5.白狐急便が来ましたよ!?
第5話
白狐急便が来ましたよ!?
何度も、変身の合言葉を唱えても、なぁんも変わりませんでした。
ですので、その日は諦めることにしました。
次の日の土曜日は、失意の余り動くことも出来ません。
「私は、3年待ったのだぁ!」
そう、核弾頭を奪われたウラキのように!
魔力切れでも、時間切れでも無く、投稿までしたのに!
やはり、夢落ちだったのでしょうか?
そして、次の日曜日!
ゴロンと寝ていたら、玄関のベルが鳴りました。
“ピンポーン”
えっ! 宅配?
「はい」
“ピンポーン”
なんや! と、慌てて玄関に出ると、白い狐が二匹!
しかも、念話で話しかけて来たのです!
「メアリー様からのお届け物です」と、ダンボールを手にしています。
「あ、ありがとう」と言うと、受取ったダンボールを開けることにしました。
すると!
中には、帽子、エプロン、紺色の魔女ワンピース、白のブラウス、コインシューズに靴下、さらにドロワーズが入っています。
「変身じゃないんだ。着るんだ。着替えなんだ」と言うと、私は、笑いながら嬉し涙を流していました。
早速、着替えると、我ながら、カワイイ魔法使いではないですか!
エッヘン!?
『いや、しかし、八卦炉が無いので、必殺技のマスパが使えんのう』
そうだ!
狐が、「箒は後日になる」とか言っていたよな。
うーん、まだ飛べん!?
(泣)
しかし、あまりの嬉しさに、しばらくは魔法使いスタイルのまま、過ごすことにした茜でした。
***
翌日のこと!
“ピンポーン”
「はい!」
今日も白い狐が、やって来たのです!
そう言えば、『白狐急便』と、昨日のダンボールには書いてありましたね。
さて、狐が念話で、話しかけて来ましたよ。
「今日は、藁箒を二本持ってきたよ」
「それは、ありがとう。でも、何故、二本なの」
「一本は無料サービスと書いてあるよ」
ダハッ!
「読んでなかったわ、また、魔力の無駄遣いだよ」
茜には、狐が無表情でも、ニヤリと笑った気がしたのでした。
「無駄かどうかは、魔女の使い方次第だと思うよ」
「うん?」
茜が、受け取りのサインをすると、白狐は霧散して消えました。
『この箒、空を飛ぶ以外に特別な使い方でも、あるのだろうか?』
さらに、この日の夜は、夢通信で大魔女さまから連絡がありました。
「茜や!」
「はい、大魔女さま」
「着替えは届いたようだな」
「変身でなく、着替えなのですか?」
「魔力レベルが上がれば、変身できる。今は魔力を抑え、貯めるのだ」
「なるほど、そういうことだったのですね」
これも、魔力消費を抑える手なんだ。
「てっきり、すぐに変身出来るものと思っていました」
「郵送って、言っただろう。発着に時間がかかるのだ」
な、なるほど!?
「さて、茜には、魔力を貯めるため、マナの多いところに行ってもらう。部屋にいても魔力は貯まらんからな」
「ええ、部屋に居たら、消費するだけなのですかッ」
「うむ、ここからなら、比叡山の裏へ行け。
琵琶湖の湖底でも良いが、水中へ潜ると魔力を消費するので、山だろう。
あと、普段から、近くでも良いので、外で魔力を貯めるように。
そうすれば、マナの集まるところが分かるようになる」
「はい、分かりました。
あと、箒が二本来たのですが、一本で良かったのかなと……はい」
「ほう、箒を追加で買ったのか。
それは、面白い。
昔、二本の箒を上手く使った空中戦の達人がいたよ」
な、なんと、そんな魔法使いがいたのか!
「いつも二本携帯して、使えるようにしておけ」と言うと、大魔女メアリーさまは、夢の中に消えていったのでした。
取り敢えず、本日から、パトロールを開始することにした茜でした。
てやぁ!
次回のアカネちゃんは、初の魔法使いのお仕事をします。
城南宮へGO!