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計画しよう

さぁ体力測定も続き、最後はハンドボール投げだ。

俺は実はこれがとても嫌いだ。

投げるとき、握力が無いからか、手が滑って大した記録にならない。

それに肩も痛い。

身体能力が上がっても、嫌な感覚は覚えているものだ。

はっきり言って、ソフトボール投げでいいと思う。


「ようし、行ってくる」

「おういけいけ」

「あんまり飛ばさなくていいからねー」


相変わらずの声援を背中に受けながら位置につく優魔。

優魔とよっしーの記録は、若干優魔が上回っている。

しかし大差はないので、この二回に勝負はかかっている。

白線の円ギリギリまで下がり、左手にボールを構える優魔。

実は左利きの優魔は、二メートル程の幅で助走を付けて、投げる。

それを二回。

果たして記録は?


「どうだった?」

「三十いった」

「マジかよ、すげえな」

「すごいけど、俺の本気を見せてあげるよ」

「はっはっは。俺の記録を越えられるとは思わないことだな」


優魔がなんかかませ犬感あることを言っているが、それを無視して集中を始めるよっしー。

なんか、ただ者ではない感じが出ている。


他の奴らはだいたい十八から二五メートルくらい。

時々その範囲から、良くも悪くも外れた記録を出す奴がいる。

俺は苦手だから、いつも十五メートルくらいだったけど、上がった身体能力で二十メートル前後を出すつもりだ。


「じゃあ、行ってくる」

「いってらっしゃーい」

「俺の記録を越えたら誉めてやろう」

「えらっそうだなぁ」


なんかやけに集中してたけど、これそんな集中意味あるのか?

腕を全力で振るだけだろ。

幅跳びとは違って踏み切りが命みたいなことはないだろう。

いや、よっしーには何かあるのか?

ハンドボールを投げるときに、特別に感じる何かが。

俺にはどうでもいいけど。


優魔と同じように白線ギリギリまでさがり、右手にボールを構える。

助走を付けて、投げる。

結構飛んだぞ。

優魔といい勝負か?


「よっしー記録は?」

「ふふーん。三十三だ!」


尋ねる俺に、笑みを隠しきれない顔で答えるよっしー。

ていうか今の顔気持ち悪い。


「マジかよ、顔気持ち悪すぎだろ」


優魔は隠さず教えたようだ。


「うっ、うるさいな。顔より記録だ!記録!どーだ、三メートルも上回ってやったぜ」

「あぁそう良かったね」

「ちょっと適当すぎないかな?ん?」

「俺はすごいと思ったよ。だから落ち着いてね」

「さぁ、総合評価を見てみようじゃないか」


よっしーの絡みを流す優魔。

優魔ってなんか強いね。

今もう完全に俺のこと忘れてよっしーと張り合ってる。


俺はもう関係ないのでボールを投げに行く。

狙うは二十メートル。

優魔のだいたい三分の二飛ばせば勝ちだ。


ギリギリまで下がりボールを構える。

軽く助走を付けて、投げる。

あっ飛びすぎた。

二十五メートルか。

まぁいいか。

次も同じくらい飛ばして優魔たちの下へ。


「おう作也、どうだったよ」

「俺は二十五メートルだったよ」

「そうか、こっちでの勝負は俺が勝ったぜ」


ドヤ顔で言ってくる優魔。

後ろにいるよっしーの顔は悔しさに歪んでいる。


えっ、なんで?

そんなに悔しがるほど大切なことだった?

ただの体力測定だぞ?

俺には分からない世界だな。


そのあと俺の評価も出したけど、当然二人には劣る。

と言っても、クラス内で考えればとても高い記録なのだが。


体力測定は男女で別れており、別の場所での計測を終えた村井さんが、そこへ合流する。

男と女で評価の基準は変わるが、よっしーと同レベルだったことに驚きだ。

さすが、部活をやっているだけのことはある。




さて、時は流れてゴールデンウィーク直前の週末。

俺は今、ある計画を練っている。

それは、国会議事堂への潜入だ。


国会議事堂は、国の方針等について議論している場。

俺はそこに、能力についての資料があるのではないかと睨んでいる。

理由は敷地が広いから、それだけだ。

あそこまで広い必要があるのか。

ウォキペリアで調べたけど、面積がだいたい十万平方メートルあるんだと。



※実際は敷地面積が約十万平方メートル

建築面積が約一万平方メートルである



なぜそこまで施設を広げる必要があったのか。

俺は、何か隠れた施設とかがあるんじゃないかと思う。

実際のところ、俺は国会議事堂についてよく知らない。

時々ニュースで総理大臣が話してるのを見るくらいだ。

それでも、テレビに映る内部のスペース的に、もう少し狭くても問題はないと思う。


それなのにそこまで広いなら、能力や魔法についての研究施設があると考えてもいいと思う。

それに無くても、国立国会図書館というものが附属している。

そこになら資料があってもおかしくない、いや無い方がおかしいとも思う。


国は国民を守る為にある。

魔法の存在を本当に国が認めないでいるのなら、魔法は存在しないのだろう。

脅威とはならないからだ。

だが、魔法が存在する事実があるのなら、国は魔法を調べる筈だ。

脅威となる可能性が高いからだ。

国が本気を出せば、尻尾くらいは掴める。

尻尾を掴めるなら本体が存在することが分かり、それなら次は、より本体に近い場所を掴むだろう。

この国はそこそこ長いのだ、既に本体など掴んでいる。



それとはまた別に、魔法使いたちにも派閥があると思われる。

この間見た、一般人を護る者たちと傷付ける者たち。

組織を裏切るなら、その先にはまた別の組織がある、または個人で大きな力を持っているだろう。

俺に刀を突き付けた彼女の組織は、一般人、国民を護っていた。

なら、国との利害は一致している可能性が高い。

だから国に、協力関係を持ちかけているだろう。

そうすることでより、他の組織に対抗しやすくなる。


このような理由から、国が資料を持っていると推測している。

そして資料を最も安全に隠せるのは、国立国会図書館ではないか。

その図書館には、貸し出さない資料も多いと聞く。

資料が隠されている可能性が高いのだ。



それで議事堂に潜入する期間だが、ゴールデンウィークがいいと考えている。

今年は年号が変わるから、ゴールデンウィーク中の平日も学校は休みだ。

そして、その間は総理大臣も天皇も、皇居でお仕事だ。

議事堂の守りをガチガチに固める理由はなく、総理大臣についてるSPも、議事堂から離れるだろう。

つまりは守りが手薄だ。

潜入するにはこれ以上ない好機だろう。

人が寝静まる深夜に潜入することにした。


俺はゴールデンウィークに入るまでのこの一週間を、緊張と武者震いを隠しながら過ごすだろう。

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