自ラノ手ガ血デ濡レヨウトモ 前編
第二章 血戦の開演
第四夜 血獄修練
俺は今どうなっているでしょうか。
突然こんなことを聞かれても
前情報無しではどうしようも無いという
話でしょう。
なので答えましょう。
私、夜帳 牙は今
首から下がありません。
「フザケるなァァァァァ!!
こんなん無理ゲーだろォォォォ!!」
どうしてこうなってしまったのかは
4日前に遡る。
俺は街を離れた後、レインに勧められて
そのまま同胞の別荘に行くことに決めて
行動していたのだ。
場所は岩手県の山奥らしい。ちなみに俺が元いた場所は東京にいたから電車で9時間
近く掛かるらしい。
途中で観光しながら行ったので
結局着いたのは出発してから2日経ってしまったのだが
実はその途中にエデンスが襲ってきたのだが
それに関してはまた今度に話すとしよう。
(番外編で書きます)
そしてやっと着いた時に
その山奥は駅から徒歩1日は掛かると言われ
一瞬心が折れたのは言わないでおこう。
ちなみにレインに羽で飛べないのかと聞いてみたのだがどうやら見せかけらしく
機能としては果たすことが出来ないらしい。
そんな雑談を交えながら着いた山奥には
明らかな社があった。
「大層立派な建造物なこった。ここにお前が言うアルカードの眷属がいるんだろ?」
そう、その眷属の独りを訪ねて仲間に
なることが目的だったのだが
「そうじゃな。確かにここにおるのじゃが
あやつは相当変わりモンでのぅ、アルカードも相当手を焼いていたのじゃよ。」
結構嫌そうに言ってるところを見るとそこまで仲は良くないということだろうか
そんな前情報を聞いた後に
門を潜ろうとした時に
突然道の横が黒い壁で覆われた。
「なんだよこれ!敵かレイン!
まさかお前らグル...」
「そんな訳なかろう。これは只のあやつなりの歓迎じゃ。」
そう言われ冷静に周りを見てみると
レインの影の眷属に似たような形をした
者たちがお辞儀をしながらこちらを
出迎えているのがわかった。
そしてその奥の本堂から1人の女性が
歩いてきた。
見た感じレインとは打って変わって
24歳前後位の体型の着物を纏った吸血鬼だった。
「ようこそ。我が社へ。
歓迎します、アルカードの末裔様。」
結構礼儀正しいと思っていたのも束の間
安心した瞬間に社の襖が開き
黒い腕が伸びてきて
俺の身体を掴み有無を言わさぬ力で引っ張ってきた。
勿論それに抗う力もなくすぐに引き込まれてしまったのだが。
「歓迎にしてはなかなかに荒々しいなぁ。
吸血鬼は皆こんな奴らなんか?」
特に痛くもないが身体を起きあげようとした
瞬間に目の前にはさっきの吸血鬼がいることに気づいた。
「あぁ♡アルカード様の匂いが溢れています〜。とても興奮してしまいますわ。」
そう言って着物を脱ぎ始めた。
「ちょっと待ってくれよ!何してんだよ!」
手で目を隠しながら恥ずかしそうに
言ったセリフだったのだが
「何って、アルカード様と約束しましたもの。来世では肌を交わると♡
あぁ♡もう我慢できません!今すぐ私と
愛の眷属を創りましょう!いま!」
やべぇ。こいつはぶっ飛んでやがる。
関わっちゃいけない奴だ。
乱暴に衣服を引きちぎられながら
正しく虚ろな目になりながら
さっきのレインの話の意味を理解した。
そしてまさに齢18の俺の初体験を
奪われる寸前でレインが後ろで
エデンスに見せた時よりも
明確な殺意を感じて寒気を感じた。
「おい。メス豚。貴様は今何をしているのじゃ?」
「あらあら、愛の眷属創りを邪魔する
無粋な「ブスい」な鴉が私を豚扱いとは
そもそもそんなガサツな言葉で私のアルカード様を落とそうとするとはやはり鳥頭ですか(笑)」
この時俺は察した。
この二人は単純に仲が悪い
しかも多分恋争いだ。
どっかのじっちゃんから聞いたことを思い出した。
「三角関係の女子は恐ろしい。」
まさにその通りだ!
「お主はやはり眷属という地位は勿体無いのう。家畜以下に今!してやろう」
「またまた無理なことを言いやがって。
テメェ!今度こそ手羽先唐揚げにしてやるよ!糞鴉がよぉ!」
口調が明らかにやばい方向にかわった。
「上等だよ!テメェこそ豚カツにしてやるよ!クソメス豚野郎がょお!」
どっちももはやキャラ崩壊だ!
やばい。
レインはロリババアみたいなキャラで行く
予定だったのによォ!ロリじゃねぇけど。
こりゃもうダメだ
ブラット・ヴァンパイア
中のキャラ崩壊により打ち切りとさせて頂きます。
短い間でしたが応援ありがとうございました。
まっつん先生の次回作にご期待ください。
終われるかぁ!
そんなんで終わったら投げやりもいいとこだろぅ!
人間が止められるわけのない様な
大激闘をアルカードの力を少しだけ使い
一旦落ち着かせ
その吸血鬼の話を聞くことにした。
「アルカードの末裔様。
この度は私が無粋な真似をしてしまいまして誠に申し訳ございませんでした。」
土下座しながら謝られても正直
戸惑ってしまっていたため
普通にしてくれと頼んだ。
「ところでそのアルカードの末裔ってのは
やめない?俺の名前は夜帳 牙だ。
牙って呼んでくれて構わない。」
こんな感じで普通に接してくれればいいのだが
「分かりました牙様。
そしてまだ自己紹介をしておりませんでしたね。
私の名は折鶴と申します。
貴方の先祖のアルカード様に仕えていた
眷属の独り。
貴方に忠義を尽くすことを誓います。」
なんか契約っぽくなってるけど
これがこの人のやり方なのだろう。
「あぁ!よろしく頼む。」
そしてそのまま夜になり
飯をいただいて
次の日から本格的な修行に入った。
「さてお前様よ!お主はまだ吸血鬼と認めるにはあまりにも貧弱すぎるのじゃ!」
確かにそうだと思った。
一応吸血鬼にはなったが
それでもまだ身体がそうなっただけであって
力までは元々のままだから。
「そこで今日からお主には
修行をしてもらう!」
「へぇ!やってやろうじゃねぇか!
んでどんな修行をするんだ?」
実際人間として生きていれば
修行などという大層なことはしない
と思ってたので少し楽しみだったが
「簡単じゃよ。今からこの森に潜って
1ヵ月間生きよ。」
は?
ちょっと言葉を失った。
実は昨日の夜にこの森に潜ってみたのだが
動物の死骸は勿論、人間も沢山いた。
そして何よりそこに居た小熊と戦ったのだが
惨敗。
この森にいる動物は
恐らく現世のモノではなく
いわゆる空想上の動物なのだろう。
「昨日入口で死にかけたんだぞ!
1分も持たなかったのに1ヵ月ぅ!?
無理だろ!」
「大丈夫じゃ。別に朝日に当たってもなんもない。」
そこじゃねぇよ!
本当に無理だと思って叫んでいたが
隣で見ていた折鶴に助けを求めようと目を向けたが
どうやら昨日レインにこっぴどくやられたらしい。
震えながら逆らわまいとしていた。
「いい加減覚悟をきめんか!
どうしょうもない事なんじゃよ!」
そう言った瞬間に首に違和感を感じた。
というか
首から下がなかった。
「ほぉーら!行ってこいやぁ!」
そのままレインに持たれた俺の首は森の中心へと投げ捨てられた。
そして投げられる瞬間に耳元で
「別に死んでも再生するから
大丈夫じゃ。」
と言われてもう絶望だ。
そして最初に戻る。
さて、やはりアルカードの不死力には
感謝するべきなのだろうな。
もう体が元に戻っている。
そして冗談抜きでやばそうな森の中心へと投げ捨てられた俺は
とりあえず食料探しをしようとしたのだが
折鶴の社からは約1kmあると思うのだが
そこからでも分かる衝撃波がこちらへと
届いた。
そしてその衝撃波を追いかけるように爆音が
森中に響いた。
森にいる鳥達は一斉に飛び立ち
熊などの動物達はこちらに見向きもしずに逃げていった。
その瞬間俺は察した。
「あの二人が喧嘩を始めたんだ。
ありゃ本気の喧嘩だぞ。帰ってきたら
岩手県ぶっ壊れてんじゃねぇか?」
そんなのんびりした思考を否定するように
後ろには熊でもなければ
猿でもないが
明らかにやばい奴の気配を感じた。
人ではない
だが
音が遅れるレベルのスピードで
腕を振り下ろした腕を紙一重で
避けたのだがその風圧で
腕の皮は引き裂かれた。
「こいつは冗談抜きでやべぇ。
いったい俺がどうすれば強くなれるんだ。」
冷静に敵を分析しながら
自分の実力で出来ることを考えた。
「にしても、この例えにくいが
足元よりも下の影に違和感を感じるなぁ。」
そう影に違和感を感じた。
正しく言葉の通りなのだが
イマイチそれが何かを考える暇も与えず
得体の知れない奴は
俺の身体を切り裂こうと猛攻撃を繰り出してきた。
生き物は死に際に立つと物事が遅く見えるということらしいが
「それが避けられるんなら苦ろ...」
そしてそれを避けきれずに上半身が粉微塵になった。
これを繰り返し森での生活の1日目を
終えた。
こんな状況が
2日
3日
と続いていきヒントも掴めぬまま
日にちが過ぎていった。
ちなみにレインと折鶴は何をしているのかについては後日談になるのだが
どうやらあの二人は俺が帰ってくるまでずっと喧嘩をしていたらしい。
俺がいる山の向かいにある山を
決闘場所にしていたらしく
最終的には山が消滅していた。
結果はレインが勝ったらしいが
地域の人々の話を聞くと
たまに村へ動物の死骸が飛んできていたらしい。
それによる被害で頭を下げ回ったのは
後の話。
さて、戻るが
この森の生活の意味が芽吹いてきたのは
12日目の夜だった。
喰いたい
喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい
思考は食料を求めていた。
これが吸血鬼の空腹なのだろう。
その時は何も考えることが出来なかった。
そして奴が現れた瞬間に
俺は奴が気づかない速度で
奴の腕を引きちぎっていた。
それを喰い、血の幸福感に完全に呑まれた。
そして自分の能力に気づいた。
奴が怒り狂いこちらを襲って来た時に
自分が気づかないほど自然に
影がまるで針のようにやつの体を
貫いていた。
そして奴の死骸を喰い散らかし
その自分の力と能力を気づいた。
そこからは自分の肉体を
強化し始めた。
そして20日目を超えた後は
もう森の動物達など敵ではなかった。
そして修行を終え
レインに吸血鬼の知識を教えて貰った。
レインの話だと吸血鬼でも
血を補給し続ければ餓死することは無いらしい。
そして俺の身体も限界があるらしく
決して不死ではないらしい。
体の再生力が異常なのはそうなのだが
再生する度に血が無くなっていき
それが0になると再生が出来なくなるらしい。
そして何より大切なことは
俺にはアルカードの力は自分に宿っている
らしく
吸血鬼は影を色々な使い方ができるらしい。
主に使い方は四種類あると言われた。
影を固体として槍や剣などに
変えることが出来る能力。
影を軟体にしたり硬くして
相手を刺したりする能力。
影を人の形などにして
仲間として兵力にする能力。
そしてこれは稀な能力らしいが
影を自らに纏わせ
それで戦うという能力らしい。
そしてアルカードは
その能力を全て使えるらしい。
つまり俺もその能力をすべて使うことが出来るのだが
それも名刀になるか、なまくらになるかは
俺次第らしい。
そしてその説明を終え
修行を遂げた。
そして俺がやるべきことに気づいた。
どうやら日本には各地に12体の神がいるらしい。
その神は日本では崇拝されているが
実際は日本の支配が目的らしい。
何故日本なのかと言うならば
どうやらもう他の国は占領されてしまったらしい。
このまま世界を神の手に渡すわけには
いかないがその訳を聞いたのだが
教えてはくれなかった。
まぁその12神を倒すのがしばらくの目標と
なった。
俺はその目標を果たすために
その足を動かし始めた。