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入学しよう

ストーリー内の日付をリアルに近づけたいから

GW中たぶん毎日投稿する


追記

高校の名前後回しにして忘れてました

思いつかないから東京高校にしました

実在のものとは関係ない、架空の高校です

四月八日


今日は高校の入学式だ。

多くの十五歳が新しい学生服を着て、新しい三年間の始まりを迎える日だ。

かく言う俺も、新しい一年生だ。


進学と同時の引っ越しにより、大きく生活環境が変わる。

ここ数日間は、土地勘を覚えるために家の周りを歩き回った。

駅からだいたい十分ほどとあまり遠くないし、すぐ近くにスーパーやコンビニがあって、なかなかの好物件だった。


俺がこれから通う都立東京高校は、電車で三駅ほど。

家から高校までだいたい五十分ほどで着くことができる。

ただ、俺は今とてもピンチだ。


入学式、開始時刻は九時。

現在地は高校の最寄り駅。

現在時刻は八時五十分。

つまり間に合わない。


高校には受験のときに行ったことがあるから転移の座標は問題ない。

ただ、どこで受け付けを行うかわからないから、どの位置に飛べばいいのかわからない。

まぁいいか、そこそこ遠めの位置に飛んで、そっから走ろう。

入学式は寝よう。


トイレへ駆け込んで、個室へ入る。

鍵は、いいか。開けておこう。

壁に迷宮を創り、透明化のマントを創り手に取り、転移陣を創り出す。

目標地点は校門の上だ。

ここなら転移直後に人にはぶつからない。


よし、無事到着。

あと十分で始まるから歩いてる人がそんなに居ない。

人目に入らない所でマントを脱ぎ、迷宮に落として消滅させる。

これでOK、高校へ入る。


会場は当然の体育館だ。

受付も体育館だったな。

席は出席番号の順。

同じクラスになる人の前を通り自分の席に着いて、荷物を足元へ置く。

座ったと同時に眠気が…



「おい、おい、起きろ。そろそろ順番くるぞ」

「…ん?順番?」

「そ、順番。さっき説明、てか座った瞬間から寝てたか?自分の名前呼ばれたら立って返事」


前を見ると、なんかみんな立ってる。


吉田健(よしだたける)

「はい」


おっと、隣が立った。


『宮野作也』

「は、はい」


俺の名前が呼ばた。

返事をしながら立つ。

びっくりしたぁ。

なんで突然立つんだよ。

これってなんなの?


「吉田だっけ、起こしてくれありがと。これ今何やってんだ?」

「なんか校長が名前呼んで、それで入学を許可、みたいな?」

「ふーん。よくわからんけどありがと」

「おう。でも座って一瞬で寝るとか、のび系の人か?」

「青狸とは関係ない」


吉田とは仲良く出来そうだな。

その後校歌を歌って、長い話中は寝て、教室に向かうときに吉田に起こされる。

吉田マジサンクス。


教室の席順も出席番号のようだ。

俺が三十八番で吉田が三十七番か。

一クラス四十人の十クラス構成で、俺は十組だ。

下駄箱から一番遠いのが残念だ。


「よっしー、これからよろしく」

「いきなりよっしーって、まぁよろしく」


言いやすいからあだ名を付けた。

これから俺の楽しい高校ライフが始まるぜ!

そう思ったが、ちょっとした問題が。


「「「・・・」」」


クラスが静か過ぎる。

まるでお通夜。

中学のときはもともとの知り合いが居たおかげでかなり早く馴染むけど、高校にもなると市内だけじゃないから知り合いが減って気まずくなるんだな。

俺にこの空気を打破する勇気はない。

頼んますぜぃ、よっしー。


ガラガラ


スーツを着た男女二人、たぶん担任の先生が入ってきた。

男はだいたい四十代くらいのおじさん。

女の方は結構若手かな、歳は二十代くらい。


「はい、こんにちは。僕がこれからこのクラスを受け持つことになった遠田です。このお姉さんは副担任の、松原です」

「よろしくお願いします」


担任二人の挨拶が終わり、これからの行事予定やらなんやらのプリントが配られる。

その間も、生徒たちはほぼ無言。


「あの先生美人だな」

「わかる」


俺たちは喋るけど。


その後、教科書の販売やらなにやらの話をして、今日は解散となる。


「教科書行こうぜ」

「いいよ」


俺はよっしーを教科書販売に誘う。

教科書は下駄箱で売ってるそうだ。

下駄箱に向かう途中、いろいろと話をする。

どうやらよっしーの最寄り駅は、俺の最寄り駅の隣らしい。

部活も特にやる予定は無いそうで、俺もやるつもりは無いから一緒に下校しようということになった。


これは、高校生活の好スタートを切れたのではないか?

いずれはクラスの皆とも仲良くなろう。

特にまだ仲良しグループみたいなものが出来ていないから、結構簡単に話かけられるだろう。

逆にグループが出来てしまうと、話している中に話しかけるとか出来ない。


というか、そもそもの話、話題が無いぞ。

これじゃ、なんて話しかければ会話が始まるんだ。

聞かれてもいないのに突然「俺最近引っ越してきたんだぜ」とか話かけたら、絶対に「なんだこいつ」ってなる。

結構難しい問題だ。



「へぇ、じゃあ最近引っ越してきたってことか」

「そそ」


やっぱり、話題があるのは大切だなぁ。


「――に住んでたってことは、この間の野生動物の群れのときどうたった?」


それを聞いてくるか。

死者も出てるらしいから、それ人によっちゃ地雷っすよ。


「俺はちょうど引っ越した直後だったから、何ともなかったわ」

「あぁ、そうなんだ」

「うん、でもそれ死者出てるらしいからな?」

「あ、そうか、済まん」

「いや俺に謝られても」

「あ、引っ越したんだもんな」


ちょっと抜けてるのな。

そんな話をしている間に教科書の引き換え場所。

教科書を買ってそのまま流れて帰宅だ。


「重いから、気をつけてね」

「あ、はい」


教科書の厚さが結構凄い。

リュックに入るかな。

あ、すごいギリギリで入った。


「ああああああああ!」


よっしーの叫び声が。

振り向いて見ると、教科書を床に撒いたよっしーの姿が。


「やったなぁ、よっしー」

「やっちまったよ。ちょっと運ぶの手伝って」

「はいよー」


くしゃみをしたらバランスが崩れたらしい。笑うわ。


教科書を端っこまで持っていって、よっしーのリュックに仕舞っていく。

きれいに落ちたようで、角が潰れているのは二冊しかなかった。


「じゃあ、帰ろうか」

「うん」


よっしーの背中は、とても悲しそうだった。

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