キミとの交換
2月14日、お昼頃
外は寒い、それなのになんでだろうか
「ってか俺らってなんでこんな震えながら食ってんの?」
何でだろうね、あいかわらず恭平とよくここでご飯を食べることになってた
特に決めたわけでもない、私が1人で食べてて恭平が遊びに来るみたいな感じだ
この言い方だと屋上が私のテリトリーみたいになってる、でもこの時期使ってるのは私らしかいなくて思わず笑っちゃう
「ねぇ中入ろうか、やっぱし寒いよ」
そう言って中へと入った、そうはいったものの外よりはましだが暖かいわけではない
「そう言えば篠田ってチョコとか作ったりするの?」
「あー、作ったことはないかな、渡す人いないし」
そう言うと恭平は残念そうに肩を落とす、目の前で残念そうにされるのは悔しいが料理なんてしたことはないから仕方ない
「恭平ってたくさんもらいそうな気もするけどもさ、来週でよかったらあげようか?」
それでも挑戦してみるくらいはしてもいいのかなと思えた
「んーそうでもないかな、チョコ、楽しみに待ってるな」
そんな約束を交わした、久々に何かを作るの楽しそうだ
放課後になり私は図書室へと足を運んだ、やっぱし人にあげるのはちゃんとしたやつを作りたい、そしてチョコの作り方やレシピの参考になると思う、そう思って私はここへ来た
「あれ、篠田さん、なんか久しぶりだね」
「あ、奈々ちゃん久しぶり」
この可愛さは奈々ちゃんだ、話したことは1度だけ、何度もすれ違ったりするが話したことは1度だけだった
校内ではほとんど話さない、向こうは誰にでも話しかける明るい性格なのだが私からすれば話題とか思いつかなかった
それこそ適当でいいのかもしれない、今日は良い天気だねとか授業でこんなことあったよとかでいいんだが、私自身そうゆうのになれてなかった
気が付けば恭平と話すときは向こうからいろいろ投げかけてくれる、だから話せるんだと思った
「健、ちょっとお願いね」
そう奈々ちゃんが言って、宮永君は返事をした、カウンターの向こうからこちらへかけてくる
2人とも図書委員なんだな、暇そうで楽しそうと思った、誰も来なければほぼやることがなさそうな気がしたし、だからこそ私について回ることが出来るんだな
「で、篠田さんは図書室によく来るの?」
「たまにね」
今日はチョコ作りの本を見たことを伝えた、今更っって驚かれたが普通は今日のために作るはず
私は動き出すのが遅すぎた、しかも本命ではないチョコに、ただ彼には貸しがあるのでたまには返さないとなと思った
奈々ちゃんはほんとよくしゃべる、ここ図書室なんだけど大丈夫かと思うくらいにしゃべる
そして奈々ちゃんに言われるがままに本を次々に見ていく、どうやら奈々ちゃんはすごく料理が上手みたいだ
「あ、ってか今週末、私の家で作らない?」
もちろん断る理由なんてない、今度の休みに奈々ちゃんから直々に教えてもらえることになった
本で見てやるより分かりやすそうだ、それに週末に誰かと遊ぶのが友達みたいな感じがして嬉しかった
奈々ちゃんともっと仲良くなりたいな、この先どうなるか分からないけど、今はそう思う
今まで、暇してた日々を誰かと一緒に過ごせるならそれはきっと有意義なことだ
「そうだ、アドレス教えてよ、遊ぶ時とかないと困るでしょ」
「・・・うん」
私は初めて、アドレスを交換した、家族以外で初めてのメル友だ
帰ったら色々とメールしてみたい、毎日したい、送りすぎて無視されないかとはふと思ったが今の興味には勝てそうにない
「じゃあまた土曜日に、詳しいことはメールするね」
そう言って、奈々ちゃんはカウンターに戻って行った、その際に小さく手を振ってくれた
それはまたねと、また来てね、次も遊ぼうね、そんな合図だと思う、友達・・・なんだ
「ごめんね、健、まかせっきりだったね」
「いいよ、どうせほとんどやることないし」
「またねっ」
そう言って私は図書室をでた、まるでスキップしたいくらいに気持ちが高鳴って、土曜日が凄く待ち遠しかった、今夜から奈々ちゃんとメールが出来ることもテンションが上がってる原因の1つだ
ときめきに胸を弾ませ、夕暮れが沈む帰り道についた