話してる途中で急に真面目になるやつ何?
あと数話で、ようやく作也君の方に戻れるッ!
我は待ち焦がれていたぞ!
さぁ頑張るのだ我よ!
ふとアクセス数見てみたらなんか前回投稿した日のアクセス数がすごかったです
あらすじの影響力って大きいんですね
※グロいかもしれないのでちゅーい
「ッ!」
直後、激しい揺れが四人を襲う。
揺れは数秒で収まった。
「大丈夫ですか、陛下」
「ええ」
相良が天皇を気にかける。
神器が置かれている台座は浮いているので揺れには強い。
圭は実戦を積んで鍛えているので、この程度の揺れでは倒れることはない。
泡餓君は足腰が弱いのかな、ちゃんと倒れている。
相良はともかく、御高齢な天皇も立っているのに情けないぞ!
泡餓は立ち上がり、相良に話しかける。
「いってて。相良さん、今のって」
「あぁ、間違いなく地上が襲われている。電波が届くのだ、恐らく結界生成の魔方陣は破壊された。しかし、一体どうやって?」
結界生成の魔方陣とは、その名の通り結界を作る魔方陣である。
陣は外敵に破壊されないよう安全な場所に設置されている筈なのだが。
考え始めた相良に圭が話しかける。
「そんなこたぁどうでもいい。俺らはどうすんだ?」
「そうだな、ここへの通路はこの一本しかない。だから地上に上がって出入口の安全確保、部隊の手助け、それと敵の撃退、可能なら捕獲を頼む」
「わかった。行くぞ泡餓」
「うぇっちょぉぇ」
圭は泡餓のシャツの襟を掴んで階段を駆け上がる。
「ちょちょ圭さん首!首しまってる!はな、離して!」
「たぶんお前が走るよりこの方が速い」
「そんなことはない!そんなことあるはずないっすから!ってちょっヴぉぇっ」
「おらさっさと上がれ」
泡餓の懇願を聞き入れ、階段の途中で等間隔で存在している中間踊り場へ放り投げ、勢い殺さず駆け上がる圭。
泡餓は急いでそのあとを追う。
「いてて。扱い雑すぎじゃないっすかねぇ」
「気のせいだろ。それより、お前はどっちが来たと思う?」
苦情を垂らす泡餓に圭が質問する。
『どっちが』とは、転移を使う魔術師の関係者か、例の小屋に現れた悪魔の三匹か。
「うーん。俺は悪魔なんて見てないっすからねぇ。ただまぁ、空間魔術でさっきの揺れを起こせるのかどうか」
「無理じゃねぇだろうな」
空間魔術は空間そのものに働きかける魔術。
泡餓の言っている程度の揺れであれば、空間に衝撃を生ませれば出来るだろう。
魔力の消耗が激しそうだが、転移を創れるくらいなのだから、それぐらいは軽く行いそうではある。
「だから俺は、両方来ると思うな」
「何故っすか?」
「簡単な話だ。本堂によりゃぁ、悪魔どもは転移の魔術師が皇居を襲ったことが自分達への嫌がらせだと言ってたらしい。てことぁ、悪魔どもも何かしようとしていた可能性があんだ」
「その何かが『神器を狙うこと』っすか?」
「ああそうだ」
「ってか、聖山からの連絡見てなかったのか?本堂の報告とか読んどきゃこんぐらい予想するだろ?」
「あはは…お布団が気持ちよくて…」
この日の平均気温は最近と比べると一段と低かった。
「ふんっ」
「うぐっ」
くだらない理由をさらけ出した泡餓の脇腹へ、圭の鋭い肘打ちが入る。
「てめぇは仕事する気、いや無事に帰る気あんのか?自殺志願者か?てめぇ。自殺願望あんならビルの屋上から飛び降りて舌噛んで死ね」
「自殺願望は無いっすよ!あと舌噛んで死ぬなら飛び降りる必要無くないっすか!?」
「とにかくてめぇは仕事に責任感持てよ。特に今は一人でやってんじゃねぇんだ。その適当さで仲間を危険に晒したら許さねぇぞ」
「うっ…すんませんっす」
突然真面目になった圭に叱責された泡餓は謝るしか出来なかった。
泡餓はもう少し普段からちゃんとしていれば優秀な人材になるであろうに、惜しい男だ。
全力ダッシュにより、二分ほどで地上の扉が見えてきた。
「はいドーン!」
「いや圭さん!」
圭は隠し扉を内側から思いっきり蹴り破った。
「圭さんさっきの話、ってきいてなかったなぁぁ。圭さん、この皇居内の建物って壊れないようになってるらしいっすよ」
扉を思いっきり蹴り破った圭に、相良の話を聞いてなかったのかと問いたかったが、そういや聞いてなかったと思い出して皇居の性質を教えることにした。
「知ってる」
「いや、聞いてなかったんすよね?」
「…ほら、あれだよ。窓ガラスは壊せんだろ?防災のために。だったら扉も壊せるかなって」
「いや、なんでそこだけ聞いてるんすか」
「いいだろ別に」
間があったから確実に今作った言い訳なのだが、あまりにも筋が通っているので泡餓はそのまま流した。
圭も圭で、優秀なのに所々自分勝手で適当なところがある。惜しい男だ。
「とりあえず外に出んぞ」
二人は窓がある方へ向かう。
「おっ?こいつぁすげぇことになってんな」
角を曲がった所で見えるのはガラスの無い窓と、粉々になって床に散らばったガラス片。
先程感じた揺れを起こしたときに砕けたか。
ついでに窓の向かいにある扉も少し砕けている。
「一体何したらこんなになるんすかねえ。」
「とりあえず外に出んぞ」
二度目の同じ台詞を言った圭はガラスの無い窓から飛び出る。
それに続いて泡餓も。
「うわぁ、さっきのよりヤバそうっすよねこれ」
出て辺りを見回し、まず目に入るのは血まみれの肉塊。
泡餓は驚きながらそれらを見る。
二人がその肉塊に近づいて確認する。
それは警備していた自衛隊の一人のものであろう上半身だった。
例のフル装備の上から、胴を斜めに斬られて死んでいる。
下半身は五メートル程離れた場所にあった。
出た窓からは建物の陰で死角になっている場所だ。
「…確かに、こりゃぁやべぇなぁ」
その下半身の向こうにはぐちゃぐちゃになって死んでいる隊員たちが血溜まりを作っていた。
首が落ちていたり、胸に穴が開いていたり、肩から腹にかけて引き裂かれていたり。
受けている傷はどれも致命傷で、正しく死屍累々という状況だ。
幾つかの死体は無傷にも見えたが、近づいて見てみれば目や耳、鼻から血が出ている。
傷口は綺麗に切断されたものもあれば、無理やり千切ったようなものも。
数通りの殺し方で殺されているので、敵は確実に複数だろう。
「おっ、やっぱり居んじゃねえか!あいつだろ?転移魔術使える野郎はぁ!」
「ふむ?他二人はおらんのぅ。知らぬ少年も居るしの」
ふと後ろの方から、圭が聞き覚えのある声が聞こえてきた。
振り向いて見てみれば、上空に羽根を広げ飛んでくる三つの影。
圭にはもう誰なのかわかった。
「やっぱりてめぇらかぁ、悪魔どもぉ?」
圭はこれをやったのが悪魔だと気付いていた。
鋭い切り口はオーンの魔法によるもの。
あの小屋でうけた傷の切り口はとても綺麗であり、簡単に皮膚がもとに戻るほど。
幾つかある力ずくで千切られたようなものはディーの怪力。
本堂からの報告にあった炎と怪力の悪魔。
唯一謎であるフールの力は未だよくわからないが、血を吹き出しているものがそうなのだろう。
小屋にいたときにディーとオーンしか見ていなかった圭は、見知らぬ悪魔に目を向ける。
「へぇ、てめぇがフールって奴かぁ?」
はーいネクストまたまた来週中