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ギルティ・ヴァンパイア   作者: まっつん
閑話 第一興 旅の土産
6/15

初メテノ地、初メテノ血

第一昼 一時休息(ひととききゅうそく)


さて、こんにちは。

折鶴でございます。


今、アルカード様の末裔の牙様が

私の(やしろ)に来ております。


そして今は御食事をしている

所なのですが


そこで私はふと気になったことを

聞いてみたのですよ。


「そういえば牙様。

レインがおりますので私の社の場所は

分かるのは知っているのですが

かなり時間が掛かっていましたよね?

東京からならばここまで1日も掛からない

筈なのですが。」


そう、ふと気になったのですよ。

なんせ牙様の横には色々な袋が

ありますから。


「そうじゃな。此奴がどうしても

行き先の途中の観光をしたいと言うからのう。

1日あれば着くというのに

全く仕方の無い奴じゃ!」


レインが愚痴紛いで嫌味ったらしく言いながら牙様に肩を組もうとして

その顔はへべれけ面の状態で

言葉にろれつが回って無いところを見て

そういえばレインは相当酒に弱いということを思い出しました。


その行動を牙様は反対するように

避ける行動ををとりました。


避けられて

少しふくれっ面になりながら

牙様を見ていて


私はそのくだらない虚言

に正しいと思われる答えを

返答しました。


「そんなこと言って、あなたの方から

最初に言ってきたのでしょう。

あなたは最近現世に蘇った

ばっかりですからね。色々な所に行きたいのでしょう。」


まさに「てへっ!」って言わんばかりの

舌を出しながら

表情を作っていた


「何じゃあ折鶴ぅ。

嫉妬かぁん?しかたないのぉう

ならまた今度此奴と出かけるか...」


途中で話が途切れながら

バタンと

横に倒れて


「どうした!レイン!」


牙様はそんなことも

必死に心配している所を見ていると

優しい人なんだと思いました。


「大丈夫ですよ。レインは単純に

寝ているだけですよ。

彼女は昔から酒が弱いですから。」


安心したように

こちらに向きかえり

さっきの話の途中で気になった

と思われる疑問を私は受けました。


「そういえば折鶴さん?は

さっき現世に蘇ったって言っていました

けれどどういう事なんですか?」


私に敬語を使いながら

かしこまった感じで疑問を問いかける

牙様がこれまた初々しくて可愛い。


私はぼーっとして惚けていたのですが

すぐに我に帰り

とりあえず

このまま敬語で言われると

萌死してしまいそうなので


「別に私やレイン、他の眷属もいますが

私達に敬語を使わなくても良いですよ。

むしろ私達は友達感覚で

関わってくれた方が良いのですよ。」


これでとりあえず

大丈夫?


それに納得したようで

そのままいつもの口調に戻った。

「それでいいならそうするよ。

んで結局蘇ったってどういうことなんだ?」


さっきの疑問を忘れていて

言ってくれたことに助かりながらも

答えた。


「私達眷属はアルカード様と一緒に

死に、そして蘇るのですよ。

つまり昔アルカード様が

お亡くなりになって

正確に言うと乾眠みたいなものですが。

そのままアルカード様が復活する

少し後か少し前に私達眷属は復活

します。」


大体理解出来た様で

牙様も納得していて

話を続けた。


「今回の場合は牙様は18歳なので

30年前から12年前

つまり牙様が生まれる12年前か後かという

事です。

ちなみにレインは最後にこの地に

蘇ったというわけです。

この能力はアルカード様の眷属達にのみに有効でして

アルカード様のお力があるからこそなのです。」


成程という表情になっていたのですが

私はどうしても聞きたいことがありました。


「交換条件というのも難ですが

できれば旅の話をしてくれると嬉しいのですが。宜しいでしょうか?」


牙様は少し驚きながらも

優しく


「そんなかしこまらなくてもいいよ。

おっけー。なら少し長くなるけれど

いいか?」


「はい!もちろんです」


そしてここからは

牙様の波乱万丈な小旅の

話となる。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


よ!

俺は、まだ男キャラ少ないから

つーか0か。

分かると思うが

牙だぜ!


ということで

折鶴のリクエストに応えて

俺の旅の話をすることにしよう。


俺達は東京から岩手に行く間に

仙台に一度寄ったんだ。

ちなみに仙台は何処かというと

宮城県の仙台市なのだが

そこの牛タンがまたうめぇんだ。


少しズレたな。

そして

俺とレインはそこで

色々な所を回ったんだよ。


今回は仙台に付いたところから始めようか。


「初めて来たぜぇ!仙台!」


「初めて来たぞ!仙台!」


どちらも同じ言葉を言いながら

どちらも両手を上にあげ

体がXになるような形をしながら


「そういえば、何でまた

寄りたいなんか言ったんだ?

別に俺も行きたかったから

否定もしなかったが。」


俺もさっき語ったように

仙台と言えば牛タン?らしいからな。

それを食べたかったから

なのだが

どうやら


「儂は牛タン?とかいう家畜の

食べ物を食べてみたいのじゃ!」


一緒だった。


だけど昨日言われたことを思い出して

レインに聞いた。


「でもよ。人間の食べ物は吸血鬼じゃ

食えないんだよな?大丈夫なのか?」


そう思って気になったのだが

いらぬ心配だったようだ。


「大丈夫じゃよ。味覚は人間と一緒じゃ。

それに単純に空腹は満たせないだけであって儂は人間の食べ物の味を知りたいのじゃ!」


最後は願望だな。

間違いない。


とはいえ流石に早すぎるので

まだ店も開いていないから


「まぁ折角の仙台だ。有名な

観光地でも回ろうぜ。」


そしてそれを了解しながらも

自分のしたいことを言い始めた。


「それは構わんが

儂もやりたいことはいっぱいあるのじゃぞ。

煎餅じゃろ!饅頭じゃろ!それにそれに...」


食ってばっかじゃねぇか!

そんなに俺金もってねぇっつぅーの!


「そんな食っても良いけど俺は金持ってないからな。」


そう言って向こうのある程度の

見立てを崩そうとしたのだが


「大丈夫じゃ。儂もお主に会うまでは

この世界に適応しておったんじゃ。

最近ニュースである薬品会社の

社長が辞退したってのがあったじゃろ?」


そういえばレインに会う何日か前に

そんなのがあったな。

んでそれが?


「あの社長は儂じゃ。」


!?


「マジっすか。じゃあ...」


自分の経済状況なんか比にならない

位持っているのではと思った。


「勿論、金なんぞ腐るほど持っとるわ。

まぁ、お主にはやらんがな。」


貰う気なんぞねぇよ。

でも、能力はやはり高いんだな。

そういうのをやって退けるんだからよ。

と感心していたのだが、


「まぁ社員全員に暗示を掛けて

儂を社長にするくらい造作もないわ。」


おい

さらっとヤベぇことしてやがんな。


「まぁもう何も驚かないけれどよ。

俺の前でそういうことはすんなよ。

マジで!」


「分かっとるわ。じゃあ

観光と洒落込むかのう。」


そして俺たちは

そのまま仙台城、クリスロードなど

商店街やその県の城を行きながら

時間を潰し

12時くらいに

牛タンを食べに行った。


「やっぱり牛タンは仙台だな!

全くもって東京なんかにゃ比べもんにならん!」


自分が思っていたよりも

相当美味い。

なんせ自分が今まで食ってきた

牛タンとかはチェーン店の物ばっかり

だったからこういう高級店に

来たら美味いのは当たり前だ。


だが、俺よりも感動している

大号泣しながら食っている

人が、吸血鬼がいた


「何じゃこれは!こんな物を人間は

食べているのか!?感動ものじゃ。

お前様よ。この肉を買うぞ!

1tじゃ!絶対買うのじゃ!」


泣きながら感動してこっちに

早口で話しかけているレインに

周りの視線を気にしながら

説得した。


「まてまて、そんな感動するのは分かるが

そこまで号泣する必要もないだろ。

また来ようぜ。」


「ふざけるなよ!お前様よ!

この肉は儂が食べたい時に食べたいのじゃ!

お前様がなんと言おうと儂はやるぞ!」


「お前が買い占めたら

他の客が食べれなくなるだろ!

第一商売にならねぇよ!そんなんじゃ!」


「儂の行動を人間の尺度如きで図るん

ではない!」


そしてそんな感じで

ワーワー口論している所に

店員が止めに入り

やっと鎮まってくれたようで

俺たちはその店を後にした。


そしてそのまま商店街を食べ歩きしている所で

妙に気になる話を耳にした。


「聞きました?五月さん。

最近やたら作物が育たないって話。」


「聞きましたよ!美恵子さん。

うちの主人が米だとか

果物が育たなくって

今年は饅頭とかが食べられないかも

って言ってましたし。」


俺はそんな話を聞き流す予定だったのだが

レインが

突き当たりの店から飛び出てきて


「なんでじゃ!なんで饅頭屋に饅頭がないんじゃ!おかしいじゃろ!」


こいつまだ食う気なのかよ。

まぁ満腹にならないって言ってたから

そうなのだろうが

擬似的にはなるって聞いたぞ。


「さっきのおばさんの話によると

どこもかしこも作物が育たないって言っていたぞ。」


さっき少し聞こえた話を

そのまま教えると

血眼になりながら


「そんなのおかしいに決まっておる!

別に台風など来てはおらんじゃろ!

絶対に何か元凶がいるはずじゃ!

はよ行くぞ!」


「だからってどこにぃーーー!」


引っ張られるように

そのまま言葉を遮ったまま

宛もなく走っていった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「相変わらずレインっぽいですね。

にしても牙様にここまでの無礼。

許せませんね!今寝こけていますし

このまま息の根を...」


「まてまて!俺がそれでいいって言ったから大丈夫だよ!

それで話の続きを少しかいつまんで

するがいいか?」


私に牙様の話を聞かない理由もありませんので

このまま大人しく聞くことにした。


「取り乱してしまいすいません。

私は大丈夫ですよ。続きを教えてください。

結局レインとは何処に?」


「レインと移動している内に

ある少女に出会ってな

その少女が親がいなくなったって言ってな

それでその子の親探しをしていたんだよ。

そしたらあらま偶然的にその

元凶にたどり着いたってわけ。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「お嬢ちゃん。どうしたんだ?

誰か探しているのか?」


その少女は年齢は10歳位の

白いワンピースを着た

泣いていた少女だった。


「お父さんがいなくなっちゃったの。

お父さんは山に出かけてぐすっ

そのままぐずっ帰ってこないから

心配になって。」


成程な。それで他の人達に頼んで

探しているものの

一向に見つからないってことか。


「分かった。お兄ちゃん達が

お父さんを見つけてきてあげよう。」


少女はこっちを見て

泣き止みながら


「本当に?」


と短く言いながら

俺達は自信満々に答えた。


「当たり前だのクラッカー!

いいよなレイン?」


「お主の考えに興が乗った。やってやろう。」


「ちなみに名前は?

分かると少し見つけやすいからさ。」


「里緒。時女矢 里緒。それが私の名前。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そして俺達は里緒ちゃんの

親を探しながら作物の元凶を見つけたってわけ。


「優しいのですね牙様は。」


「そんなわけじゃねぇよ。

困っている人は助けるのが俺の心情だからな。」


「話を遮ってしまって申し訳ございません。続けてください。」


そう言われ話の続きの

箇所を探し

決定した。


見つけた所から話そうかな


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


森を探しているうちに

何か嫌なオーラを感じて

それを辿っていくと

奴らがいた。


そして俺はすぐに臨戦態勢をとり

話しかけた。


「てめぇは輪廻の輪か!なんで人間を襲って攫っていやがる!テメェらは救いが

役目なんじゃねぇのかよ!」


その目の前にいたのは男の天使

若者に近い感じの

天使だった。


「うるせぇなぁ。何だお前。

只の人間には俺っちの姿が

見えるはずねぇんだけどなぁ。」


砕けたように話すこいつからは

天使と呼べる程の気品さの

欠片もなかった。


「儂等のことを知らないということは

かなり最近の天使じゃのう。

おおよそ先兵の一つ上の位じゃろ。」


小さな声で呟いた声を

俺は気にしながら

奴に話を聞いてみた。


「お前は誰だ!何故ここにいる!」


とりあえずの事を聞いた

それに答えるやつの名は


「俺の名前はザール。

輪廻の輪の地隊長を務めて

いるのものだ。最近だけど。」


成程な。そして

レインはそのことを聞き

一つの結論に至った様で

ザールに話を聞いた。


「村の作物が育たないということと

村の人間が消えている

元凶はお主じゃろ。

恐らく土地のマナや人間のソウルを

吸い取りこの場に顕現しているのじゃろ。」


そう推理したレインの言うことは

間違っていないらしく

ザールは少し驚きながらも

返答した。


「そうだよ。人間共の土地を使って俺は

顕現してやっているのさ。」


してやっている?

つまり誰かが天使を必要としているという

ことか?


「つまりお前は仕方なくこの場にいること

でいいんだよな?

ならばお前を潰してこの村を

救った後にお前の召喚主を

止めてやる。」


その宣戦布告に

怒りを覚え、こちらを敵として認めた

様で

戦いに入る直前に

レインは話をした。


「こいつは弱い。尚且つ只の屑じゃ。

遠慮は要らぬ。潰せ。」


「そう言われなくともそうするよ!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「そしてそいつを

倒して

俺達はその少女の親を帰してあげて

饅頭も食えて

そのままご機嫌でこっちに来たってわけ。」


「成程ですね。つまりその袋の中は...」


「そっ。饅頭とか果実がいっぱい。」


私はこの時少し嬉しかったのです。

私はアルカード様に仕える者

ですがそれと同時に友でもあるのです。


眷属の皆はもしアルカード様やアルカード様の末裔様が道を外した時に

友として全力で連れ戻すというのを

心に決めておりましたので。


なので牙様が心を持ったとてもお優しき

人だということを知れただけでも充分満足

できました。


「さて、もう時間も遅くなりましたし

そろそろ私達も寝床へ着くことにしましょう。」


そして私達は夜の閑話の会話に

終幕を下ろしました。

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