自ラノ手ガ血デ濡レヨウトモ 後編
第六夜 真偽決着
決着の地、そこに二人の王が
死闘を繰り広げている。
風を飛ばしながらも
相手の影を避けているセイラース
影を使いつつも接近戦に持ち込もうと
している牙
拮抗した戦いの中でセイラースが
話しかけてきた。
「貴様はやはりアルカードの末裔だな!
奴の動きにそっくりだ!」
やはり読まれているようで攻撃が
当たらず
影を使っているが
それすらも止められながら会話を続ける
「そういえば何故アルカードの敵になった?
俺はアイツのことはあまり知らないが
仲が良かったと聞いていたぞ。」
その疑問はセイラースの
憎しみの種を芽吹かせてしまう
原因に迫った言葉だったが
「そうさ。元々は仲が良かったさ!
だが!あいつは我が同胞達を
一人残らず消し去った!
そんな彼らの怨念を晴らさずして
戦いを降りることなど出来ぬ!」
その言葉に善悪などという
無駄な関係はなく
純粋な気持ちなのだろう。
そしてその言葉と同時に
奴は手に風を集め
「貴様を葬れば彼らの怨念も少しは
晴れるだろう!
エルフ・ウィンド!」
それをこちらへ放出してきた。
その風は体の皮膚を
切り刻み
体内の血液をかなり持っていった。
それ以外にも後ろの獣や林の木々が
バラバラになりながらも
その恨みに対する自分の考えを答えた
「そうか。だからお前はアイツに復讐を
誓ったんだな。俺はそういうのは
悪いと思っていない。俺だって
その立場になれば同じことをしただろう。」
それは本心だった。
だから奴の攻撃は1度たりとも
避けてなどいない。
しかし
「だが!お前はそっち側へと行ってしまった!
だから俺の中のアルカードに変わって
お前を元の道へ連れ戻してやる!」
「戯れ言を!貴様なんぞに我を止められるかぁ!」
恐らく全力の攻撃だろう。
大気中の空気を一点に集中させ
球状にして
こちらへと撃ってきた。
「俺はお前を知らねぇ。だが!
救うのに理由なんぞいらねぇ!」
その風の球を全身で受け止めながら
セイラースへと投げ返した。
それを受けたセイラースは苦しい表情
は見せずに笑った表情で
こちらに小さな声で囁いた
「やはりお前はアイツの末裔だな...
流石だ...」
風に飲まれてセイラースは倒れ伏せた。
そしてこの血戦は決着した。
そしてその攻撃によってもう体は
動かない様で
こちらを見て
「さぁ殺せ。俺は決闘に負けたんだ。
これ以上の生は要らない。」
今度こそ覚悟を決めたようで
大の字で寝そべっている。
「悪いが、お前の覚悟を別の形で
使わせてもらう。
俺らと手を組めセイラース。」
その申し出にセイラースは
激怒の顔を浮かべ
「俺はお前らを恨んでいるんだ!
そんな俺が貴様らの仲間なんぞになるくらいならばここで自害しよう!」
そんなことを言うのは分かっている。
だがセイラースはあることを知らない
それを教えるため
レインは横に行き囁き声でそれを伝えた。
その時の牙はまだ何のことかは知らなかった。
「 」
セイラースはその言葉を聞き驚愕の色を隠せない表情になった。
例えるならばまさに豆鉄砲を食らった
鳩のように
そして動揺したままその話に
返答した
「そんな、ならば俺の、今までの人生は
クソっ、利用されてたってことか。」
あまりに片言の答えをしてはいたが
自らの勘違いで元盟友
そしてその悔やんだと同時に
こちらへと向きを変え
「分かった。お前の要求を
飲んでやろう。そして仲間になるからには
知らせておかなきゃならない事があるな。」
いったい何を伝えるのかは分からないが
こちらの知らない情報を教えるのだろう。
それは後々に話してもらって構わないのだが
しかし
「奴らの目的はこの世界の侵略なんて安いものじゃない。奴らの本当の目的は...」
ザシュッ
「ガハッ・・・ハァ・・・・・ァ、ぎっ貴様はエルッ」
その言葉を遮るように妖精王の
首をはねたそいつは
突如何も無い空間から刃で首をはねたそいつは
その後ろには謎の黒い空間があり
今までの天使のヤツらとは違った。
明らかに異質であり只の狂気で染まった
人の形をした悪魔だった
周りには闇の衣を纏いて
その顔は夜に溶け込むように薄暗く
そこにいるかも虚ろな存在だった。
そしてそこから遠く離れている
ある者が飛んできては
「貴様は!何故ここにいる!」
折鶴はその姿にとても反応して
すぐに飛んできて瞬きの瞬間よりも早く全力の臨戦態勢を整えすぐに攻撃に移った。
影を刃にして
それをその者に飛び交うように向かっていった。
しかし
その正体の分からぬ者はその刃をいとも簡単に全て撃ち消して
いや、捕食したという言葉の方が似合うかもしれない。
そういう通り奴は影を吸収したのだ。
そしてその者は
俺らの脳裏に深く刻まれることになる
初めての声を発した。
「やはり単純だな折鶴。お前は俺の事が
そこまで憎いか?」
声だけならば男ということは分かるが
年齢は分からない位の
低音の声だった。
そして牙にはこの言葉の意味が分からなかった
そう思っていた牙の考えを改める間もなく
「そこに座っている人間は誰だ?
いや、違うな。血の匂いだ。
そしてこの忌々しい気は!」
その言葉を言いながら
目では追いきれぬ速度でこちらの
首をはねようと剣を抜いたが
それはレインによって止められた。
「エルセラ。貴様何故ここにいる。
返答次第ではこのまま粉微塵にするぞ。」
その時のレインは最早情けなどなく
只単純に「殺す」という意志に
従っているものだと理解出来た
「その質問に答える前に一つ忠告だ。
レイン。俺とお前の仲だろ
俺の実力知らねぇわけじゃねぇよな。」
レインもいつの間にか抜いていた剣を
エルセラと呼ばれている者が
構えている剣に交わせながら
会話を続けていた。
「お主は儂の力を侮っておるようじゃのう。小童が!今すぐ年の功というものを
教えてやろう!」
そしてレインはさっきの妖精と戦っていた時の様な紅く
そして血を纏わせていた状態になった。
だがそれより先に
エルセラの首元には
刃が向けられていた。
その刃の持ち主は紛うことなき自分の仲間である折鶴。
しかしその形相は今までの知っている折鶴ではなく
憎しみと憎悪に歪んだ表情。
慈悲は無く、懺悔の暇も無く、慈愛も無く
只の狂気と例えるに丁度いいとも言えない
程に歪んでいた。
「折角の美人が台無しだなぁ!
に...」
軽口を叩くエルセラの言葉を聞く余地もなく
折鶴は影で作られた
刃でエルセラの身体を切り刻んだ。
そしてその死体とも呼べない
肉片は消え失せた。
だが
「久しぶりの再開なのにそんな出迎えは
兄ちゃん感心しないぞぉ!」
さっきまでの聞き覚えのある声が
何故か後ろから
聞こえた
確実に仕留めた筈じゃないかと
牙だけは確信していた。
「まぁ久しぶりに妹の顔を見ることが出来たからな。今日は帰るとするかな。」
そう言いながら右手を上から下に
空気を裂くようにして動かした手の後から
謎の黒い空間が生まれた。
「また会おう。そしてアルカードよ。」
その中に入っていったエルセラは
黒い空間が消えると同時に
消えてしまった。
困惑しきっている牙には
奴が誰なのか。
そして奴は何なのかを考える余裕など
無かった。
そして満身創痍の牙の横に
折鶴が少しも表情に出さずに
無表情のままこちらに話しかけてきた。
「申し訳ございません牙様。
少し取り乱してしまいました。
作戦については私に落ち度があったと思われます。奴の介入を警戒してさえいれば。」
明らかに的を得ていない答えが出ていて
恐らく内心はぐちゃぐちゃなのだろう。
「確かにセイラースを殺させてしまったのは悔しいが、それはお前のせいではないよ。
奴は元々殺す気だったんだ。
殺すのを防げなかった奴と殺した奴ならば
悪いのは殺した奴に決まっている。」
そう慰めながらも
横目でレインを見ていたのだが
相当悩んでいるようで
現在の状況を整理しているのだろう。
そしてひと段落付いたところで
奴についてを
教えてくれた。
「奴はエルセラ。魔族でありながら
折鶴の実の兄じゃ」
そうだろうなと思いながら
俺は折鶴の事が気になり
聞いてみた。
「それは奴の言い方的に分かってはいるのだが折鶴。お前はどうしてあいつをそこまで
憎んでいるんだ?言いたくないならば
言わなくてもいい。」
その疑問に折鶴は苦悶の表情を見せたが
すぐに元に戻して
「牙様の命令とあらば断る理由もございません。
その前に私の出生を語らなくてはいけませんね。」
初めて聞くことだけあって
俺は相当真剣に聞いた。
「私は元々人間でした。
ある小さな村の
兄と妹に親二人の平凡な生活を送っていました。
しかし、その村は突如現れた
闇の炎によって
滅ぼされてしまいました。」
闇の炎というのは恐らく人為的なものだろう。
しかしそれを口には出さず静かに聞いていた。
「そしてその闇の炎の正体は
私の兄だったのです。」
だろうな。この流れだ、流石に分かる。
だが何故そんなことに?
「そして兄は私の家族を殺した
村の人々を焼き尽くしてしまいました。
そして私も最早虫の息でした。
その時に牙様の先祖であるアルカード様
に出会いました。」
「なるほどな。それでアルカードの
眷属になったってわけか?」
「その通りです。
そして眷属になってからしばらくすると
私は一つの部隊をも持つほどになりました。」
折鶴は確かにリーダーシップは高そうだと思っていたので特に驚きもしないが
「私は彼らを我が子のように扱って来ました。だがあの男。エルセラは私の大事な部下を抹殺しました。
私は嘆き悲しみそのまま奴への復讐の鬼へと変わってしまいました。」
その話をしながら折鶴は相当泣きそうな顔をしていた。
こんな話は恐らく断片的な所だけで実際
はもっと絶望なのだろうが
そこは掘り返さない方が折鶴の為だと思い
流した。
「俺はセイラースに言った通り
復讐はやめろなんて正義ぶったことなんか
言わない。
だが俺たちは仲間だ。辛くなったり
苦しくなったら頼れ!」
その言葉は在り来りだが
今の折鶴にはかなり心に響いたらしい。
少し表情に笑顔が出てきた
「さて、お前様よ。このまま奴を見つけて倒す雰囲気じゃが奴を追うのは
まだ後の話じゃ。
裏の者が何故表の者達に有利に
なるような事をしたのかは少し気にはなるが
お主には先にやるべき事があるじゃろ。」
確かにエルセラを倒すのも目的に入ったが
それよりもまずは
最初の目的を達成しなくてはならない。
「勿論分かってる。だが
最後にこの地にある物を残したい。」
俺は自らの信念を貫き通し
優しき故に救わること無く
その命が果ててしまった
悲しき盟友に敬意を表し
この血戦の地に
彼の墓碑を建てた。
第二章 完
作者トーク
ここまで全部読んでくださっている
読者様。
今回初めて読んだ読者様。
ありがとうございます!
さて、2章が終わってしまいました。
相変わらず文を作るのがへったくそ
ですね!
何が目的なのかもイマイチ分からず
表現もよう分からんし
なんかきついわ。
まぁそんなネガティブなことを言ってばっかでもしゃあー無いよね。
とにかく!
ギルティ・ヴァンパイアを
ここまで読んでくださって
改めてありがとうございます!
このままのペースで進むと
大体20章位で終わらせると思います。
そこまでにもう少し文がマシになっていれば
いいと思っています。
初心者の書いた
脳内ストーリーだと思って
生暖かい目で見てくれれば幸いです。
全体的に少し長くなりましたが
ここまで読んでくださってありがとうございます。
これからもよろしくお願いします!