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世界の闇は陰にて嗤う  作者: おれんじじゅ~す
GW ~空間の魔術師~
29/46

ある日森の中(あ)くまさんに出会った

誠意の連日投稿!

イェイ!(・∀・)v

少し時間は戻り、雨水紗耶香は森を歩いていた。

出来るだけ空間圭から離れるため、立ち止まらないで歩き続けた。

彼のそばにいると、()()()が嫌がる。

理由を聞くと、嫌な臭いがしているようで。

自分にはわからないから何もできないが、せめて出来るだけ離れてあげる。


さて、だいぶ離れたところまで来たが、未だ森が切れる気配がない。

だいぶ歩いたが、ここまで獣道くらいしか道がない。

ここがどれだけ深い森かよくわかる。



(…どうしたの?)


紗耶香は、その子の異変に気づいた。

聞いてみると、凄く臭いのが近付いてきているらしい。

紗耶香は、圭が近づいてきたのかと思いムッとしたが、直後にそれは勘違いだと気づかされた。



ボンッ



破裂音と共に、炎が上がる。

その子が、炎の方から臭うと言う。

空間圭は空間魔術を使うはず。

紗耶香は炎の方へ駆け出した。




時を同じく、本堂詩織も森を歩いていた。

本当は雨水紗耶香を追うつもりであったが、行くのが早すぎてすぐ見失ってしまった。


「全く、自分勝手なやつばかりだ」


敵陣の中で単独行動など、危険だ。

圭も紗耶香も隠密行動が得意なら構わないが、相手も空間魔術を使うのだ、探そうと思えばすぐに見つかるだろう。


それなのに圭は二人を追い払い、紗耶香はいつの間にか居ない。

自殺願望でもあるのか、と詩織は思った。



「!?」


それは偶然だった。

たまたま空を見上げていたから気付けた。

突然、直径五十センチほどの火の玉が飛んでくる。

それが視界に入ったから回避することができた。

気が付かなければ、詩織は消し炭になっていただろう。


「おやおやぁ?避けられちまったよぉ!」

「!?」


若い男の声が響いてくる。

見ると、老人と二人の若い男が空から降りてくる。

響いてくる声の主は若い男の片割れだ。

詩織に避けられたのが意外だったのか、声には驚きが含まれていた。

歪んだ笑顔と一緒に。


詩織も同様、驚きの表情を露にしている。

こちらは、男たちのような存在が、こんなところで出てくるという驚きだ。

男たちは黒く光る翼を広げ、降りてきている。

魔術などではなく、翼で空をとんでいるのだ。


彼らは『悪魔』。

西洋に現れる、神と対になる存在だ。

彼らの恐れるべきは、その身体能力と、『魔法』だ。

悪魔は魔術ではなく魔法を使う。

彼らの魔法は、一般人の中にたまにもっている人が居る、異能力に近いところがある。


どの魔法も強力なもので、そして身体能力の高さ誇る厄介な怪物だ。

そんな化け物が三体も現れた。

詩織は今、絶体絶命に近い状態となっている。


「貴様らは、悪魔だよな?何故ここにいる」

「何故かってぇ?はぁ!?しらばっくれてんじゃねぇぞ!」

「待てよ、ディー」


詩織は時間稼ぎのための質問をする。

しかし、どうやらそれが勘に障ったようで、詩織に怒鳴りかかろうとする。

それをもう一人の悪魔が止める。


「なんだよ、フール?」

「よく考えてみろ。あの男は違うだろ?ってことは、もう逃げられてるんだ。殺さずに場所を吐かせた方がいいあとフールって渾名やめろってんだろぶち殺すぞ」

「殺すぞ?よしぶち殺してやらぁ!」

「ちげぇわカス!」


フールと呼ばれた男がディーという男を殴って止める。

ろくに話を聞いていないディーのせいでプチコントみたいになってはいるが、詩織は問答無用で殺されそうになっている。

内心、かなりドキドキしている。


「これこれレーデンディス君、フール君、彼が暇しているぞ」


ここまで黙っていた老悪魔が口を開いた。

若い二人の悪魔が口を閉じる。

ディーという男はレーデンディスと言うらしい。


「少年よ、ワシはオーンという」

「それは、ご丁寧にどうも。俺は詩織だ」

「うむ、シオリ君、何故ワシらがここへ来たか、じゃったのう。それは、数日前の嫌がらせへの仕返しといったところじゃのう。ワシらはかなり迷惑したんじゃなぁ」


オーンという老悪魔は当時のことを思い出しているのか、うんうんと頷きながら話す。

ただ、


「生憎、それは俺とは関係ない話だな。俺も敵を追ってここへ来たのだからな」

「うむ?そうなのか。ふむ…ふむ、残念じゃが…魔術師協会には、知られる訳にはいかんのぅ」

「!?」


オーンが考えた後に放った言葉は、戦闘開始の引き金となった。

詩織はまだ、自分が魔術師協会の者とは言っていない。

言うつもりも無かったので、オーンに協会の者と気づかれたことに一瞬動揺したが、皇居でのことを知っているのなら、当たり前のようにわかること。

なので、動揺は一瞬だったのだが、一瞬の隙が命取りとなるのが魔術師達の戦場だ。


気付いた時には、ディーの放った火球が眼前まで迫っていた。

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