申し訳ございません」と、私が言うも、この鉄人のような男は返事もしない、無愛想者でした。


 すると!?

「キキィィィィーーー、ヤッ」と、この鉄人は叫んだのです。


「うえぇぇ。なに? 何なの、あなたは?」

「茜! どいて」と、白狐からの念話が聞えた時、白狐が鉄人に体当たりを、"バチコーン”とくらわしていました。


「うわうわわわ」と、訳の分からない言葉を発した私は、四つん這いになり、逃げようとしていたのですが、上手く手足が動かないことに……

 うっ、情けない……


「茜、こいつが秘密結社の『真・八咫烏』の怪人兵士だ」

「そんな、私、相手なんて出来ないよ。武器も無いし」


 すると、白狐は、一段と大きな念話で、

「武器ならあるッ」と叫んだのです。


 武器?

 どこにあるの?

「箒を手に持って、茜!」

「ほうき?」

「いいから、早く」


 言われるがままに、右手に藁箒を手にした時に、白狐からは、

「今日まで集めた魔力を掌に集めて、箒に渡すイメージで」


 すると!

 藁の箒が!

 鋼鉄に変わることもなかった……


「ダメじゃない!」

「ダメなものか。それで突いてみて」

「えいッ」


“ボコッ”


「えぇ」

 箒の柄で鉄人の腹を付くと、腹には穴が開いて、中から、ニュルっとしたものが、垂れ流れてきたのです。


 なんか汚いわね!

 ちゃんと、野菜も食べなさいよ!

 脂肪で油ギッシュだわ。


 続いて、箒の藁側を振り回したら、火炎魔法が使えたのです。


「えっ、これは、スゴイわ」


 しかし、相手は鋼鉄のボディーというか、鎧と言うか、金属でできているので、『火炎は通じないのではないのかなぁ』と思ったのですが、とりあえず、茜は、帚で払ってみることにしたのです。


「でぇやぁッ」と、へっぴり腰ながら、箒を振り回してみたところ!


 怪人兵士の頭が吹っ飛んで行き、怪人は膝間付き倒れました。


 ガック!


「すごいわ! 白狐。すごい」


 どうやら、箒は、複数の魔法が使えるようになっており、先ほどの火炎魔法の他、箒ということで、単純に掃くという機能があるようです。


 つまり、怪人の頭は、履き飛ばしたということなのでしょうね。


 やはり、取れた首からも、ニュルニュルは溢れてます。

「ゲホン、ゲホン。何とかなったわ。しかし、スゴイ破壊力じゃない。この箒って」


「茜! おめでとう」

「白狐!」

「これで、戦闘魔女デビューだよ」


「いや、戦闘魔女って、そんなの希望してないよ」

「でも、君には、街を守ってもらわないといけない。

 とにかく、この街は歴史が長いので、いろんな悪が潜んでいるんだ。そこから市民を守ってもらうよ」


「いや、市民を守るのなら、地下鉄東西線反対!」

「そういう政治的な話は、置いておいて」

「市民としては大事よ、赤字なんだから」


 かくして、古都を守る戦闘魔女の笠 茜は、この日に、本格的に"魔女デビュー”したのでした!


 次回は、先輩をお手本に、他の魔法使いに協力します。


第一章 古都防衛戦線 終


 次回のアカネちゃんは、福知山戦線に参戦しますが……

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