3話 英霊祭
初めてご感想をいただきました。
自分の作品を読んで下さって、評価までして下さる方がいて本当に嬉しかったです。
まだまだこれからですが精一杯頑張らせていただきますので皆さんどうぞこれからもよろしくお願いします。
俺たちが町に着くと、すでに道の傍の街灯に今日の祭りのことが書かれており、心なしかみんな浮き足立っているような気もした。
「リネール町 英霊祭、か」
そういえば、ずっとこの町の名前は意識してこなかったがリネールというらしい。だからどうというわけでもないのだが。
それより気になるのが『英霊祭』だ。
近所の町で行われている祭りなのだから知っていてもいいはずだが、村とリネールをつなぐ街道ができたのは割と最近で、それまでこっちに来ていなかったから祭りの存在自体知らなかった。
「どんなの何だろうね、英霊祭って」
「母さんなら知ってるかもな。 帰ったら聞いてみるか」
「お祭りにはいかないの?」
「いや、買ったものだけ家に置いていってから行こうぜ。何も言わずに帰り遅くなるのもよくないし」
「意外と偉いね、オルター」
ファイにクスクス笑われるが、それは心外だ。そんなに俺が常識のない人間に見えるのだろうか。
「まあいいや。さっさと済ませて一旦帰ろうぜ」
「うん」
そう答えるファイの表情は、未だに少し笑っているように見える。笑いすぎじゃないか、こいつ。
♦︎
「「ただいま〜」」
「おかえり。頼んでたもの、買ってきてくれた?」
「うん、バッチリだよ」
「それより母さん、今日の夜町で英霊祭って祭をやるらしいんだけど、知ってる?」
「そうねぇ。 100年前の英雄を称える為にやってるらしいけど、誰なのかはわからないわ」
「へぇ、英雄か。気になるな」
「行ってくるの?」
「うん、そのつもりだよ」
「じゃあお金あげるから、晩ご飯は向こうで食べてきなさい。 きっと美味しいものたくさんあるわよ」
「ありがとう!」
町でご飯食べられるのか。母さんの料理が不満なわけではないが、経験がないことなので楽しみだ。
祭りを見にいくだけで特に支度は必要ないので、
俺たちはすぐに家を出て町に向かった。
♦︎
「うわぁ、すごい人だね」
「ああ、こんなに人が沢山いるのを見るのは初めてだな。 普段から多いけど、今日の比じゃないな」
周辺の村人である俺も知らなかった祭りだし、大して知名度もないと思っていたが、この人だかりを見るにリネールの町以外からもかなりの人が来ているのだろう。
「あ、向こうで何か始まるみたいだよ」
ファイに言われて視線を人混みのむこうへ向けると、木でできた鎧を纏った男たちが隊列を組んで練り歩いているのが見えた。
どこからか笛の音も鳴り始め、リネール町英霊祭がここに始まった。
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