始まりの合図-3
前書きを書く必要がないことに気付いたので書くのやめますありがとうござまいした何が?
とりあえず一歩成長して、朝方に投稿されるようにしとみるよ
魔術師協会の支社は数えるほどしかないが、それとは別で仮拠点のようなものが一つの街に一つほど存在している。
見た目は普通の民家で普段は人の出入りは殆ど無いが、今回のような非常事態に備えて様々な道具が置いてあり、情報共有などもする。
今はここが本部であり、指令室だ。
私たちは現状を尋ねた。
今暴れているのは狼型の魔獣と熊型の魔獣だそうだ。
弱点は狼は額の、熊は胸のクリスタルのようなもので、それは恐らく魔核なのだがとても脆いらしい。
ただ、他の場所はとても頑丈で、高火力で叩かないとダメージが入らないと。
基本的に弱点と言える箇所が簡単に見えるところに出ている生物はいない。
そんなものが剥き出しならすぐに死んでしまう。
魔核など、特にそうだ。
だが今回の魔獣は、弱点が、それもとても脆いものが、まるで倒してくれと言っているかのように剥き出しだ。
これは、人為的なものと考えていいだろう。
つまり、この事件に犯人が存在しているということだ。
私は、この魔獣は倒されるためだけに存在しているわけではないと思う。
倒させるためなら、全身を脆いものにすればいい話だ。
そうではないということは、街に被害を与えつつも、しかし魔獣は全滅させる、という考えか。
これから考えられることは、魔術師協会への宣戦布告、だろうか。
わざわざ強力な魔獣に嫌がらせのように弱点を付けている。
それか、何かしらのデータを採っているか。
あとは何かの陽動作戦だが、それは本部の人間たちにどうにかしてもらいたい。
ただいずれにせよ、犯人たちがどこかで街の様子を窺っていることは間違いないと思う。
それなら私がやることは一つ。
「みんな、私は騒動の首謀者を見つけ出す。魔獣の方は頼む」
「勿論だよ。ボクらのお出かけの邪魔をしたんだ、そいつに分からせてやっちゃって」
「未咲さん、犯人を捕まえて街を守ってくたさい、お願いします」
「あぁ、分かっている。二人とも、無茶はするなよ」
「分かってるよ。任せろって」
3人には街を任せて、私は拠点を出る。
この街は、奈美ちゃんが住んでいる街だ。
そして私たち姉弟も、以前はここに住んでいた。
だから大体の地理は分かる。
あまりいい思い出はないが、奈美ちゃんのためにもはやく終わらせて街を守らなければ。
私の推測に過ぎないが、犯人たちはこの街全体を見渡せる位置にいるのではないかと思う。
他の街には殆ど被害が出てないらしい。
それなら、狙いをこの街に絞っているのだと推測できる。
首謀者がこの街を眺めているなら、この街で最も高い場所にいるだろう。
この街でもっとも高いビルの屋上。
もし居なくとも、その高さから見渡せばすぐに見つけられるはず。
犯人など存在せず、ただの魔獣災害なら時間の無駄になってしまうが、居るのに見過ごすよりはまだいい。
それにしても、酷い。
駅から拠点まででも何度か見たが、様々なところに血が飛んでいたり、溜まっていたりする。
被害はかなり大きそうだ。
「ガウッ」
「おっと」
走っている私に、横の道から狼が襲ってきた。
狼の額には、確かに光る何かが埋まっている。
私は魔眼でそいつを見る
確かに、それは魔核のようだ。
狼の全身へ、そこから魔力が流れているのが見れる。
個体によって魔力の質などは変わるが、何者かに創られた魔獣なら作成者とほぼ同じ魔力が流れている。
だからこの狼などの魔力を覚えれば、首謀者も見つけやすくなるのだ。
私は腰に挿した刀を抜き、構える。
刀身が輝き、日の光を反射する。
一閃
狼の首が少し切れる。
一体しかいないので、どれほど頑丈か試すために魔核以外を斬りつけたのだが、これほど固いのか。
素直に魔核を狙った方がいいな。
「グルルッ」
首を斬り付けられたことに気が付いた狼は、怒りを露わに噛みついてくる。
だがそれをかわし、刀の柄で魔核を殴る。
それは簡単にパキッと言った。
まさか、これほど簡単に割れるとは思わなかった。
これなら、手刀を打ち込んでも倒せそうだ。
核を壊された魔獣は、溶けるように消えていく。
死体が残らないのはいいことだ。
細菌による二次被害の対策のために死体を処理する作業が消える。
再びビルを目指して走る。
道を走っていてはまた魔獣に襲われて時間が掛かるかもしれないので、ここからは屋根伝いに向かう。
視点が高くなると街をそこそこ見渡せるようになるな。
「――」
遠くの方で声が聞こえる。
そちらを見ると、今にも狼に食われそうになっている人がいる。
私は腰にあるもう一つの武器、魔法銃を抜き構える。
魔法銃は、モデルガンのようなものに魔法陣を書き込んでいる。
魔力を込めて引き金を引くことで、内部に弾丸が生成され、発射される。
火薬を使っているわけではないため破裂音はせず、弾を詰め直す必要も無いから様々なところで使えるため、重宝している。
威力は普通のハンドガンくらいで、魔力を込める量で変わる。
眼前の獲物しか見えてない狼の額を撃ち抜く。
まだ逃げきれてない人がなかなか多い。
魔獣に対して魔術師の人数がまだ少ない。
早く増援に来てほしいところだ。
それからも視界に入る度に魔核を撃ち抜く。
警察官も数人一組で対抗しているようだが、数匹の群れが相手では辛いようだ。
無事殲滅してくれることを願いつつ何匹か狙撃する。
「おっと」
直後、前方の家に熊が登ってきた。
すぐに魔眼で視る。
こいつは胸に魔核があると言っていた。
確かにあるが…四つん這いか。
狙いづらいな。
そう思ったところで何か違和感を覚えたが、始末するのを先にする。
狙いづらいならこちらが下に降りればいい。
熊に背を向け屋根から飛び降りる。
背を向ける隙を見せたのは、普通の熊なら背を向ければすぐに襲いかかってくるから、同じ習性があることを願ってのことだ。
目論見通り、熊は私を追って屋根を飛び降りてきた。
だが私は下には居ない。
この屋根に飛び移る前に見た窓枠にぶら下がっているのだ。
熊は私に気付くも、完全に宙に浮いているため殆ど動くことが出来ない。
熊は魔核を撃ち抜かれ、落ちていく。
私は屋根に戻る。
あの熊の足跡が屋根瓦にしっかり残っている。
その踏み込みが出来る脚力で、屋根まで登ってくる瞬発力があるのは強力で厄介だな。
再び熊に見つからないように目的地を目指す。
もうすぐそのビルというところで、丁度いい建物が殆ど無くなってしまった。
間に狼の集団が居る。
これは突破しないと行けないかもしれないな、そう思いながら魔眼で狼たちを視る。
やはり、なにかおかしい。
なんだろうか。
あ、魔力の質が違う。
最初の狼と熊と、ここにいる狼たち。
全て、魔力の質が違う。
彼らは純粋な魔獣なのか?
それとも、そこまで大勢の魔術師を動員したのか?
ぞんなことを考えていると、狼は私に気付いたようで此方を見る。
ここで私は、もう一つの違和感の正体に気付いた。
彼らの魔力に、乱れが一切ない。
規則正しく常に一定で、まるで機械が動くように魔力が流れている。
私を認識したのに一切乱れないのはおかしい。
普通は警戒心に魔力が乱れる。
彼らはいったいなんなんだろう。
皆目見当も付かない
ここにだけ狼の数が多いのは、ここに何かあるのか。
私は銃を構える。
そして撃とうとしたとき彼らの口に魔力が集まるのが見えた。
慌てて壁に身を隠す。
盾にした壁に、ガンッガンッと何かを撃ち込んでいる音がする。
壁から狼を覗いてみると、口から岩を撃っている。
魔法か、厄介な。
だが壁を削る程度の威力しかないようだ。
それならいける。
壁から半身を出して、銃で撃ち抜く。
かわすことをしない狼は、一瞬で全滅した。
やはり少しおかしいな。
生物なら、危機感を持って魔法を撃つのをやめるくらいはするはずなのだが。
もう私は、この近くに首謀者が居ることを確信した。
あの魔獣たちがなんなのか、それもそいつの口から絞り出せばいいだろう。
私は首謀者が居るであろうビルを屋上まで駆け上がる。
改稿済み(1-3)