7話 巨龍討伐
前回短めだったので、お詫びの意味も込めて今回は長めです!
英霊祭目玉のパレードが終わり、俺とファイはどこか夕飯を食べられるところを探してリネールの町を歩いていた。
「銅貨五枚じゃどこも二人分食わせてなんかくれないよな〜」
「うん…… 少なくともお腹いっぱいって訳にはいかないだろうね」
「でもせっかく来たんだし、うちには帰らないでここで食いたいな」
さすがに大きな町なだけあって、広場から少し行った広い通りには沢山店や屋台が軒を連ねていた。
だが、今見て回った限りでは二人で食べられるのはせいぜい焼き串数本ずつくらい。とてもじゃないが十分な量とは言い難い。
半ば諦めながらも惰性で歩き続けていると、自然と話題はついさっき見たパレードへと移った。
「龍と戦ってたとき、ヘラクレスを庇ってやられた人いたよね。 あれは感動したな〜」
「ああ。後は任せたって感じで最後に一発爪を砕いてたのもカッコよかったよな」
ちなみに今回、登場人物は龍も含め一言も発さず、体の動きだけで全てを伝えていた。でもだからこそ、色々こっちで考え、解釈してみるのは楽しかった。
「ラストシーンのヘラクレスも、これぞ英雄って感じだったし。 役者の人もすごいよな」
会話が弾み、さっきまで目の前で繰り広げられていた戦いが鮮明に頭の中で再現される。
まず巨龍と対峙したヘラクレスの仲間たちは、敵を取り囲むように移動、布陣した。
そのまま僅かな睨み合いをしたのち、ちょうどヘラクレスと巨龍を結ぶ直線の先にいた重装備の男が疾走。そこからヘラクレス達の猛攻が始まり、早くも巨龍はここで仕留められるのではないかとも思われた。
だがやはりそうはいかず、今まで黙って攻撃を受けるばかりだった巨龍の方も反撃を開始する。するとあっという間にヘラクレス達の攻勢は瓦解、それどころか次々と仲間達がその巨大な爪牙の餌食となっていった。
仲間が一人、また一人と倒れていく中、ヘラクレスはこの状況を打破するために予備動作の大きい渾身の大技を放とうとする。
しかし巨龍の方も危険を察知したのか標的をタメの動作中のヘラクレスに絞り、それを阻止しようとする。これに阻まれ中々十分なタメを行えなず技を放てなかったヘラクレスだが、巨龍が尾を振り上げた瞬間に隙を感じ取り、勝負を決めにいった。
だが、これが良くなかった。
なんと巨龍は、尾を振り上げた不安定な状態のままで爪を振るい、ヘラクレスの命を刈り取らんと迫ったのだ。
今まで巨龍の攻撃の度に予備動作を中止し回避を優先していたヘラクレスだったが、なまじタメが完成しかけていたために中断することが出来ず、絶体絶命の危機に陥ってしまう。
ここでヘラクレスを助けに入ったのがさっきファイの言っていた仲間の剣士だ。
彼の装備は長剣一本で、とても味方を庇う立ち回りができるものではない。だが、彼は自らの命を犠牲に無理矢理それを行なった。さらに彼は巨龍の爪にその腹を抉られつつもなお、渾身の一撃を自身の肉体もろとも叩きつけることで敵の主要な攻撃手段である爪を破壊せしめた。
当初狙っていた標的への攻撃を防がれ、自慢の爪も打ち砕かれた巨龍は、苛立ちに身を震わせ剣士の亡骸を放り捨てた。
と、そこへ味方の献身によって値千金の猶予を得たヘラクレスの会心の一撃が放たれる。
巨龍はその一撃を避けることが出来ず、まともにくらったダメージによって遂にその巨体を地に沈められた。
こうして多大な犠牲を払いながらもヘラクレスが辛勝し、なんとかこのリネールの存続が叶いましたとさ。めでたしめでたし。
以上が今回のパレードのクライマックス、対巨龍戦の概略だ。この他にもヘラクレスの仲間達それぞれに見せ場のようなものがあり、その度広場は大きく湧いた。
このようにパレードの内容自体は本当に楽しくて良かったのだが、問題はやはり夕飯だ。
既に時折情けない音を立てる胃袋が迫り来るタイムリミットを伝えてきており、早く解決しなければこのまま道のど真ん中で倒れるかもしれない。
とはいうものの良い打開策は全然見つからず二人で考えあぐねていると、俺の数歩先を歩いていた男の人が誰かにぶつかっていた。
どうやら向こうは少年らしい。年は俺たちより少し上、くらいだろうか。
それくらいのことを考えた後はもう少年に興味はなくなり、再び今夜どうするかについて考え始めた。
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