8.白狐来る
第8話
白狐来る
さて、今日も19時からはパトロールです。
部屋で魔法使いの姿に着替えて、二本の藁箒を持ち、マンションの屋上へ行くことにします。
二本の藁箒のうち一本は背中に担げるように、たすき掛け出来るようにしたのでした。
さあ、屋上からは、箒でフライトだ!
「魔力、魔力! マナの多いところを探さないと」
この10日、私はパトロールをしているのに、差ほど魔力も増えず、マナの集まる所も見つからなかったのです。
「やはり、比叡山の裏に行くしかないようね」と、私は空中で呟きます。
それと、気になっていたんだけど、パトロールって、私の敵は誰よ?
妖怪なの?
魔物なの?
悪の魔法使いとか、悪の秘密結社とか?
マッドサイエンティストが世界征服をなんて!
すると、念話の声がしました!
「茜の敵は、怪人だよ」
この声は白狐だわ。
「怪人???」
怪人といえば、怪人二十面相?
「別に探偵をする訳ではないですよ」
うっ……念話だから、考えた事が聞こえていたようね。
「蜘蛛男とか、蜂女とか、バズーカー亀田とか、そんな感じなの?」
「うーん、ちょっと違うかな」
しかし、怪人とは?
「特殊な力を持った相手ですよ。ネバネバを飛ばしたり」
「えええ」
「ネバネバ攻撃で、もうグチョグチョにされたりと!」
あぁ、グチョグチョのネバネバになるために、魔法使いになったの……
しばらく飛行していると、念話の主が現れたのです。
やはり、白狐だわ!
何故か、空中に浮いています。
「今日は、お一人なの?」と、私が聞いてみると、白狐が頷いたような気がしました。
その白狐は、『付いて来い』とでも言うように、私の前を走り出します。
なんだか、空中を走っている感じよね。
そして、着いたのは、糺ノ森です。
「ここは、街の近くとしては、マナが多いので、マナを補充しておいてよ」
「わかったわ」
しかしなぁ、怪人と闘うのか……
私は、ライダーじゃないって!
そう思うと、何だか憂鬱になってきた茜です。
怪人は空を飛ぶのだろうか?
飛んでいれば安心なのかな?
次の日は、白狐と上賀茂神社に行くことにしました。
社内を清水が流れていて、なんとも、心地よい!
ぐんぐん、魔力が溜まっていくような気がするわ。
しばらくすると、遠くに人影が見えたのです。
その時、まったりと坐っていた白狐が、立ち上がり、警戒しました。
「どうしたの?」
「敵、敵がいる」
「て、敵って、私、戦い方なんてわからないよ」
「ジッとしてて!」
そう言われ、息を呑むと、心臓がバクバクするでは……
闘うどころか、まだ、魔力すら集まってないのに、どうするのよ。
どのぐらいの時間が経過したでしょうか?
白狐が警戒を解いたのです。
「敵の魔力を感知しなくなりましたよ」
「ふぅ、ところで敵って?」
ああ、嫌だ。
蛇の怪人とかに、グルグル巻にされたくない。しかも、ヌルヌルだよ。
――怪人 コブラ男?
「ええ、今のは秘密結社『真・八咫烏』の連中かと?」
なんじゃそりゃ。
やはり、悪の秘密結社って、いるんだ!
「それは、『変身ッ、トォゥ』系統のお方に、お願いした方が良いのでは?」と、私は言うも、白狐は何も言わなかったのでした……
どうしたんだろうか?
次回のアカネちゃんは、ついに、秘密結社『真・八咫烏』とのバトルになります。
私は、怖いのは嫌だぁ~~~~