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世界の闇は陰にて嗤う  作者: おれんじじゅ~す
GW ~空間の魔術師~
19/46

泡餓の魔術

更新頻度を上げようかなと

それとともに文章量もたぶん減る

でもサブタイトルが思いつかないので、その2とかになるかも

魔獣騒動辺りで既になってるけど、だいぶ話が離れてその2とか


あと章分けをするかも

「これが、赤炎の魔術か」

「正確には俺個人のっすね」


圭は泡餓の魔術に驚いた。

炎の魔術は火力が高いと、光などで夜はとても目立つ。

金属製のヘリコプターを消し炭にする程の火力であれば遠くから炎が見えるし、この距離でも熱風が来るだろう。

でも泡餓の放った泡炎弾は、火が上がるのではないし、熱風も来なかった。


「あれは、泡か?こんな魔術を、お前凄いな」

「ははっ、そう言ってくれると嬉しいっすね。でも赤炎家じゃ、炎っていうのを重視してるっていうか、俺みたいな搦め手で上げた火力はあんま良く見られないんすよね」

「面倒な家だな」

「そうなんすよ。この方法って結構便利なんすけどね」


泡餓の魔法陣には、炎と泡が含まれている。

もともと泡餓は家族と比べて、赤炎家の炎魔術の火力がうまく使えなかった。

それならと、自分で魔術を作ることにしたのだ。



赤炎家の魔法陣を泡餓は理解することが出来なかった。

でもそれで泡餓が魔術師になれないということは無い。

思考回路は人それぞれなので、こういうことは稀にある。

なので自分で、一から炎魔術を組むことにした。


だが泡餓の魔法陣に対して、赤炎家の魔法陣は長い歴史がある。

当然、威力は遠く及ばない。

だから泡餓は、自分なりに十分な威力にする方法を考えた。

それが、泡を混ぜることだ。


泡は空気が入った球体。

その中には勿論酸素も含まれている。

雨雲令に助言を貰い、炎と水を混ぜるという発想により、中に酸素を詰め込んだ燃える泡が出来上がった。

酸素により上がる火力は、赤炎家の魔術に近付いたのだ。


「あなたは赤炎家の方でしたか」

「あ、はいそうっす」


それまで完全に空気になっていた天皇が、泡餓に話し掛ける。


「やっぱりあなたって、天皇陛下っすよね?握手いいっすか?」

「ええ、良いですよ」

「いやぁ、圭さんと一緒に走って来たときは驚いたっすよー。連れてくるなんて一言も言ってなかったっすからねー」

「あっちで決めたからなぁ。それよりさぁ、運転そろそろ代わって欲しいんだが」

「あっ、そうでしたね」


完全に忘れていた泡餓に、運転を代わるよう言う圭。

運転が泡餓に代わった後も車は走りつづける。

ふと、泡餓が気付いたように圭に聞く。


「今ってどこに向かってるんすか?」

「どこだろうな。どこに向かってるんだ?」

「え、私ですか?」

「ええ!まだ決めてなかったんすか!」

「あっちで思いついたからなぁ」


悪気も無く言う圭に、泡餓は溜め息を吐くしかない。


「じゃあもうどこいきます?」

「私の御用邸はどうですか?」

「御用邸?こっから近いのか?」

「いいえ。ですが、このままどこかへ向かわれますと、政府に追われますよ?現状、あなた方は誘拐犯という組み分けになるでしょうし」


圭はなんのアポも無しに皇居へ侵入し、そのまま天皇を連れてきている。

今頃、警察組織や政府高官は大慌てだろうと、泡餓は焦る。


「えっマジっすか!?何してるんすか圭さん!とんでもないっすよ!」

「うるせえよ」

「いや、マジどうすんすか!逮捕っすよ逮捕!このままだと檻の中で、凶悪犯のいいおもちゃっすよ!」

「じゃあ俺が仕事を続けとくから、お前は遊んで貰ってろ」

「そんな酷すぎっすよ!」


軽口を叩く圭。

泡餓は慌て過ぎて、圭の全く変わらない余裕の態度に気付かない。


「すみません、それなら協会の方へ連絡するのはどうでしょうか?」

「あっ、そうしましょう!それで問題なくなるっす!」

「既にさっきしたぞ」

「…え?マジ?なんで早く言ってくれないんすか、めっちゃ焦っちゃったじゃないっすか」

「一人で楽しそうだったから、いいかなって」

「楽しくないっすよ!」


からかわれて怒る泡餓は、焦ったー、と言いながら運転に集中力を向ける。


「あー、天皇陛下、どこに行けばいいと思います?」

「そうですね、一度御用邸へ向かわれてはいかがでしょう?そこなら、警備は万全ですし、先ほどしていた仕事の続きを行えます」


御用邸とは、天皇が年に数度、公務の休暇を取り避暑避寒のために訪れる別荘だ。

ここにはメディア等も立ち入り禁止なため、皇族の武器を扱う練習場にもなっている。

皇族は常に危険と隣り合わせなのだ。


「仕事の続きはいいがよぉ、警備は万全でもねぇだろ。元々の家があの様じゃねぇか」


あっさり制圧されていた皇居を思い出し、呆れたように言う圭。


「あぁ…。そうでしたね」

「え、じゃあ変えます?」

「もうどこでもいい。天皇が仕事をしねぇと行けねぇって言うならどこでも変わらねえ。一番安全って点で言えぁ協会だろうがな」

「そうっすね。天皇陛下、協会本部でいいっすか?」

「構いませんよ」

「了解っす」


圭の考えに賛成を示した天皇。

泡餓はハンドルを切り、協会方面へ向かう。

ついでにポケットに入ったスマホを取り出し、この仕事の立案者である聖山にその旨をメールで伝える。


『わかった。政府高官にも伝えておく』


その返信に目を通した泡餓は、スマホをポケットにしまい再び運転に集中する。

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